第22話 動き出した


「説明しなくて良かったんですか?」


「いいんじゃねーか? あいつ等しっかり理人の奴、好きみてーじゃねーか! 態々説明なんて要らねーだろう!」


「本当に飽きれますね、あとでトラブっても知りませんよ」


「ああっそうしたら俺が責任をとる」


「そう言いながら部下に丸投げするんだから! まぁ良いですけどね、ハァ~なれました」


「溜息つくと幸せが逃げるぜ」


「誰がつかせるんですか? どこかに理人様みたいな良い男いませんかね」


「いねーな、あれは特別だ」


「解っていますよ!そんなの…今頃三国はパニックになっているでしょうに…」


「がはははっ、冒険者ギルドは貸しはあっても借りはねー、商業ギルドのコロバスは可哀そうに大変だ…良いか? 冒険者ギルドは、何があっても勇者の命令、全部の責任はガイアのガキのせいで押し切るぞ」


「ギルマス…勇者パーティ、理人様除いて嫌いですもんね」


「いや、実際に話してみて、あの三人は悪い奴じゃねー、まぁ女としちゃどうかと思うが嫌な奴じゃ無かったな」


「という事は勇者は嫌い…そう聞こえますが?」


「言わねーよ問題になるからよ…ただジョブやスキルに頼って努力しない奴は好かない…それだけだ」


「同じじゃないですか?」


「好かないは好きじゃない...それだけだ、嫌いとは言ってねーよ」


「まぁ同じに聞こえますが、そういう事にしておきましょう」


ギルマスは言いませんでしたが…今頃、各所のお偉いさんは偉い事になっているでしょう。


世の中には順番という物があるのです。


まぁ、私もメンドクサイから『勇者ガイアが悪い』それで終わらせます。

自分達の婚姻の価値を解らない勇者が悪いのです。



◆◆聖教国ホーリーにて◆◆


「教皇様、ゆ、ゆ、勇者が勝手に側室を決めて…聖女様達も勇者様が下賜した形で理人殿と婚姻させてしまいました」


「あの勇者は本当にやんちゃですね、ですがそこが可愛いと思いませんか? 子供とは愚かな程可愛いのです…ですが安心なさい、実は私は理人殿とひそかに文をかわしてました、聖女マリアの嫁ぎ先として理人殿は申し分ないと私は判断しました…あの男なかなかのものです…手土産もありますよ、そうですねローアン大司教にも1つの権利を上げましょう、私と1つずつ分けましょう、さぁ読んでみなさい」


私は教皇様から手紙を見せてもらいました。


「教皇様…この権利一つ私に下さるのですか?」


「はい、他の者には内緒ですよ…恐らく帝王と王にも同じように2つ権利を理人殿から渡すと書いてあります…どうでしょうか?」


「絶対に揉めませんね、教皇様がでる必要はありません、このローアンが全て納めてみせます。理人殿に誰にも文句は言わせません」


「それではローアンお願いしますよ」



◆◆アレス帝国◆◆


「ふざけるな! 勇者ならいざ知らず、剣聖エルザが理人と婚姻しただと…これでは我が家に招きいれる計画が台無しではないか」


「かっか、するでないモンゴメリ卿…実はお前にも一つ良い話を持ってきた」


「帝王様、こんな事ゆるされませんぞ」


「その文を見てから言え…それでも理人が嫌いか? それならお前は俺の敵だ、潰すぞ」


「この話に私が1口乗れるのですか? 理人殿は素晴らしい御仁ですな…勲章でも出しますか?」


手のひら返しが早い、これも貴族か。


「うむ、すぐに用意して勲章と一緒に届けなければな、人選は俺とお前で一緒にするぞ、最高の者を用意だ」


「ええっお金と権力全部つかい、最高の者が必要ですね」


「ああっ、忙しくなるぞ」



◆◆王国レイクパルド◆◆


「この度の勇者の失態、王はどの様にお考えか?」


「儂は文句等ない『赦す』まぁその前に勇者に文句など言えんわ」


「だったら、この理人のほうだけでも」


「書類に不備はないと聞いた…『赦す』」


「そんな、貴族たちになんといえば、良いのです」


「そうか…そうじゃな、お前、悪いが貴族を全員黙らせろ」


「自分の子息の伴侶に三職の誰かが欲しいという話が叶わない…どうしろと言うんです」


「そんな物、元々勇者ガイアが娶ったら終わりじゃないか」


「ですが、娶ったのが理人と言うのが問題です」


「仕方ない、お前にも権利をわけてやるから、黙らせろ…儂は理人の味方じゃ、ほれこの権利、お前にもやる、仕方ないの」


「これ…ですか…あははははっこれくれるなら、私が後ろ盾になります、勲章と一緒に最高の者を送り届けましょう」


「ああっ、これから一緒に吟味するぞ」


「はい」



何かが動き出した。


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