第2話
公園でブランコに座って私はパピコを不満げな顔をして堪能している。
「・・・金後で返すから」
「良いって遠慮すんなよ?」
少女漫画とかならトゥンクしてるところなのだろうが私はしない。
何故かって?私はこいつとコンビニであれだけ騒いで奪ってお金を払おうとしたのに負けたからだ。
「むしろ奢ってもらえてラッキー!とか無いわけ?」
「ねぇよ、断じてねぇよ。相談料で奢るって約束して私が奢ってもらう側って・・・なんか情けかけられてるみたいでヤダよ」
「情けって・・・変な奴」
「はぁ?お前の方が変だよ」
失礼なことを言うなこいつは。
腹が立つのでとりあえず肘で小突いた。
「しばらく恋はしないと思う」
しないと思うではなくしたくないが正解かもしれない。
一生分の恋をした気がして、もうする気になれない。
「先輩より好きな人これから先、出会えるかもしれないのに?」
「初恋って花にしか目に入ってなかったんだから、しばらくは感傷にひたろうと思ってて・・・ね!今の表現良くない?」
「へぇー。まぁ良いんじゃね?」
「へぇって何よ。もうちょっと興味を持ちなさいよ」
失恋した幼なじみを慰めることを知らんのか。
私結構しょげてるのよ?
「慰めることもしてくれない感じですか?」
「慰めてお前に良いことがあるならするけど、お前慰められるの好き?」
「あー、苦手」
「ほらやっぱり」
笑って彼は言った。
「ねぇ、私誰かを好きになれるかな?」
私がそう聞くと幼なじみは困った表情をした。
「それはお前次第だろ。でもいつかはできるんじゃね」
「まーた興味無さそう。私のこと好きって言ってくれても良いのよ?」
冗談交じりに私は言う。
くだらないことを言う余裕が意外に私にあったらしい。
「・・・好きって言ったら俺のこと見てくれる?」
「・・・はい?」
突然の予想しなかった言葉に私は間抜けな声を出す。
「好きだよ俺、お前が思ってる以上に」
「は?はぁ?!」
いつもなら吐くことの無い甘ったるい言葉に私は恥ずかしくなる。
「俺がどれだけ我慢したか」
「えーどれくらいでしょうか・・・?」
「5年かな」
「うへぇ・・・」
そんな前から?気づきもしなかった。
そんな素振り見せてなかったじゃないか。
「お前が俺のこと見てくれるまで待つからさ・・・待つのは得意だし・・・あ、でも早めにな?」
「待って!」
急すぎて頭の処理が追いつかない。
好き・・・好きってなんだっけ?
「ら、likeの方だよね?」
「loveですけど?」
「ええ・・・ホントに?」
「マジもマジ。大マジ」
真顔で言うことからこいつが本気で言っているのが伝わってくる。
一体どうしたら私のどこを見たらそうなるのだろうか?
「なんで好きになったの?見る目ないって」
「あるってのばーか」
「馬鹿って何よ!馬鹿!」
ムカつく。なんでこいつばっかり余裕あって私にはないんだろう。
「言われたくないなら見る目ないとか言うなっての」
「あてっ!」
軽くデコピンをされる。
「事実でしょうが。私のどこを見てそう思うのよ?!」
「先輩のためだけど健気に頑張ってるとことか、好きなもの食ってる時に見せる子供みたいな笑顔とか可愛い」
「なっ!」
恥ずかしくないのか抵抗がないのか?!
私の顔は羞恥で茹でダコのように赤くなる。
「まだまだあるけど」
「もういい!お前が私のこと好きなのは理解出来たから?!」
私は手を彼の口に押し付けて言わせないようにして悲鳴の混じった声で言った。
「んんー」
「くすぐったいから喋らないで!」
手にかかる息がくすぐったくて仕方がないので私は手を離す。
「こういう初心な反応したりとかが可愛いって思ってる」
「話聞いてた?」
「聞いてたって。ただ我慢できなくて言っただけで」
「我慢しろよ!」
「ヤダ」
ヤダじゃねぇよ!
お前は子供か!
頭の中でそんなツッコミを私はする。
「帰るか」
「そうだね」
「ん」
彼は私に手を差し出す。
私はその手を取って立った。
「ありがともう立つ気力がないから助かった・・・手離して?」
私の言葉に益々彼は手に力を込める。
痛くはない。でも離してくれない。
「離してくれる?」
「嫌だ」
「離して」
「断る」
「・・・おいコラ離せって言ってんだろ恥ずかしいんだから!やめろ!手を絡めてくるな!」
どさくさに紛れて手を絡めてきやがった。
「良いだろ別に、意識してもらうためにもさ」
不敵に笑う幼なじみを見て冷や汗が出てくる。
これからどうなるのだろうか?
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