第30話 素人童貞

王国ホテルに着くとガイアとイザベルとリザベル、チョチョリーナが居た、三人とも小さく手を振っている、3人は上手くいっているようだ…6人の令嬢は恐らくは部屋だな。


お互いの部屋が離れていて良かった。


大体起きた事は俺には理解できる…後で令嬢達には土下座をして謝ろう。


「理人~あの女達、本当に最低だぞ、確かに面は良いし、スタイルも良いがそれだけだ」


まぁこうなるのは解っていたし理由も解るが…聞いておくか?


「一体何が起きたんだ!」


「あの、女達最低だぞ、折角の初日だから誰かを選んで『抱いてやろう』としたんだ、マリーナという女を選んだんだが、自分から服を脱ぎそうに無いし、俺の服も脱がそうとしない…仕方ないから俺が脱がしてやったら…汚いんだよ体が、あそこは臭いし、なんだか汚れているし、それでもめげずにしてやろうとしたら…痛がりやがって、悲鳴をあげやがった…そしたら他の5人が来て部屋から俺を追い出すんだぜ…」


やはり、こうなったか。


こうなると思っていたんだ…


だが、これで良いと俺は思っている。


『女の気持ちを解らない奴に処女の価値は解らねーし勿体ない』


大体、快感を得たい…そこに重きを置くなら『処女』は害しかない。


男を喜ばせるテクニックを知らないし、穴の中は初めてなのだから恥垢が溜まっていて汚い…


それに穴に突っ込めば痛がるし無茶なんて出来ない。


だが、そこに覚悟が加わるから愛おしい。


『大好きな男に体を捧げる』その心が愛おしいそう感じるんだ。


それが解らない男にその価値は絶対に解らないし、『女の覚悟と愛おしさ』は解らないだろう。


だが…ガイアはそれで良い。


昔の俺ならぶん殴ったが…


今の俺はガイアにそれをしない。


「イザベル、それって女としては最低な事か?」


「そうですよ? 大好きな殿方に抱かれるなら体のお手入れはしなくちゃ、いけません…最低限のマナーですよ、不衛生な体で何もしない…最低ですね」


まぁ俺が味方だと思っているなら、そう言うだろうな…


敢えて否定をしない。


「その通りだ、こんな女を寄越した教皇様や帝王様、王達には俺から伝えるよ…「良い女を」とだけ話した俺が悪かった、6人は俺がこの後回収していくから安心してくれ…次は俺も口を挟むから期待して良いぞ、すぐにガイア好みの綺麗な女を送って貰うからな」


「ああっ悪いがそうしてくれ…お前の好意は嬉しいがこれじゃあな、まぁ悪いのはお前じゃない、あんな女を選んだ教皇たちが悪いんだ気にするな…それで一応話しておくが、チョチョリーナには娼婦時代を共に過ごした妹分の娼婦がいるんだ、買ってやって良いか、人族だが家事が得意らしい」


話が早いな…


もう行動に起こしたのか。


「ああっ構わないよ、俺が離れるから世話をする人間は必要だと思っていたんだ、リヒャールさんに言ってブラック小切手を換金して貰ってくれ」


「ああっ、解った」


「勇者のお前に恥をかかせて悪かった、それじゃ彼女たちは回収していくから」


「ああっ夜遅くご苦労だと思うがそうしてくれ」


「ああっ、それじゃ俺は彼女達の部屋に行って、そのまま引き取っていくよ…帰りに挨拶は悪いからしないよ…じゃあなまた」


「じゃあな」




こうなると思っていたが…此処迄とはね。


『素人童貞』これにガイアはなった。


これは俺の前世で結構いた存在だ。


要は風俗や援助交際でしか経験が無い男の事を指していう言葉だ。


チョチョリーナもリザベルもイザベルもプロ中のプロだ。


男を満足させることが彼女達の仕事だ。


自分から服を脱ぎ男の服を脱がし、満足させるために磨いたテクニックを使うし、自ら腰を振る。


しかも最高級の娼館で最高のコースなら男はマグロで良い。


それこそ『男は寝ているだけで』気持ちよくして貰える。


そして男が喜ぶような事の殆どには答える筈だ。


体だって一流となれば常に磨き上げて衛生面でもしっかりとしている…


『何もしないで最高の快楽を得た人間』はもう真面なSEX等出来ない筈だ。


この世界の世界観は中世に近い。


流石にベルサイユみたいに糞尿垂れ流しでは無いがウオシュレットは無いしシャワーも毎日は浴びない。


そんな世界だ…


そんな世界で、裸を見せるのを前提にした職業以外…衛生的で綺麗な女性は少ない。


これでもう…万が一にもマリア達三人へ戻ることは無いだろう。


もし、戻る事があっても自分勝手に何もしない男が普通の女には受け入れられず破綻するはずだ。


まぁ、これからの人生『経験者』とだけ過ごせば良いぜ。


◆◆◆

「本当にごめん!この通りだ」


俺は令嬢たちの部屋へ行き土下座をしている。


「あんな屈辱初めてです…側室候補として此処に来たのに…私、怖かったけど、頑張ったんです…初めてなのに、勇気をもってお相手しようとしたのに…ううっううう」


「俺には謝る事しかできません…ですが、貴方達みたいな綺麗で優しい人にあんな鬼畜勇者は勿体無いです…国に帰れるようにしますから帰りましょう」


「確かに、あんな奴に嫁ぎたくないけど、これでは傷物じゃないですか? もう真面な婚姻など出来ません…責任が貴方にもあるなら、貴方が私達を貰ってくれませんか?」


「すみません、俺には妻がいますので、これ以上娶れません…ですが、今回の話は正式な婚姻じゃありません、いわばお試し期間です、経歴に傷がつかない様に致します…それに必ず教皇様に頼んで、良い夫が得られる様に口沿いをお願いします…それで溜飲を下げて頂けませんか?」


彼女たちは被害者だ。


こうなるように俺は仕向けた…


理由は話せないが誠心誠意謝るのが筋だ。


「無能な友人を持つと苦労されますわね」


「そうですね、被害も浅いからもう良いじゃないですか?許してあげましょう、この人は関係ないのですから」


「身の潔白は貴方が証明して頂けますか?」


「はい、教皇様にお願いして書面で用意します」


「はぁ、初日で終わり、随分不細工な終わり方ですね…これ以上貴方は謝る必要はないですよ…ですが、あの鬼畜勇者への恨みは生涯忘れませんわ…まぁこれ以上貴方を責めても仕方ありません…もう良いですわ」


許して貰えたので、俺は、彼女たちを俺の借りているホテルに移した。


後の事はマリア達に任せて教会に走り事の次第を話して協力を得た。


翌日、ユニコーンの馬車に揺られ、聖騎士の護衛の元彼女たちは各国に帰っていった。


ユニコーンの馬車には『処女』しか乗れない。


これなら『身の潔白は誰が見ても解る』ように俺からの配慮だ。


これからが…また大変だ…


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