第31話 教皇への報告
「確かにチェンジは可能という話であったが6人全員交換ですか…理由をお聞きしても宜しいですか?」
俺は翌日すぐに通信水晶で連絡をとった。
内容を聞いたローアン大司教が事態を重くみて、すぐにロマーニ教皇を呼びに行った。
今回、此処迄の無理が全部通ったのには理由がある。
それは『勇者の子供』を各国が手に入れる方法を俺が提案したからだ。
実はもうガイアは『傷物』だ。
別に娼婦を側室にする事は問題が無い…だが順番が問題だった。
勇者が最初に抱いた人間が娼婦...これは法律的には全く問題が無い、だが体面としての問題がある。
一国の姫や大貴族の娘が…他の女を抱いた男に嫁ぐ、それが問題だった。
王族や貴族の嫁は基本的に『処女』だ、男女が逆転しているとはいえ、お手付きを嫌う貴族や王族が既に肉体関係にある娼婦の側室が居る存在に後から嫁ぐのは、気位が高い彼等には出来ないだろう。
そこで『勇者の子供は欲しいけど、嫁がせにくい』そんな状態が生まれていた。
そこで俺が考えたのは勇者のハーレム枠を各国に譲る事だった。
とりあえず各国から2枠ずつ、ガイアが望むなら枠は平等に増やす。
これには『勇者絶対主義』のロマーニ教皇は凄く喜んだ。
妊娠した暁にはその女性を自分の養女にするらしい。
その結果、教皇は自分の孫に勇者の血の入った子が手に入るという事になる。
実際の所は迷信だと思うが…勇者の子は優秀で『英雄』にすらなる。そう言う話がある。
その為『勇者の子供』と言うのはブランドだ。
それが手に入るチャンスとして今回それぞれの国に側室枠を2つ渡す約束をした。
その見返りが…聖女、賢者、剣聖を嫁に貰った俺へ対するやっかみ潰しと勇者に対する資金援助だった。
それがいきなり躓いた…訳じゃない。
こんな時のサポートもちゃんとすると提案済みだ。
「ローアンから話を聞きました、こちらで用意した女性に何か問題がございましたでしょうか?」
「少し無礼を承知でお話しても宜しいでしょうか?」
「構いません、此処だけの話で済ませます」
「勇者ガイアは面倒な事を嫌います、その為『処女』が問題でした…勿論、女性は『処女を婚姻まで貫く』のが本分、女性たちに落ち度はありません。責めないであげて下さい…そして心が傷ついてますので出来たら良い縁談を探してあげて下さい」
「それは良いのですが…それでは、どういう女性を用意すれば良いのでしょうか?」
「不敬を承知で言わせてもらいますが」
「この場は気にしませんから宜しくお願いします」
「簡単に言えば、性技に優れ見栄えが良く若い子じゃないと子作りは無駄だと思います」
簡単に言えば娼婦か愛人だ。
「普通は男は『処女』手つかずを望むと思いますが」
「ガイアはその奉仕されるのは好きですが奉仕するのを嫌います、その様な女性で無いと相手は難しいと思います、難しいとは思いますがご考慮して頂かないと同じ事になります」
「それでは致し方ありません、そういう人間を探すか『作る』かして急ぎ派遣します…二国からも来次第、また空竜艇でお届けします」
今『作る』といったな…まさか洗脳か。
俺が知る必要は無いな。
「今度こそ『勇者の血を引く孫』が手に入ると良いですね」
「正直待ちどうしくて仕方ありません」
「あとこれはまだ解りませんが、その確率を上げる方法があるかも知れません」
「本当ですか、それは是非とも」
「それじゃこちらも話が進み次第また提案させて頂きます…それで帝国と王国への報告は如何なさいましょうか? 通信水晶はこの1つとガイアと連絡用の合計2つしかありませんので連絡とるなら文になりますが…」
「それなら此方で協議しますのでご安心ください」
あくまで自国を優先したいから『自分達』を通して欲しいのだろう。
まぁ、その方がいちいち手紙をしたためないで済むから楽だな。
まぁこの世界…王よりも教皇の方が偉いし勇者関連だから、これで良いか。
「それじゃ、お手数を掛けますが宜しくお願い致します」
「はい任されました…あと『確率を上げる方法』は他言無用で当国にのみご相談お願いいたします…場合によっては報酬を出しますので宜しくお願い致しますね」
「畏まりました」
信じられない程丁寧な教皇の対応で報告が終わった。
しかし、勇者パーティなのに戦わないで良いのだろうか?
まぁガイアがあれじゃ暫くは討伐なんて無さそうだな。
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