第26話 ガイアにサプライズ①
「それじゃちょっと出かけてくる」
「何の用事? 私も手伝おうか?」
「偶には荷物位持つよ」
「私も一緒に行く」
気持ちは嬉しいがこれからの用事はガイア絡み。
楽しい事は起きない。
「これからの用事は…そのガイア絡みだから」
「ガイア…流石に会いたくありません…すみませんお任せして良いですか?」
「私が行くと...ごめん殴りたくなるから無理だ」
「ごめん、私も会いたくない」
「当たり前だよ気にしないで良いよ…その辺りの距離も含んで話してくる…まぁ出来るだけ良い条件で纏めてくるつもりだよ」
「ごめんなさい…お任せします」
「本当は私は当事者だから行くのが筋だが悪いな」
「ごめんね」
まぁガイアになんて会いたくないだろうからな。
うん、凄く気持ちが解る。
「多分、今日、明日である程度話は終わると思うから、そうしたらお休みにしようか?3日間位かけてどこか旅行に行かないか?」
「あの…それ大丈夫ですか?」
「三職なのに旅行、良いのか?」
「出来たら嬉しいけど、無理だよ」
普通はそうだ…だが今現在討伐すらしてない。
そう考えたら今現在『休んでいる』みたいな物だ。
それに今後、勇者であるガイアは恐ろしいけど怠惰になると思うから…幾ら休んでも問題は無くなる…予定だ。
「まぁ大丈夫だと思う、そこもどうにかするつもりだから、安心して欲しい」
「あの、余り無理しないで下さいね」
「そうだよ、もし何か危ない話になったら何時でも頼ってくれ」
「もう夫婦なんだからね」
う~んこう言うの凄く良いな。
「ああっもし困ったら助けて貰うよ…行ってくる…今日は多分遅くなるから、好きな物食べてゆっくりしておいて、それじゃ行ってきます」
「「「いってらっしゃい」」」
◆◆◆
「ガイア?」
此奴なんでまだ娼館にいるんだ?
別のホテルや宿に行ったと聞かないから来てみたら、まだいた。
もう身請けも済んだし、ホテルにでも移れば良いのに…
「ああっ…ちょっと待ってくれ」
「ああっ待っているけよ、少し娼館の主と話をするからゆっくりで良いよ」
「解った、ハァハァ」
明らかに昼間からやっていたな。
◆◆◆
「あのお聞きしたいのですが、何でガイアは此処にいるんですか?」
「ハァ~実は困っておりまして」
「どういう事ですか?」
「何でも此処から出て行きたくないと駄々をこねられまして困っています…二人の送別パーティがまだですから居て貰う権利はございますが…その困るんですよ、他のお客様が寄り付かなくて」
確かに『勇者』が個室で励んでいる横で抜くには度胸がいるよな。
童貞君や気の弱い奴は来たくないだろうし…しかも美女を独占した状態の勇者を見たら…惨めになるだろう。
モテる奴も来るかも知れんが、こういう所に来る奴は彼女が居ない奴が多い…それじゃ一時の夢も見れないだろうな。
「それで、お話があった足を洗うパーティですがお金はそのままで構いません、ガイアと二人抜きで、食事会みたいに出来ませんか?」
「主役の三人抜きでですか?」
「はい、だってこのままガイアが居座っていたら困るでしょう?」
「そうですね、それなら1日お休みにしてパーティだけ開いて、娼館やお世話になっている人に食事やお酒を振舞いましょう」
「だけど…これはガイアが良いと言ったらですよ」
「理人様、お願いですから頑張って下さい」
◆◆◆
とりあえず、娼館の主に部屋を借りた。
「理人どうした…くだらない話じゃねーよな」
「まず、一つ目だが、流石に勇者が娼館に入り浸るのは不味いから、そろそろホテルに行かないか?」
「いや、俺が居たらお前ら気まずいんじゃねーか?」
「馬鹿だなガイア」
「お前、今俺に馬鹿っていったか、あん!」
「ガイア、俺たち親友だろう? 俺はガイアの為に動いているんだこれくらい許してくれ」
「まぁ良いぜ、親友の特権だ許してやる」
「ありがとうな…お前とこうして対等に話せるのが俺は嬉しいんだ」
「まぁ良いや、そんな事で礼を言うなよ」
「それで話を戻すけど、もう二人も身請けしたんだしホテルに行こうぜ、言っておくが俺たちと一緒じゃない『王国ホテル』のスィートだ」
なんでそんなに驚くんだ。
「いや、流石に不味く無いか? あそこ凄く高いんだよな…お前がご機嫌取りで一泊した位だろう」
「そりゃ俺たちは不味いよ…だがお前には関係ないだろうが」
「最近凄く口が悪くなったぞ」
「ああっそうだ…これも俺にくれた褒美だ『親友』ってそんな物だろう、本音で話して相手を思いやる…違うか? 俺はかなりガイアの為に頑張っていると思うが」
《確かに此奴は俺の為に頑張っているな『親友』仕方ねー世話になっているからな》
「まぁ仕方ねーな、お前は俺に対して敬意とか要らねーよ、まぁ俺が王になっても、好きに話していーぜ」
それはもう無いんだよガイア。
だがそれは今いう事じゃないな。
「ありがとうな親友! それでさっきの話に戻すが、お前は『勇者様』なんだよ、あくまで形式上は女神の使者でこの世界で一番偉い…まぁ実質的な権力は無いけどな…だから王侯貴族並みの生活が許されるのが当たり前だ」
「そうか、俺にはその資格はあるんだな…だが実質金は無いぞ、どうするんだよ」
「それも気にしなくて良い、今日の夕方には根本的に解決するから」
「何かあるのか?」
「ああっサプライズだ、まずはお前の大切な側室、二人を連れて王国ホテルに行こうか?」
「マジで? マジで良いんだな?」
「ああっ構わないよ、それでジザベルとイザベルのパーティなんだが三人とも出席無しで娼館側で振舞って貰う形にしようと思うんだがどうだ?」
「それも何か理由があるのか?」
「体面だよ、勇者と側室なんだから態々『娼婦』だったなんて広めない方が良いんじゃないか? お前は偉いんだから」
「そうか…そうだよな…理人の言う通りだ」
最近のガイアは物を考えない傾向にある。
おかげで俺のお世辞が通用するから良いんだが大丈夫か?
「それじゃ、娼館の主と俺は話すから、二人と一緒に出られる様に準備してくれ」
「ああっ、解った…それで催促するようで悪いんだがチョチョリーナなんだが…」
「そうだな、深夜で良ければ今日、嫌なら明日にでも買いに行くか?」
「マジ…本当に良いんだな? それなら深夜でも今日が良い」
「そうか…その代り今日の夕方のサプライズ、俺の指示に従って欲しい」
「ああっ、何でも指示通り動いてやるよ…あと、もう一つあるんだが…」
まだあるのか?
「それでな…イザベルとジザベルなんだが、お前が三人にペンダントを上げたのを知ってな、欲しがっているんだ、何とかしてくれないか?」
「ああっ解ったよ…それも今夜解決してやる」
「マジで」
「ああっ今日のサプライズの会場は宝石商だ俺がペンダントを買ったな…好きなのを買ってやると良いよ…ただ悪いが今日は二人は連れていけないからな」
「本当に…助かるよ、了解だ」
「ああっ任せておけ」
俺は娼館の主とパーティの件について話、馬車の手配を頼んだ。
◆◆◆
「ガイア様、今日から王国ホテルで暮らすって本当ですか?」
「本当にあんな所で暮らせるのですか?」
「ああっ本当だ、親友の理人が用意してくれたんだ」
「「理人様…ありがとうございます」」
ガイアがいかれるのも解る。
本来気位が高い種族なのに、この二人にはそれが無い。
気さくにお礼を言うダークエルフ、人気があるのも良くわかる。
チョチョリーナもそうだよな…あんに笑うエルフは珍しい。
これ、俺の前世で言うなら風俗街のナンバー1~3迄、自分の物にした事になるな…ガイアはさぞ風俗通いの男に嫌われるだろうな。
「ああっ、本当に凄いのはガイアだから」
「あっそうですね、ガイア様ありがとう」
「ありがとうございます」
「それでガイア様、あのペンダントの件なんですけど」
「どうにかなりそうですか?」
「そうだな、大丈夫だ(汗)」
ガイアってもしかしたら女(美人限定)に無茶苦茶弱いのか…
流石に女の魔族に誑かせられたりしないよな。
「ああっ、それなら、ガイアに任せるなら今日の深夜、自分で選ぶなら明日どうにかなるよ」
「う~んガイア様に選んで欲しいけど、自分でも選びたいな」
「そうだよねイザベル迷っちゃうな…ジザベルどうしよう?
「迷うよね…そうだ両方が良い…うん両方、駄目かな? ガイア様」
本当に流石は元娼婦、良い根性しているな。
「理人、親友だろう、どうにかしてくれないか?」
これは前世なら貢君とおり越してATMだな…
だが、実は、俺の腹は痛まない…そういう作戦だ。
「あっガイアが良いなら大丈夫だよ…」
「そうなのですか? それじゃガイア様お願い」
「お願いします、ガイア様ぁ~その分今日は寝かせないから」
「あのジザベルさん…今日はガイアは遅くなるから無理だと思う」
「あははっ嫌だ、忘れちゃった」
「もうジザベルはドジなんだから」
ああっ、本当に疲れたな…
王国ホテルについた。
「それじゃ少し待ってて」
「ああっ頼んだ」
「「行ってらっしゃい」」
「行ってきます」
◆◆◆
「すみません」
「あっ理人様、いらっしゃいませ、今日もお泊りのご予約ですか?」
「ああっロイヤルスィートは空いている?」
「はい空いております」
「それじゃ連泊で7泊予約入れて貰える」
「7泊ですか…凄いですね!」
「俺じゃなくてガイアの名前で頼む」
「大丈夫ですか? 結構な額ですよ」
「解っている…勇者を中心に少し体制が変わるんだ、此処は帰りの清算で良いんだよね」
「それはそうですけど」
「なら心配はないよ、国が払ってくれるから」
「なら、安心ですね…勇者パーティの理人様が言うのですから信用します」
「泊まるのは勇者だから丁寧なもてなしを頼むよ、ちなみにロイヤルスイートってもう一部屋ある?」
「ないホテルもありますが当ホテルにはございます」
「それじゃ、その部屋も明日から6連泊でお願いする」
「凄いですね…」
「あと今夜2食ルームサービスでお願いしたい」
「畏まりました」
「あと、夕方までで良いんだが、一番安い部屋貸して欲しい」
「どうするんですか?」
「俺が寝るんだよ」
「そうですか…大変ですね、大型の予約を入れて頂いたので、その位サービスしますよ」
「ありがとう」
俺は馬車迄行き、ガイア達をエスコートした。
「後はベルボーイに頼んだからついて行って欲しい、二人のルームサービスも頼んだから食事も安心してくれ、それじゃふぁーあ…3時位に迎えに行くからな」
「理人はどうするんだ?」
「ああっ、死ぬ程眠いから寝る…今の俺はどんな美女の誘惑よりベッドの誘惑の方が強い」
「そうか、解った3時だな」
「ああっそうだ...じゃあな」
これで少し眠れるな。
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