第13話
翌日のHR。
「………と言うことで今年から騎馬戦がなくなり選抜リレーをやることになります。選抜リレーは各クラス男女一人ずつ出してやります。それで…………」
昨日生徒会で決まった競技を体育祭実行委員がクラスメイトに伝えていた。
「では、誰がどの競技に出るかですが………」
「はい!」
七瀬さんが勢いよく席を立つ。
「私と天沢君で選抜リレーに出ます!」
「………………………は?」
一瞬理解が追いつかず、間があく。
「ちょっ、七瀬さん。一回座って。」
俺は七瀬さんを席に座らせる。
「どうしたの?天沢君?」
「どうしたの?天沢君?じゃないんだよ!どう言うこと?」
「だから天沢君は私と一緒に選抜リレーに出るんだよ!」
「聞いてないんだけど……」
そう俺が言うと七瀬さんは首を傾げながら言う。
「だって、言ってないもん」
「先に言えよ………」
「た、確かに……」
(気づいてなかったのかよ…………)
「じゃあ、天沢君。一緒に選抜リレー出ない?」
「出ない」
「え〜出ようよ」
「やだ」
「なんでぇ〜高校生活最後の体育祭だよ?出なきゃ損だよ?」
「目立ちたくないからやだ」
「いいじゃ〜ん」
「やだ」
「ね〜お願い〜」
「やだ」
俺たちがそんな会話をしている間、クラスではその他の競技を行う人を決めていた。
「じゃあ、これで決まりってことで。」
「え?」
俺は黒板に目を移す。
黒板には各競技ごと出る人の名前が書いてあり、俺の名前は選抜リレーに書かれていた。
「ちょっと待ってくれ」
俺は話し合いを終わらせようとする体育祭実行委員を止める。
「俺、選抜リレーいやなんだけど………」
「大丈夫!天沢君足速いから!!」
「そうそう。」
「天沢しかいない。」
クラスメイトが俺に選抜リレーを引き受けるように言う。
「天沢、クラスのみんなもこう言ってるんだ。引き受けてはくれないか?」
体育祭実行委員も俺に引き受けるように行ってきた。
「天沢君!頑張ろうね!」
隣の席の七瀬さんは嬉しそうにそう言った。
(ああ、最悪だ………)
俺は絶望した。
「じゃあ、この流れで軽音部にも私と一緒に入っちゃおう!」
「それは何があっても絶対にない。」
「え〜お願い〜!」
「無理」
こうして俺は不本意ながら、選抜リレーに出ることになってしまったのだ。
(体育祭本番、雨降ってくれないかな…………)
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