幻想入りオリキャラでびるの生い立ち

でびる

悪魔の生い立ち

- でびるの幻想入り(生い立ち -

幻想入り前までの でびる のこと。


生まれてすぐに、両親の金欲しさにより闇業界に売られる。

裏政府の戦争実験施設にて生物兵器と生体兵器としての人体実験が繰り返されるも全て失敗に終わり、役立たず扱いを受ける。他の実験体はある程度の成果を上げ、旅立っていった。


実験プロジェクトネームは


「人工超能力者兵器計画」の「勝利の悪魔たち計画」


名もない子供達が狂気と恐怖と苦痛と悲嘆に喘ぎ踠きながら、旅立っていった。

何処に行ったのかなんて役立たずには知る由もなかった。行ったのか逝ったのか、そこは天国か地獄か。

左腕に刻まれた皆と同じバイオマークが自分がいかに欠陥品であるかを実感させられていた。

唯一の休憩所である医務室にて可愛がってもらった人から「たかこ」の名を貰う。佳い事が多い子でありますように、と。言葉や津軽弁はこの人に教えてもらったというか、染み付いてしまった。

8歳の時に、施設から見限られ、強制的に捨てられる事となったが無責任に捨てては裏政府の働きがバレるため小学校に編入させられる。

プールの時に腕に入った刺青のバイオマークが見つかったことから、「何かがおかしい人」としてイジメを受ける。まぁ、それまでも人には見えない何かが見えてるようだと気味悪がられていた。

霊感があった「たかこ」は自分と同じく居場所がなく悲しいものに興味があった。

ある日いつも可愛がっていた野良猫達が、無残に殺されていた。

あるものは頭を潰され。

あるものは腹を裂かれ、ハラワタの代わりに砂利を詰め込まれ。

あるものは毒を飲まされたのか血を吐いて暴れ回った跡を残し。

目玉が焼かれ抉られているもの。

首と胴体が泣き別れになっているもの。

手足を捥がれ尾の骨、頚椎が外れるまで振り回されたであろうもの。

棍棒か何か硬いものでぐちゃぐちゃに叩き潰されたもの。

壁に何度も叩きつけられたもの。

何度も踏みつけられ、カタチが変えられてしまったもの。

ヒソヒソと影から聞こえる笑い声。人間とはこれほどまでに醜悪で卑劣なのかと泣いた。こんな時にいつも使える霊感が何かに使えればよかったのに。こんな時にあの実験が成功していたなら。自分を呪って、泣いて、自分の力の無さと泣く事以外何も出来ない心を呪った。

この世界には、一握りの人間だけが何らかの弾みに人を超える能力を発現させる能力者なるモノがいると聞いた。自分が能力者を人為的に作り出す施設にいた事も知っていた。なのに。なのに。

何もできない。「わぁ」は何もできない。猫たちの死体を抱き寄せて泣いた。

-ごめんなさい。-

こんな事がまだ続くのか。ずっと、ずっと一人で考え込んでいた。

狐狗狸さんを強要させられるまでは。

イジメグループの女子たちが紙とペンを渡して「コックリさんを一人でやって」と笑う高飛車な顔。「別に怖くないけど、呪われるなんて無理だからwww」と腰巾着。

連れて行かれたのは階段下の薄暗いスペース。

「コックリさんコックリさん……」

呼びかけに何の反応もない。何も起こらない。動かない10円玉。

「つまんなーい」「やっぱり安定の役立たずw」「え、でも一人でやるのって危ないんでしょw」「コイツなら来ると思ったんだけどな〜」「えー、動画撮ってる意味無いじゃんw」「でも、コレで死んだらマジウケるw」

笑われて罵られて、視界は涙でいっぱいになる。

こんな時に自分の霊感は役に立たない。

コレで霊を召喚できて、コイツらや世界を呪えたなら。

何もできなくて、ごめんなさい。

歪む。歪む。視界が、世界が。

「ねぇ…………。狐狗狸さん…………」

涙が紙に落ちる。


目の前に誰かいる。

いや、来た。

「1人」というにはあまりにも複雑だ。沢山の何かが無理矢理一つにまとまっている。

真冬の外にいるような、空気が凍ってしまった感覚。目の前にいるソレは人の理から外れた悪霊で間違いなかった。ここまで歪になれるのはおそらく動物霊。人では無いいくつもの細長い瞳孔が此方を捉えている。

だが、伝わってくるのは殺意と狂気と怒りに似た感覚と、どこか優しい眼差し。手を差し伸べられている、そんな気がした。


いつのまにか「たかこ」は笑っていた。

「友達になれますか?」

「はい」

場の空気が凍る。

なのに「質問」は止まない。

「これから先、友達は増やせますか?」

「はい」

明らかな異常。

「ちょっと、冗談やめてよ……」

「先生呼んでくる!」

儀式は先生に止められた。

「狐狗狸さん、また後で」

「はい」

いい加減にしないか!そんな言葉で頬を叩かれる。

「お前が皆を脅して、野次馬させて、動画撮らせてたって聞いたぞ」

「お前が怖いからって友達を巻き込むな!!」

教室の、教壇の上で嘘を叩き込まれる。コイツらのどこが友達だと言えるんだ。

今までの記憶が蘇る、失敗作の記憶、失敗の記憶、理不尽に怒られ笑われる記憶、

もう、ウンザリだった。

もう全部、壊してよ……。

狐狗狸さん……

「はい」

机の上にあった10円玉が「はい」に動いたのは誰か気づいただろうか。


そんな事にも気づけないほど、あっという間の出来事だった。

教室は床から壁、天井まで血塗れの大惨事。床に転がるのは引き千切れ、引き裂かれたクラスメイトの残骸。誰かの笑い声。

自分の声とは、思えない自分の声。

「きひひひひひひひひひひ、あははははははははははは!!ぎゃーーーッッッひゃははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!」

あぁ、まるで悪魔。「悪魔の子供たち計画」、あの時の実験は成功していたのかな?


眠ろう。疲れた。体も全部、悪魔に預けて。

「謌鯛?ヲ窶ヲ縺?d縲∽ソコ縲√?√°?滂シ……」(我……?、俺……??)

自分の言葉が分からない。

ただ赤黒く人では無い爪が生えた掌を見つめて思うことは喜びしかない。

呼び出した本人は眠ってしまったし。

たかこは狐狗狸さんとして降りてきた霊の集合体が可愛がっていた猫たちだと気づいていたのだろうか。9つの魂が無理矢理一つになったおかげでグチャグチャの塊の悪霊が一人の少女を助けるために体を借りている。

眠ってしまっても、この子を我らが守れるなら。。。

胸を張って大胆に扉を開ける。清々しい気分だ。全く、別人になったようだ。

「縺ゅ=縲∵ョコ縺励◆縺?ョコ縺励◆縺??∬カウ繧翫↑縺?カウ繧翫↑縺?シ?シ」(あぁ、殺したい殺したい!足りない足りない!!)

連なる呪詛は、踊るように校内に響き、在らぬモノを呼び寄せる。そう、ただ殺すだけでは心も晴れない。

「縺ゅ?縺ッ縺ッ縺ッ縲√?弱♀縺?〒縺セ縺帙?上?弱♀縺?〒縺セ縺帙?擾シ?シ」(あはははは、『おいでませ』『おいでませ』!!)

寄ってきたモノを手持ちの鈴やペンに宿らせては操り人形のように手繰り、逃げ惑う人間に超常現象を魅せては血飛沫を物理的に上げる。今まで見下してきた奴から逃げ惑い助けを求める人間を眺められるとは、なんと楽しいことか!


一通り校内を殺して回って遊び終えたところで、この言葉だと不自由だという事が分かってきた。

「んーーー、あーーー。」

鏡に映る自分を見ながら、口を動かしていく。

「んん〜、あぁ、お、れ、」

赤い瞳の真ん中にある細長い瞳孔を指差して、自分が人間を超えた事を確認して子供のように喜ぶ。

「くふふふふ…そう、俺……やっとコツが掴めてきた……」

背中に生えたコウモリのような羽は、本当に悪魔になれた、と嬉しそうにパタパタと上下する。

この爪はなんでも引き裂くし、みんなして聞き惚れる程の不協和音が連なる悲鳴を上げて。

あぁもう楽しい。

「たかこは本当に寝ちゃったのか?って事は、しばらく俺のままでいいのか。」

ルンルンと校舎を出て、腹が減ったと言って人を喰らい、背が小さいと馬鹿にした奴らの膝から下を切り落として見下してやったり……

そして。

何やかんやあって。

能力者育成舎第四中学、如月学園という能力者だけが集められた学校に保護されてた。何やかんやあってそこで名前も変えた。佐々倉 緋音(ささくら あかね)という名前に、妹も出来た。佐々倉 涙音(ささくら るい)これがまた可愛くて可愛くて堪らなかった。

能力発現から、体の成長が止まってしまったようで、皆よりも背が低い。学校ごと壊してきたせいで勉強も皆には追いついていけていない。

だが、そこは今までとは違う、楽しい世界だった。

皆と対等に渡り合える世界があった。それが嬉しかった。


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「……あーー、えっと、すいません……」

学園内に勝手に作った部活「遊部(あそぶ)」で謝罪を余儀なくされる緋音。

「で?、お前のせいで部長である俺が怒られたんだけど?」

部長、つまり遊部のトップはとある事にお怒りである。

「だって!!どうしても購買部の限定にゃんこ饅頭が食べたかったんだぜ!!」

「だってじゃねぇ!!」

「いってぇ!!」

部長の仁が召喚した刀の背で思い切り叩かれる。

「お前の能力のせいで怪我人が出て大惨事だったんだぞ……ったく……」

「まぁ、緋音にしては被害抑えた方なんじゃないですか?」

マイシスター、涙音のフォロー!!あぁさすがマイ天使!!

「ってことでペイントペイン」

グサッと床に、というか寸前で避けたけど避けなかったら掌ぶち抜いてたよねあのシャーペン……。技でも何でも無いよただの悪質な物理攻撃だよマイシスター……。「ってことで」ってなんだよ。。。

「ナイス妹ちゃん!!」

「優しくフォローしてると見せかけてしっかり姉の手綱を離さない!」

「そこに痺れる」「憧れるゥ!」

こらそこ乗るんじゃねぇ!!

と、、、まぁ遊部はいつも通りのわちゃわちゃを繰り返していた。

そして、楽しい時間はあっという間に過ぎて。

寮に戻り、マイシスターと今日を振り返りながら笑顔で布団に潜る。


そして、夢の中で。


誰かと話した気がする。誰かに呼ばれて、歩いて行ったら。



目が覚めたら知らない、別の世界にいた。

これは幻想?

まだ夢の中なのだろうか?

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