第42話・GB
家に帰ったら、昼食をとって早速放送の準備だ。マイクをヴァイオリンのそばに、そして、弾き始める。これが最近の五分前からの待機音楽だ。
ヴァイオリンはSingingSeaの
初bread:来たね
バッバ:この、開始時間待ちの演奏も一聞の価値有りだよなぁ
Ryu:多分今日はギターだぜ
チャイが好きィ!:バンドやりたい……
ベト弁:わしが買ったヴァイオリンが喜んどる!
わー!ぐわー!?:スーパーチャット1000円:おひねり投げとこ
Mike:スーパーチャット10000円:正直に言うと、私はとある番組に彼女を招待したい
Alen:スーパーチャット10000円:アメリカまで来てくれるかってところが問題だな。
お塩:待機音楽も楽しむのが、通だよなぁ
銀:Ryu氏なにか情報持ってる?
里奈@ギャル:ゲロっちまえYO★
Simon:
Mike:スーパーチャット1000円:
Simon:
放送がまだ始まっていないのに、コメントが溢れていた。海外の視聴者も一人増えた。状況から考えて、Mikeさんの紹介だと思う。
そして、放送が始まった。
「お兄さん! お姉さん! 今日は来てくれてありがとう! ちょっと遅れちゃったけど、一週間頑張ったみんなのために、精一杯歌うよ! なんでもリクエストして!」
僕はそう言いながら、ギターに持ち替えて、椅子に座った。
みっちーママ:リン君! 待ってたー!
初bread:ヴァイオリンもっと聞きたかった。
バッバ:同じく。でもリンちゃんの声も聞きたい。
Ryu:まぁ、座ってろって。多分、リンの頭ン中でスゲェこと起きてる。
お塩:俺はギター派。でもヴァイオリンも素晴らしいのは認めざるを得ない。
銀:生き甲斐
デデデ:待ってた
里奈@ギャル:リン君キタ――(゚∀゚)――!!
Mike:スーパーチャット2000円:Simonの分もコメントするからから2000円まで許しておくれ。彼と俺のリクエストで”Never Ever”をリクエストしたい!
最初のリクエストはNever Everという歌だ。映画の曲で、すごく歌として難しい。だけど、とっても好きな曲だ。
「じゃあ一曲目はNever Everにするよ! 洋楽だけど知ってる人も多いと思うからいっしょに歌おう!」
そう言って、僕はギターを弾き始めた。
コメントが止まる。
実はちょっと好きな歌で、隙あらば口ずさんだ曲の一つだ。だから、感情の込め方もわかる。叫びと祈りを混ぜて、僕のNever Everにしていく。
『これまでずっと……決して……決して!』
僕はこのサビが大好きだ。叫ぶように、祈るように、すがるように、心のそこから熱を乗せて歌う。
何度も何度も、繰り返すけど一つとして同じ音になんてできない。だって、一つ一つ乗っている感情が違う。大きく変えるのではない、小さな変化だ。
これが僕の、Never Everだ。
歌い終わると、コメントが再び流れる。
Mike:スーパーチャット2000円:俺とSimonは聞くこと以外全てを忘れていたよ。それと、Siomは君がアメリカにいないことを嘆いてる。
Ryu:一緒に歌えるか!? さいっこぉの歌い方しやがってこいつめ!
お塩:自分の声で、リンちゃんの歌を穢したくないわ……。
初bread:Never Everはよくうたわれる歌だけど、過去最高だね。
銀:歌えないよ! 歌えないよ……
デデデ:
里奈@ギャル:泣いた……
Alen:スーパーチャット1000円:百万ドルの価値があるかもしれない。
コメントは大盛況だった。みんないっしょに歌ってくれてると思ったのに……。
でも、それは、最高の褒め言葉だ。自分が歌うことを忘れて、僕の歌に聞き入ってくれた。それだけで、もう言葉はいらないほど嬉しかった。
「みんなありがと! お世辞うまいなぁ! さぁ、次のリクエストだよ!」
今日はハイペースに歌おうと思う。午前中は、立花さんの家で楽器ばかりやってたから、喉が万全だ。答えられるだけ、答えていこうと思う。
僕が言うと、コメントから『お世辞じゃない!』と総ツッコミを食らってしまった。
初bread:選曲といい、Siomってあのシモンだよな?
バッバ:間違いないと思う……
チャイが好きィ:反応からして、GB押されるレベルだよな?
わー!ぐわー!?:てか、リンちゃんが出たら全員でGBだろ……
「ちょっとまって、GBってなに?」
ベト弁:ゴールデンボタン。シモンの番組の最高評価的な?
お塩:とにかく金色のボタンだよ
そのあとも、コメントが解説してくれる。どうやら、アメリカの芸能人発掘番組の予選通過を決定してくれるボタンらしい。シモンさんがそれを押すのは滅多にないことらしくて、全員でなんてなったらそれこそ伝説だ。
Mike:スーパーチャット1000円:Simonのコメント「多分、全員が同時にGBに手を伸ばすだろう。曲が終わって、しばらくしてからね」だって
「またまたぁ……そんなに褒めても、次の曲しか出ないよ!」
流石に、それはないと思う。
デデデ:シモン本人だったら、お世辞は言わない。彼は辛口だ。
だが、僕の認識が間違っていて、僕の歌は本当にとんでもなく素晴らしかったらしい。
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