第47話 流れるアクアマリン魔法

 緊急依頼の参加申請が終わった。そのままハンターギルドに残った。

 リリスールさんとマイラインさんと一緒に、魔物退治の作戦を話し合った。基本的な戦い方法が決定した。指示や最終判断は一番ランクの高いリリスールさんが行う。


「ところでアイは火属性以外の攻撃魔法は覚えたか」

「まだ覚えていないよ」

「今日は難しいかもしれないが、時間があるときに覚えると倒せる魔物も増える」

 コララレさんも魔法が二属性あると、汎用性が上がると話していた。


「少しの時間があればすぐに覚えられるよ。水魔法でも平気?」

「火属性以外なら有効だ。簡単に覚えられる魔法なのか。通常は一つの魔法を覚えるだけでも苦労すると聞く」

 ライマインさんが不思議がっていた。本来の魔法は時間と日数が必要みたい。でも宝石魔法は書き込めば新しい魔法を簡単に作れる。


「覚えたかった魔法があったのよ。ただ魔法習得は特殊だから、プレシャスと二人だけにしてほしい。すぐ終わるから構わない?」

「攻撃魔法が増えるのなら、あたいは歓迎だよ。ライマインとあっちのテーブルで雑談をしているよ。終わったら声をかけておくれ」


 リリスールさんとライマインさんが席を立った。プレシャスと二人だけになった。

「アイ様は水属性の魔法を説明しました。すでに宝石は決まっているのですか」

「属性を想像できる宝石が水属性のみだった。宝石はアクアマリン。エメラルドと同じベリルという鉱物よ。同じ鉱物だけれどエメラルドよりも耐久性がある」


「同じ鉱物なのに不思議です。水属性なら青色の宝石ですか」

「海を思い出すような透き通った青色よ。サファイアよりも柔らかい青色が一般的ね」

 宝石魔図鑑を出現させた。アクアマリンの頁を開いた。サンタマリアアクアマリンのルースを表示させた。立体的なルースでどの角度から眺めても堪能できた。


「素敵な色合いです。水属性魔法に合うと思います」

「アクアマリンは微量な鉄分が入っているから、この色が再現できるみたい。このルースはサンタマリアアクアマリンで、良質なアクアマリンが取れた鉱山名が由来なのよ」

「鉄分の影響とは知りませんでした。ずっと見ていられるような綺麗な色です。でも時間がありません。魔法の内容は決めたのでしょうか」


 基本はルビーで作った攻撃魔法と同じにしたい。魔物によって属性を使い分ける。慣れてきたら魔物の特徴も覚えたい。

「魔法はルビーと同じく二つ作りたい。一つは星剣ルビーのアクアマリン版よ。水の流れと渦で剣を作る。氷もちりばめて素敵な感じを演出したい。魔法発動後に実際の姿を見て確認してね」


「今から楽しみです。もう一つの魔法は何でしょうか」

 プレシャスが近寄ってきた。どのような魔法か興味があるみたい。

「紅球ルビーと同じ感じで水の渦が飛んでいく。さらに水の中には氷の粒があって威力を増す予定。火と水属性の魔法が使える。属性に耐性ある魔物にも対応可能よ」


「二種類の属性魔法があれば、街道沿いの魔物まで対応できます。魔物退治になれれば旅も楽になります」

「旅の移動が簡単になれば、イロハお姉様の世界を楽しめるね。魔法の効果が決まったから、あとは呪文ね。剣は水剣すいけんアクア、水の渦は涼球りょうきゅうアクアが雰囲気に合っていそう」


 宝石魔図鑑に魔法の効果と呪文を書いた。二つの魔法が完成した。

 リリスールさんとライマインさんに魔法を覚えたと伝えた。昼食を済ませて魔物退治に出発した。

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