第16話
「私だって、嫌だよ。頭おかしいって、正直、思うよ。こんなただのぬいぐるみなのに、血の染みたバンダナ巻いて、それで
「違う。違います」
言ってしまってから、気づいた。
「瀬音、結婚するんですよ」
どうにか、声を絞り出す。叫び出したくなるのを必死にこらえる。風子先生は、きっと怒るだろう。瀬音の姿は、風子先生に似ている。だから、顔は見たくない。顔をそらし、どうにか手で伝える。怒らないで話を聞いてくださいと。
「僕が、どうにかします。だから、きっと風子先生にも見えるようにします。だから、だから」
もう限界だった。涙が溢れて、止まらない。風子先生は、僕の手を取った。
「ごめんね。
おそるおそる顔を上げる。風子先生は、優しく微笑む。
「私に教えてください。あなたたちの世界で、瀬音はどうしていますか。事故に巻き込まれて、その後、精也くんは手術に成功しましたか。ねえ、瀬音。あなた、精也くんが大好きなのでしょう。どうしてそんなに小さいのにお嫁さんになるの。それも、全部、精也くんのためなのかな」
風子先生の頬を涙が伝う。
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