第7話 溢れ出す想い

和寿かずとし。僕は、君の事が大好きだよ。もうわかってたと思うけど。じゃなければ、ここまで来ない。好きだよ。大好きだよ」


 今まで隠していた言葉が溢れ出した。何度も何度も、好きだよ、と言ってしまった。和寿は言われるたびに頷いた。


 何度目かの告白の後、和寿がワタルの頬を撫でた。そのひんやりした感触に思わず身を縮めると、和寿が笑った。が、急に表情を改めると、


「ワタル、ありがとう。すげー嬉しい。オレも、お前のこと、大好きだ。オレは由紀ゆきとつきあってるし、どうしてお前が好きで好きでしょうがないのか、わからない。だけど、現実にお前を好きで、考えると胸がドキドキするし、これは恋だとしか思えない。勘違いって言われたら、どう答えていいのかわからないけどさ」


 そこまで言うと、和寿は目を伏せた。が、やがて、意を決したように顔を上げると、


「ワタル。オレは、由紀を好きだった。だけど、今はお前が好きだ。大好きだ。何でかって訊かれても上手く答えられないけど。もう、それはさ、お前だからっていうのはダメか? 好きな理由は、お前だから。これで勘弁してくれよ。過去のオレが誰を好きだったとしても、今はお前がいいんだ。正直、自分でも戸惑ったよ。だって、これまで同性を好きになったこと、なかったから。だけど、そうなんだから認めるしかない。こんな曖昧で、ごめん。でも、本気だから」


 長い告白の言葉の途中、何度も咳をしていた。苦しいだろうに、それでも話すのをやめようとしない和寿を、愛おしく思った。


「和寿。僕は、君が総代そうだいで舞台に上がったあの日からずっと、君のことが好きだった。ずっと」

「そうか」


 和寿が笑顔でワタルを見る。見られてワタルは顔が赤くなっていく。


「風邪、うつったらごめんな」


 変な前置きをしてから、和寿はワタルに口づけた。

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