愛情たっぷり! 歳下ママに産み落としてもらったから、僕弟Vtuberになります! ~僕を拾ってくれたママが全力で才能を見つけてくれたから億万長者! 帰ってこい? あなたたちは僕を捨てたんですよ!?~
第219話・I hope it never ends
第219話・I hope it never ends
Mikeさんを呼んで、Simonさんには隠れてもらう、ついでに最上さんも。
僕達は、RTSに着替えて、それが少し恥ずかしい。満さんは、相変わらず僕に見られるのだけが恥ずかしいようだ……。
そして、放送が始まった。挨拶はいつもどおり、緊張はほぐれた。僕は、ファンをゲストに招いたVTuberである。
「おかえり、おちびちゃん! 手は洗った? うがいした?」
「やっほーKC! お疲れ様! 今日はね、超大物ゲストがいるんだよ!」
おそらくそれが、VTuber史上最大の大物ゲスト。日本国内での知名度は大したことがないだろうが、世界で見ると途端にやばくなる。それでも、僕のファン、それだけは変わらない。
「絶対びっくりするよね! 呼んじゃう!?」
「うん! 呼んじゃおう! それじゃあ……召喚!」
視聴者さんには、たっぷりもったいぶる。画面に映った時に初めて、紹介するのだ。
「Hi! Hello, Akiha family!」
そう言いながら、シモンさんが画面にフェードインしてくる。
もう、音楽勢はすぐに大騒ぎ。そうじゃない人たちは、音楽勢が正体を明かすから大騒ぎだ。
お塩:シwwモwwン
わー!ぐわー!?:ちょwwwwゲスト大物すぎるwwww
チャイが好きィ!:シモンさん! バンドやるとき、見に来てくれ!
初bread:やべぇ……意味わかんないゲスト来てる……
ベト弁:明日の審査大丈夫なのか?
銀:いやいや、シモンさんまずいっすよwww
里奈@ギャル:これがシモンさん!!?? ガチ?
さーや:リンちゃんなら、ギャルも黙らせられるわもうwww
Elsa:イギリスと日本の誇りが夢のコラボ!
ダン・ガン:日本の誇り……あれ? 名乗ってもよくね?
デデデ:シモン氏www
コメントは、怒涛の勢いである。
「ここからは、通訳もやってくれる忍者、最上さんにご協力頂きたいと思います!」
あれは忍者だ、異論は認めない。
シモンさんとのコラボが最後の週になったのには理由がある。
『決勝戦の審査は、私はコメントをするだけなんだ! 審査は視聴者の投票で行われるんだよ! だから、やっとコラボできたんだ!』
前もって聞いていたけど、やっぱり有名税なところはあると思う。でも、全くの無名の相手にコラボできるかと言うとそれも現実的じゃない。こんな足切りの仕方は嫌だけど、何も基準を設けずにコラボするを、僕は自分の時間が一切なくなってしまう。新曲の発表ができなくなってしまう。
でも、そんな基準を一番余裕でクリアしているのはシモンさんだ。才能があり、実績があり、ファンが居る。こっちから頼みたいようなコラボが、向こうからやってきた。
「僕もずっと、シモンお兄ちゃんとは話したかったんだ! 今の僕があるのは、シモンさんのおかげな部分本当に多くて……。シモンさんのおかげで、僕のファン数は一気に跳ね上がった。笑っちゃうよね? まだ二年目なのに、世界一位がすぐそこなんだよ!」
放送中、僕に関わる全ての人は兄姉だ。だから、シモンさんもお兄ちゃんである。
「The sound of 'ONIITYAN' is KAWAII.」
日本語訳するなら『お兄ちゃんという響きが可愛い』とか、そんな感じだろう……。
それは、不憫にも無視された。
「リン君だけじゃなくて、シモン君には秋葉家全員がたくさん助けてもらったと思ってるよ。リン君のファンが増えて、影響力が増えた。秋葉家っていうブランドの力は、すっごく大きくなったから。……ありがとう、シモン君!」
でも、それはシモンさんのおかげだけじゃない。みんな、みんなだ。相互作用の連鎖が、僕たち秋葉家をこの世界に導いた。きっと、これまで関わってきた人は、ひとり残らず重要だ。
『リン、君の力だよ。私は歌の才能を見つける才能を持っているだけだ。君は、比類ないそれを持っていた。だから私は、自信を持って君の歌を拡散した。そもそも、MikeとAlenが私に君を紹介したのも、同じ理由だ。BGTに招待したのもそうだ。だから、胸を張って、満足のいくまで歌えばいい。私は、それを望んでいるんだ』
きっと、僕はまだ足りないのだ。自覚が、実力に追いついていない。謙遜しすぎて嫌な思いをさせてしまうこともあるかも知れない。
だから、これからも調整していこう。自覚を……。
「うん! 僕、思いっきり歌います! でも、欲張りなので、死ぬまで歌ってるかもしれません!」
習うは一生、それは一生人間は成長し続けられるという意味にだってとれる。だから、一生努力してもいいのだろう。
でも、歌を練習すること、それは僕にとって努力だなんてあまり思えない。だって、それは楽しいのだ。
才能とは、努力を努力であると思わなくなる力なのだろう。
『リン、それはファンを喜ばせる言葉だ。コメントを見てごらん』
そう言われて、僕はコメントに目を落とした。
銀:一生推すぞ!!!
お塩:死ぬまでにどんな怪物になってるやら……。
チャイが好きィ!:俺が爺さんになっても、バンドやってくれるか?
初bread:ピアノ伴奏はいつでも任せて欲しい!
さーや:いつまでも推すよ! ギャル洗脳して、流し込んじゃる!
里奈@ギャル:ヲタクでやさしいギャル軍団作るぞ!!!
デデデ:そして伝説へ……
僕は思う、ずっと、ずっと、この環境が続けばいいなと。しわくちゃになって、ガラガラの声になる、最期の時まで……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます