さぁ!みんなでLet's cooking!!

 なんやかんやでメンバーも揃い、とりあえず自己紹介が済んだところで、料理教室の準備を始める事にしたんだ。


 よく話を聞けば、航平くんも竜二くんも同い年らしい!それが分かってからなのか、いつの間にか2人とも敬語も無くなって、いつもの物怖じしない航平くんにも戻っていたんだ。


 ちょ、ちょっと…ホッとした…


 そんな2人に凌空がきっと似合うからと、用意してくれたカフェチックなベージュ色のエプロンを手渡してくれたんだ。


「わぁっ!かわかっこいいっ!さすがりっきゅん!!センスあるぅ!☆」


 航平くんはエプロンを手に取り、手馴れた感じで?エプロンを身体に纏っていったそのしりで、ちょっと手こずっている竜二くん…


「え〜っ?!もしかして竜二、エプロンの羽織り方知らないの〜っ?!」


「う、うるせぇっ!りょ、料理には無縁だし、こんなエプロンなんかも、身体に付けたことなんかねぇんだよっ!」


 そうかそうか、竜二くんは本当に料理に無縁だったんだね!…あれっ?そんな人が…僕の身近にも…


 僕が凌空に目を向けると、俺も無縁です…みたいな感じで、僕から目を逸らしたんだ。


 もう、凌空ったら…少し顔赤いよ…?


「も〜っ!竜二がちゃんとエプロン付けないと、料理教室始まらないから僕に貸してっ!」


 航平くんは、竜二くんからエプロンを奪い取り、こうするのっ!と言わんばかりに竜二くんにエプロンを付けてあげたんだ。


「ば、ばか!縛り方、き、きついっつ〜の!!」


「あははっ!僕、そんなに力ないから、きつくなんて縛ってないよぉ〜??☆」


「…んなっ!航平っ!この野郎っ!!」


 キャッキャとはしゃぐ2人を見て、なんだよ、2人とも仲良くなるの早いなぁ〜!…とどこか微笑ましくなったんだ。


 初めて出会ったはずなのに、なんやかんや2人とも息もピッタリそうだ。


 よしっ!2人に美味しい料理を教えてあげよう!僕は、そう意気込みながら料理教室が幕を開けていったんだ。


 ◇ ◇


 初めての料理教室

 今日、2人に教えてあげたかったのは、やっぱり家庭の味である【卵焼き】の作り方


 卵焼きって簡単に見えて、実はすごく奥が深いんだ。


 味の付け方、卵の溶きほぐし方、フライパンの温度調整、ひっくり返す時の手首のスナップ、卵の入れるタイミングに焼き加減…


 家庭によって味や見た目が違うのは、色んな作り方や味の付け方があるからなのかな?って僕は思っている。


 みんなが美味しいと言ってくれる、我が家の卵焼きの作り方を2人に伝授する事にしたんだけれど…


 これがまた、大変な展開になっていくことになるなんて、僕はこれっぽっちも考えていなかったんだ。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る