第6話


キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン



 授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り響く。





ガラガラ



 教室のドアが開き、アキ姉が教室に入ってくる。



 手には番号が書かれているであろう紙を持っていた。



 ついにこの時が来た。



 俺の運命がこのすぐ後に決まるのだ。



「今から席替えをします。まず、くじを引く順番を決めるために出席番号の最初の人と最後の人ジャンケンをしてください。」



 俺は席を立ちジャンケンをする。



 余りものには福があるということわざを信じている俺はこのジャンケンに勝って最後に引く事を選択したいところだ。



 ジャンケンをするとき、人はグー以外を出したくなると言うことをどこかで聞いたことがある。



 その為俺は、チョキを出した。



 これならば勝ちもしくは引き分けにすることができるはずだ。



「……………」



 負けた。



(あれ?おかしいな……いや、まだだ。俺はジャンケンに負けはしたが、勝った相手が最初から引くことを選んでくれれば………)



「後からでお願いします。」



(終わった………終わったわ……………しかし、捉え方を変えれば最後だと引く前に既に席が決まってしまっているが最初に引く事で三十席の中から選びたい放題だ。)



 俺は席を立ちくじを引きにいく。



(頼む。まじで頼む。)



 俺はくじを一枚取る。



 俺のクラスは縦五席、横六席の全三十席なので五の倍数を引けば後ろの席だ。



 俺は恐る恐るくじを開く。



(五、五だ。後ろになった!よかった。しかも一番窓側。)



 一番良い席だ。



 俺は一安心した。







「全員引き終わったので席を動かしてください。」



 全員くじを引き終わり、アキ姉が席を移動するように指示をする。



 俺は席を決まった席に移動させた。



(最高だ。日も風も心地よく当たる。しかも、一番後ろの席。これはもう俺の今年の運勢全部使っちゃったな。)



 俺は嬉しさに浸っていた。



「ねぇ」



 隣から声をかけられる。



「よろしくね。天沢君。」



 隣に目をやるとそこには七瀬さんがいた。



(隣は七瀬さんか………)



「七瀬さん。よろしく。」



「やっと天沢君と話せたよ〜」



「え?」



「今日ずっと天沢君と話すタイミング探してたんだけど、なかなかみんな解放してくれなくて……」



「今日転校してきたばっかりだし、有名人なんだししょうがないでしょう。」



「そ、そうだよねぇ〜」



 七瀬さんは、恥ずかしそうに言った。



「そ、それでね。天沢君……天沢君って何か部活入ってる?」



「入ってないけど……」



「じゃあさ、私と一緒に軽音部に入ってバンドやらない?」



「ごめん。あんまり興味ない。」



 俺は即断った。



「え?」



「え?」



「私とバンドをやればデビューも夢じゃないよ?」



「俺あんまり目立ちたくないし……」



「でも、デビューして売れれば遊んで暮らせるよ?」



「いや、俺別に遊んで暮らしたいとは思ってない……」



「え?」



「ごめん。俺この後予定あるから。また明日。」



 俺は逃げるようにして教室を後にする。



(なんで俺を誘うんだよ……)



「天沢君。」



 後ろから声をかけられる。



「私諦めないから!!」



 七瀬さんを背に俺は用事を済ませに生徒会室に向かった。



(勘弁してくれ……)

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