第20話 理人のいない1週間 その③


しかし、良い女とはこんなに違う者なんだな。


幾ら見ていても飽きない。


抱けば抱くだけ…味が出るというか快感が増してくる。


「はい、どうぞ!」


「ありがとう」


氷魔法を使ったレモン水が出てきた。


食事は高級レストランから取って貰って…水タバコも美味い…最高だ。


凄いな、ザベル達は、この水タバコの調合も行っていて、幾つかのフレーバーがあるそうだ。


そのフレーバーによって快感に差がでるらしい。


チョチョリーナ嬢も凄いと思ったが、この快感は無かった。


だが『気が付いてしまった』


俺は勇者だから、幾らでも女を側室に出来る。


「どうかしたの?ガイア様?」


「いや、凄く幸せだなと思って」


「そうですかぁ~でも、この幸せはずうっと続いていくんですよ、ねぇイザベル」


「そうですよ…それじゃ休んだらまたしますか?」


「そうだな、よし頑張ろう」


「「きゃぁガイア様 凄ぉぉー-い」」


理人が帰ってきたら相談だな。


だが、問題は金だ…流石に理人にもう一度とは行かねー。


この店の責任者に聞いた話しではチョチョリーナも買えるらしく『なんなら話をつけましょうか?』ということだ。


『身請け金』さえあれば…手に入る。


ダークエルフが手に入ったんだ、普通のエルフも欲しい。


勇者は幾らでも側室が手に入る。


理人なら親友だ、きっとどうにかしてくれるよな?


勇者最高だ!


◆◆◆


「ほら、リタ行くぞ」


「嫌だ、私いかない…」


「いい加減駄々をこねるな、私だって機嫌が悪いんだ出てこい」


「嫌だ行かないよ…だってお外は私が嫌いな人しかいないんだもん…一生部屋からでないもん」


ハァ~ガイアに直接振られてから、まるで子供になっちゃいましたね。


そこまでショックだったんですね。


まぁ思い人に振られ、前の恋人には戻れない…そして世間はリタを嫌っている。


まぁ辛いでしょうね。


だからと言って連れて行かない訳にはいかないわ。


「仕方ない…斬る」


後で弁償するしかないですね…


エルザが扉を斬ってしまいました。


まぁ剣聖のエルザなら扉を斬るなんて簡単ですね。


「嫌だ、いやぁぁぁぁー―――外はいやぁぁー-」


「仕方ないですね」


泣いているリタをストレージに持っていたロープで縛り上げエルザが担ぎました。


勿論、猿轡をしています。


「ふぐっふぐぅぅぅぅぅぅー―――っ」


まぁ、これでも勇者パーティですから人攫いに間違われる事はないでしょう。


「あんまり手を焼かせないでリタ」


私だって気分よくありません。


ガイアに腹が立っているのに…洗顔の準備も無ければ、髪をとかしてくれる人も居ません。


髪を洗った後に手入れをしなかったせいか、エルザも私も髪はボサボサです。


まぁ泣きはらして目が腫れているリタよりましです。


理人が居ないとこんな所迄綻びが出るなんて…


あの時、理人が食い下がらないで去って行ったら、そう考えると鳥肌が立ちます。


「それじゃ行きますか?」


「そうだな」


「ふぐー-っふぐっ」


リタを担いだエルザと一緒に冒険者ギルドに向かいました。



◆◆◆


「ようこそ、マリア様にエルザ様…え~とリタ様」


「随分と昨日と違う気がするわね」


「そりゃ依頼されれば依頼主、依頼主は神様です、対応は違いますよ」


なかなか良い性格しているわね。


「そう、まぁ良いわ、それじゃ報告をして貰えるかしら?」


「そうですね、それではサロンの方でお話しましょうか? 途中からギルマスも来ますので、まずは報告から致します」


「宜しくお願いするわね」


◆◆◆


「まずは理人様が地竜を狩りに行った経緯についてお話しします。これは勇者ガイア様に金貨1200枚を渡す約束をされたからです」


金貨1200枚とんでもない金額じゃない?


普通に考えたら、そんな金額必要になるわけないわ。


「ふぐうううっ」


「あっごめん、猿轡外すわね…」


「酷い」


「何で、ガイアはそんなお金が必要になったんだ!」


「ぷはっ…そうだよ、私達4職はそれぞれスポンサーが居て、特に勇者のガイアと聖女のマリアは教会、しいては聖教国が後ろ盾だから、必要なお金は必要なだけ貰えるんだよ…私やエルザより恵まれているのに…可笑しいよ」


お金に困っている雰囲気は何処にもありません。


何故、そんなお金が必要なのでしょうか?


解りませんが、もし本当に必要な物なら私と一緒に教会に請求すれば、如何に金貨1200枚とはいえ2~3日で用意できます。


それに何故、そのお金を理人が用意しなくちゃいけないのかも解りません。


「勇者はお金に困らない…何で金が必要なのか? そしてそのお金を何で理人が用意しなくちゃいけないのかも解らねーよ、その当たりも掴んでいるんだよな?」


「はい、ですが…この情報は90パーセント正しいと言えますが10パーセントは憶測が入る、そこだけは許して下さい」


「ああっ情報とはそんな物だ、それは解っている」


「そうですか? 勇者であるガイア様は娼館に入り浸っておりまして…」


「嘘は止めてよ…ガイアは勇者だよ、それは流石に無いよ」


「そんな事流石にしないと思います、教会所属なんですから」


「ちょっと待てよ、ギルドが冗談なんていうわけないだろう、二人とも話を聞こうぜ」


「ええっ、そうね」


「そうだね」


確かにギルドがこんな悪質な冗談をいう訳ありません。


どんな話なのでしょうか?


ですが…勇者とはいえガイアは男です。


娼館に行くくらい目を瞑っても良いのかも知れません。


確かに昔の友人が結婚していくなか、まだ経験すらないのは辛いのかも知れません…女の私には解りませんが…


「それでは続けさせて頂きます…ガイア様は娼館に通っていまして今現在二人の娼婦に嵌まっております」


「まぁ仕方ないですね」


「男だもんな」


「ちょっと幻滅したけど仕方ないね」


「此処からが問題なのですが…ガイア様はその二人の女性を『身請け』しまして側室にする約束をしたそうです」


「冗談でしょう! ガイアは勇者なのよ! 娼婦を側室なんて、そんな!」


「幾ら何でもそこ迄馬鹿じゃないだろう?」


「あり得ないわ」


「あの不敬を承知で言わせて貰えれば馬鹿だったんですね…ちなみにその身請けのお金が二人して金貨1200枚なんです、ピッタリ合うと思いませんか? まぁ憶測はかなり入りますが…」


確かにガイアが金貨1200枚欲しい訳は解かるわ。


だけど…何故、その金額を理人が用意するのか解らない。


「確かにそれが本当ならガイアが金貨1200枚必要な意味は解ります…ですが、何でそれを理人が用意する必要があるのでしょうか?」


「地竜を相手にするなら命掛けだ…最悪死すらあり得るぞ、そんな理由で命なんて賭けられる訳ない、幾ら理人がお人好しでも断るだろう!」


「幾らガイアの為でもね、そんな理由じゃ動かないよ」


幾らなんでも、娼婦をガイアの側室にする。


そんな馬鹿な事の為に命なんて賭けるわけないわ。


「それはね…ガイア様が、理人様にとって一番欲しい者を代償に出されたらです」


「「「理人が一番欲しい物」」」


「ハァ~本当に鈍感ですね…理人様が可愛そう…愛ですよ、愛、此処から先は『勇者案件』ですので実際に立ち会った、ギルマスが話します…少しだけお待ち下さい」


『愛?』 なんですか。


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