第19話

 瀬音せのん

 パパが大好き。

 好きな色は、紫。

 可愛い女の子。

 四歳で亡くなった。

 決して可哀想ではない。

 出逢い、恋をして、自分で選んだ。

 今度は、救う。

 大好きなパパのように。

 住む世界は違ってしまっても。

 大好きになった彼と協力して。

 救うんだ。

 瀬音は、死んだ。

 それでも、不幸ではない。

 真っ先に救うのはママだ。

 大好きだよ、ママ。

 嘘じゃないよ。

 ねえ、笑って。

 これからも、パパを助けてね。

 お願いだよ。

 届いたかな。

 届いたよね。

 だって、このために、せいや君とお友達になったんだもん。

 瀬音の花嫁姿、ママに見せられてよかった。

 意地悪してないからね。

 いつもみたいに怒らないでね。泣かないでね。

 大好きなんだよ。

 パパへの大好きよりは、小さい大好きだけれど。

 ごめんね。

 でも、ママだって同じだもんね。

 ふふふ。

 瀬音は、もう大丈夫だからね。

 パパも見たから知っているよ。

 ママも知ってね。それで、これは、本当のことです。

 やっぱり、ママは嘘みたい、夢みたいって思うだろうな。

 だから、絵を描いてもらいました。

 これが、「しょうこ」です。

 毎日、見てね。

 いつかママにも本当なんだなあと思える日がくるよ。

 きっとくるよ。

 あきらめないでね。


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