隙(あらば)自(作品)語(り)シリーズ第八弾明日ドラ&虫ガキ編

 第六回こむら川小説大賞に参加させていただいた『明日はドラゴンとなり、ところによりにわかあめが降るでしょう』と『競作:虫取りするガキをニコニコしながら眺めるお姉さんの謎』に応募した『タイトルを入力(@を使用して以下略』の解説であったり振り返りであったりをやっていく隙あらば自作品語りシリーズ略して『隙自語』シリーズの第八弾です。


 タイトルの由来、明日ドラはドラゴンの本名との兼ね合いで「せめてタイトルだけでもおもしろおかしくしたかったから」です。内容はだいぶ悲劇です。タイトルを~はYouTubeの動画を投稿する際に表示される文言です。


 こむら川小説大賞については自主企画のページの説明文が詳しいのでそちらを読んでいただくことで割愛します。今回のテーマは『逆境』でした。前回初参加だったのですが、いろんな方々に読んでいただいて、講評もいただいたことがとても嬉しかったので今年も参加しました。個人的には、前回よりもテーマが難しかったように感じます。この感じ方には個人差があると思うのでこれ以上の言及はしません。

 https://kakuyomu.jp/user_events/16817330660576049676


 それでも多種多様の逆境が171作品集まっているのは、第六回という歴史の重みといいますか、主催のこむらさきさんの人徳によるところもあると思います。今回もおつかれさまでした。闇の評議員様方もおつかれさまです!


 自分は五作品ずつぐらいのペースで読んでいこうかな……。


 今回の隙自語は、こむら川小説大賞の二作品をまとめてではなく、物語上関連している二作品をまとめてのものとします。なので、通称虫ガキこと『競作:虫取りするガキをニコニコしながら眺めるお姉さんの謎』に出した短編の話もさせてください。お願いします。


 https://kakuyomu.jp/user_events/16817330661169589877


 こちらの企画は、ある方からおもしろそうな自主企画として紹介されまして、一連のツイートがまとめられたTogetterに目を通してから「ちょっと考えてみるか~」と思って参加しました。全作の講評おつかれさまです。自分はホラーがちょっと苦手なので、すべての参加作品を読めているわけではないです。「これで縁ができたな!」ということもありますので、時間はかかりますが他の参加作品も読んでいきます。

 https://kakuyomu.jp/works/16817330660578149394


 まずは明日ドラから。前回のこむら川が終わり、今回のこむら川が始まるまでに「次は異種婚姻譚が書きたいなーん」とぼんやり考えていて、メモ書きもありまして、この『逆境』というテーマが発表されるまでは「もうこれでいけます。一番槍レース参加します」ぐらいの心構えでいたのですが、そのあとで前回のこむらさきさんからのかみきりへの講評を思い出し「これだと心臓を貫けないな」と練り直して明日ドラになりました。シンプルに「いま書きたいものを書こう」へと切り替えました。


 ファンアートがほしい(直球)のでドラゴンの描写に力を入れています。ただ、後編での人間の姿を出したのだから、そちらの容姿をもっと書き込むべきだったなと公開してから反省しました。そのほうが「異形に変化してしまった」悲劇性は増したんじゃないかなと。こういうところが弱いので、意識的にやっていきたい。


 反省が先に出てしまいましたが、明日ドラに関しては「後編は書きたくて書いた蛇足」という面があります。前編だけでも3145文字あるので、ここで打ち止めにしたとしてもこむら川小説大賞のレギュレーションは下限3000文字なので達成できていました。ドラゴン側の事情なんて配信者くんには関係のない話。


 時系列としては後編→前編です。後編でドラゴンは飛び立ち、配信者くんのじいちゃん家の近くの洞窟に逃げ込みます。それをじいちゃんは目撃していて、村のみんなに話したけど信じてもらえなくて、孫でじいちゃんのことが大好きな配信者くんと、ドラゴンを追いかけてきたキサキの二人だけが信じていた。という流れ。

 時系列順に話を並べてしまうと、どうしても(個人的な感情として)「配信者くんゆるせねえー!」となってしまうのでこういう並びになりました。ドラゴンの動画が公開されてからの一連の流れは虫ガキのほうで触れています。ドラゴンは平穏に死を迎えたかったのになあ、というエピソードは講評公開後に追加します。


 前編にせよ後編にせよ、オチが先にあって、オチから話を組み立てていきました。配信者くんは生還して動画を投稿するのがオチ、明日はドラゴンとなり洞窟に逃げ込むのがオチ。そのオチにいたるまでに「どう組み立てていったらスムーズか」を考えていました。自分は『現在の結果は過去に原因がある』(因果論)をベースにしています。

 特筆すべき特殊な技能のない一般ピーポーの配信者くんが現代社会においてはその存在を馬鹿げた妄想と嘲笑されるようなドラゴンと対峙したとき、どうするか。というか、そもそも洞窟の中なんだから暗いし、動画の撮影のために照明器具持ってるよな? あとは、ドラゴンと戦えるだけのアイテムがほしいな→閃光玉+ペイントボールみたいなのはどうだろ→じいちゃんを発明家ってことにすればいいか、みたいな。じいちゃんの発明家設定はそこから生えてきました。配信者くんが田舎暮らしになった流れの中で足が不自由になったり、他の村人からの信頼度が低いエピソードを導き出すためにばあちゃんが犠牲になったりしていたら配信者くんにも悲劇的な背景が整っていきました。キサキちゃんも死んだ。投擲技術は元野球部設定でカバー。逆境は抜け出せたけど、前途洋々すべてがうまくいくとは限らないだろう、という暗示として、最後雨が降りそうになっています。恵みの雨ともいいますし、この解釈はいろいろあっていいと思います。


 後編のほうは『僕の家の周りでデスゲームが開催されている件』の過去編パートとその他シーンに登場するナイトハルト(男)とナイトハルト(女)のその後の話です。「なんでふたりが結婚してるのん?」とか「なんで生きてるのん?」とか、疑問点は多いかとは思いますが、雨天中止ifからの派生ルートにして〝正しい歴史〟ではこうなるのでこうです。この辺のエピソードはどこかで補足したいところ。とにかく、今回に関しては『旦那がドラゴンに変化しちゃって慌てる嫁』ぐらいに留めておくと無難です。なぜかというと関連作品があちこちに散らばっているからです。機会があればまとめたいです。


 ドラゴンの動画でバズった配信者くんは、よりチャンネル登録者数を増やしたいので『虫取りするガキをニコニコしながら眺めるお姉さんの謎』というネタに食いつきました。前半部分はバズってからの(明日ドラ前編の)後日談。虫ガキ小説としての本編は後半の取材シーンから、といった構成。


 真実はそのドラゴンほどのインパクトがなかったので、事実を動画編集で歪めてしまう。のオチを身内に相談したときに「昔の地方のテレビ局じゃん」と返されました。

「がんばって現地に取材へ行ったのに番組ディレクターから『これおもんないよ』って言われるやつ」

 なるほどな。

 身内からは「アドビがどうのでケチくさい根性を出すのもそれっぽくなってよいのでは?」というアドバイスもいただいたのでそうしました。結果として一人のユーチューバーとして現実味のあるキャラクター設定にできたのではないか。


 アーキテクトさんの講評で読みとっていただけていてよかったです。『歴史は夜作られる』まさしくその通りだと思います。明日ドラのほうにも触れていただきありがとうございました。


 明日ドラの二組(配信者くんとじいちゃん、明日とキサキ)はMFブックス10周年記念小説コンテスト応募作品に登場させます。連載開始したらURLを貼ります。こちらも追っていただけたら嬉しいです。


(ここから先は講評を読んでから書き足します)


 講評おつかれさまでした! はやい! すごい! ありがたい!

 ここを書き足したくて自分のだけ先に読んでしまいましたが、時間をかけて皆様の応募作品とともに読んでいきたいと思います。ありがとうございました。


 光の感想でも見かけたのですが、世界観の提示と時系列の開示がうまくいっていなかったですね。いろんな解釈ができるようになってしまった。ねえさんのドラゴン研究については加筆版で補います。


 特に、一年前に完成した時空転移装置(仮)は「じいちゃんすげーッ!」のアピールと、この大失敗のせいでばあちゃんはいなくなって村人からの評判は著しく下がった(から、ドラゴンのことを信じてもらえない)し、じいちゃんの足が悪くなったよ、ぐらいのニュアンスで、ドラゴンは自力で飛行して洞窟まで来ています。圧のあるアイテムを採用してしまったせいでこれがキーアイテムとちゃいます? と誤解されてしまった。ぜんぜんそんなことないです。異世界の行き来ができる世界観でもないです(なので「じいちゃんすげーッ!」になる)。


 が、時空転移装置(仮)をここで出したので、MFのコンテストのほうで時空転移装置(改)を完成させてばあちゃんを探しに行くよ! の長編を書いていきます。もちろん明日ドラと内容が重複していく箇所はありますが、コンテスト用なので「あっちも読んでね!」ではなく、じいちゃんの過去編を「じいちゃんの発明品が実際に村の危機を救うシーン」で補っていきたいかなと。


 以上!

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