第7話 溢れ出す想い
「
今まで隠していた言葉が溢れ出した。何度も何度も、好きだよ、と言ってしまった。和寿は言われるたびに頷いた。
何度目かの告白の後、和寿がワタルの頬を撫でた。そのひんやりした感触に思わず身を縮めると、和寿が笑った。が、急に表情を改めると、
「ワタル、ありがとう。すげー嬉しい。オレも、お前のこと、大好きだ。オレは
そこまで言うと、和寿は目を伏せた。が、やがて、意を決したように顔を上げると、
「ワタル。オレは、由紀を好きだった。だけど、今はお前が好きだ。大好きだ。何でかって訊かれても上手く答えられないけど。もう、それはさ、お前だからっていうのはダメか? 好きな理由は、お前だから。これで勘弁してくれよ。過去のオレが誰を好きだったとしても、今はお前がいいんだ。正直、自分でも戸惑ったよ。だって、これまで同性を好きになったこと、なかったから。だけど、そうなんだから認めるしかない。こんな曖昧で、ごめん。でも、本気だから」
長い告白の言葉の途中、何度も咳をしていた。苦しいだろうに、それでも話すのをやめようとしない和寿を、愛おしく思った。
「和寿。僕は、君が
「そうか」
和寿が笑顔でワタルを見る。見られてワタルは顔が赤くなっていく。
「風邪、うつったらごめんな」
変な前置きをしてから、和寿はワタルに口づけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます