第12話


 放課後。



 俺は生徒会室で、いつものメンバーと話し合いをしていた。



「イツ先輩」



「…………」



「イツ先輩!!」



「えっ?何?」



「おにぃ?何かあった?」



 三人ともこちらを心配そうに見てきている。



「ごめんボッとしてた。それでどうしたの?ハルちゃん。」



「来月に控えている体育祭の種目についてなんですけど………」



「ああ………それなら、去年と同じで良いんじゃない?」



「それが今年から怪我防止のため、騎馬戦をやらない方針になったらしくて………代わりの競技を探さないとならなくて……」



「なるほど……」



(何か良い競技はあるだろうか。)



「はいは〜い!私は、棒倒しがいいと思いま〜す!」



 凪が手を挙げながら言う。



「はぁ〜それじゃあ意味ないじゃん。」



 アキ姉はため息をつきがら言った。



「なんで?」



「棒倒しも比較的に怪我しやすい種目でしょう?」



「た、確かに……じゃあ、アキ姉は何がいいと思う?」



「わっ私?」



「そう」



 アキ姉は慌てて考え出す。



「私は…………リ、リレーとか?」



「リレーはもうあるじゃん。」



 アキ姉は思いつかなかったのかもう既にある種目を言い、凪にツッコまれていた。



(リレねぇ……………あっ!!)



 俺は良いアイディアを思いつく。



「それ結構アリかも。」



 俺がそう言うと三人はこちらに注目する。



「どう言うこと?」



「普通のクラス対抗リレーはあるけど、選抜リレーとかはないからそれでいけばいいんじゃない?」



「それいいかも!!」



 俺が出した意見に三人が賛同する。



「じゃあ、それで行きましょう!!」



 騎馬戦の代わりに選抜リレーをやることに無事決まった。



「それじゃあ、今日は終わるか。」



 そう俺が言うと凪とハルちゃんは颯爽と生徒会室から出て行った。



 俺も帰るため、荷物をまとめ出す。



「あ………あの…………イツ?」



 アキ姉が声をかけてきた。



「どうしたの?アキ姉?」



「………その…………大丈夫なの?」



 アキ姉は心配そうに聞いてくる。



「ああ。大丈夫だよ。今日はありがとね。」



「う、うん。」



 アキ姉はまだ心配そうにしていた。



 これ以上アキ姉に迷惑をかけないように俺は荷物を持つとすぐに生徒会室から出て、家に向けて歩き出した。



♢♢♢♢♢♢♢



 帰り道。



 俺は先程のアキ姉の表情を思い出していた。



 俺は昔、小さなことでも困ったことがあればアキ姉に相談していた。



 でも、ある日を境に相談しなくなってしまった。



 ちょうどあの時は、アキ姉が忙しい時期だったためあまり迷惑をかけたくなかった。



 だから俺はあの日、全部を自分自身で抱え込んだんだ。



 その後、俺はその解決方法に頼ることにした。



 いや、その解決方法をやめることができなくなったといった方が正しいか……



 でもこんな解決方法を続けていたらいつか自分が壊れてしまうだろう。



 昔のようにアキ姉や他の誰かを頼ればきっと今すぐにでも解決するだろう。



 でも、もし誰かを頼ってしまったら今の俺が俺じゃなくなるみたいで怖いんだ。



 だから俺はこの解決方法からなかなか抜け出すことができていない。



「こんな情けない俺をひなが見たらなんて言うかな………きっと情けない俺に呆れてしまうだろうな…………」



 俺はこんな自分が大嫌いだ。



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