第7話
俺は生徒会室で書類に目を通していた。
今日も今日とて、いつもと同じメンバーである俺、アキ姉、凪、ハルちゃんの四人で手分けして仕事を片付けている。
「てか、いつも思うのだが他の生徒会メンバーはなぜ来ない?」
「それは、私がいつも生徒会の仕事ないって他の生徒会メンバーに言ってるからねぇ〜」
「えっ!?……何してんの?凪………」
「だってこのメンバーの方が気楽っていうか居心地いいんだもん。」
「同感」
アキ姉が凪の意見に賛同する。
「わ、私もこのメンバーの方が……その…………いいです。」
ハルちゃんも凪の意見に賛同した。
「確かに俺もこのメンバーの方が居心地はいいけど、このメンバーだけで全部の仕事回すの結構大変なんだけど……」
「確かに大変なのはわかるけど他の生徒会のメンバーのなんだか怖いんだもん。」
「それはしょうがないだろう。きっと男子からはキッカケづくりのために。女子からは憧れや嫉妬の目が向けられているんでしょ?なんたってここにいる俺以外の三人は学校の人気女子ランキングもでトップ争いしてい…………」
(し、しまった………人気女子ランキングって本来、女子には公開されてないんだった……)
「何それ?初耳なんだけど……詳しく聞かせてくれる?」
アキ姉から詰め寄られる。
「それで言ったらイツ先輩だって女子の中では……」
ハルちゃんがボソッと言う。
「ごめん。ハルちゃん、今なんて言った?」
「な、なんでもないです。」
ハルちゃんは慌てた様子でそう言った。
「ちなみにおにぃはその人気女子ランキング?だかってやつは、誰に入れたの?」
「き、気になります!!」
「確かに気になる……」
三人とも興味津々に聞いてきた。
「えっと……俺、誰にも入れてないけど…………」
「「「え?」」」
三人の声が重なる。
「緊急会議!!」
凪がそう言うと、凪を中心として俺以外の三人で輪になって、何やら話しだした。
「まぁ、確かにどこの馬の骨かも分からない人に入れてないだけ………ね?」
「確かにそれもそうね。」
「うんうん。」
「でもなんで誰にも入れなかったんだろう?」
「確かに……」
「じゃあ、それはおにぃに聞いてみるしかないね。」
「うん!」
「それじゃあ、解散!!」
三人は話し合いが終わったのか、自分の席に戻った。
「何話してたの?」
「いや、別に………女同士の会話?……みたいな?」
「そうか。」
「そんなことより、なんでおにぃは誰にも入れなったの?」
「ここにいる三人以外の女性とあまり関わりないから、誰がどんな子かも分からないのに入れるのはどうかと思って入れなかったんだ。」
「そっ、それなら、私たちの三人の中から一人選んで入れればよかったじゃん!!」
凪が顔を真っ赤にしながら言う。
「そんなこと俺にはできないよ……だって、三人とも俺にとってはかけがえのない人だから平等に好きだし………誰か一人なんて選べないよ…………」
俺は三人の方を見る。
三人とも顔が赤面している。
俺は自分が言ったことを思い返す。
三人とも俺にとってはかけがえのない人だから平等に好きだし………誰か一人なんて選べないよ…………
(俺、なんか三人に告白してるやつみたいになってるじゃん・・・)
自分の言ったことに恥ずかしくなり、俺も顔が赤面した。
「きっ、緊急会議!!!」
凪がそう言い、俺以外の三人でまた輪になり話始めた。
「ちょっと、どう言うことぉぉ」
「イツ先輩、私たちのことす、す、好き……」
ハルちゃんは力が抜け、その場に崩れ落ちた。
「いくらなんでもあんな三人に告白してるみたいに言わなくても………」
誰か一人なんて選べないよ…………
凪は俺の言ったことを思い出し、力が抜けその場に崩れ落ちた。
「二人とも、気をしっかり!!イツのことだからきっと何も考えずに言っただけ。気にしちゃダメ、気にしちゃ……」
俺にとってはかけがえのない人だから平等に好きだし………
「くっ……」
誰か一人なんて選べないよ…………
アキ姉も俺の言ったこと思い出しその場に崩れ落ちた。
「そ、その大丈夫?」
会話は聞こえなかったが次々にその場に崩れ落ちていく様子を見て俺は三人に声をかけた。
「はっ!全然大丈夫だから!!」
三人は俺に声をかけられると焦ったようにすぐ立ち上がり、また話しだした。
「これ以上は危険だからもうおしまいにしよう。」
「うん。」
「それじゃあ、解散!!」
三人は話し終えたのか自分の席に戻り、仕事を再開した。
「………………」
俺達四人の間に気まずい空気が流れ、その後は一言も話すこともなく仕事をしていった。
(なんか、ごめん。本当に………)
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