第23話恒例行事

それから何んの問題もなく過ごすうちに夏休みが来た。


夏休み中の1ヶ月間はミヤも特機で車両研修ですね。別の場所だけど。


俺達 新規配属組は地獄と揶揄される特別訓練を受ける為に軍務省管轄の八王子演習場に来てる。これから1週間に及ぶサバイバル訓練が待っている。聞いた話しだけど毎年この訓練は、半数以上の新人が消えるそうです。つまり脱走するそうです。大概はその日のうちに捕まり、小隊長じじきにしごかれ、結果辞めて行くと言う悪循環を繰り返す場所と班長から教えてもらいました。


俺はほかの新規配属者を知らない事に気付いた。何せ入隊後、同期は誰1人残っていない。仲良くなる前にみないなくなる。


今日、八王子演習場に来たのは東北方面隊、九州方面隊、近畿方面隊から各1名づつ。それもみな覆面を着けて演習だ。仲良くなるなとおっしゃっているのでしょうか?良く分かりません。



このサバイバル訓練では、寝床の確保、身の安全。我々新入隊員に求めらるれるのはそれだけ。

先ずは生き延びる事を覚えるらしい。


スケジュールとしては朝8時に集合、点呼の後に簡単な軽食。その後通常訓練、昼は1時間の休憩 昼飯支給 午後は戦闘、格闘、山間地、この3つの訓練 終了が18時夜は飯なし、自分で現地調達。


最も過酷なのがここからで、19時~翌日7時迄、軍務省の特殊部隊、レンジャー隊による襲撃が有る。大体3時間おきに来る。

捕まらないようにすればOK、寝ていたりして触れる状態であればスタンガンで起こされる。これが5日も続く。


残りの2日は八王子城と言う観光地から出発し約30km程離れた関場峠に有る龍神を奉る神社まで1人で異動、トレッキングコース等はなく、時々レンジャー隊に襲撃される。我々は発信器付きのGPSを持たされる。これは遭難した時用。


初日の訓練後が終わりまずは休む為の場所を確保する、森の中の為なるべく目だたないように工夫が必要だ。だか、そんな都合良くテントが有るわけもなく、使い勝手の良い倒木等があるわけもない。何とか寝れそうな平たい場所は発見した。都合良く4本の木の中に有る寝そべる位のスペースがあった。寝床はここにしよう。


木と木の間に小さい枝を重ねておき、外から見え無いように落ち葉をかける。近場で落ち葉を持って来るとばれる為少し遠くから持ってきて目隠しにする。


疲れたのも有り完全に意識を失った。

バチン、バリバリバリ!!!

痛みと痺れで目が覚めるが動けなかった。迷彩色の特殊部隊の方が4名もいる。

「場所は良いところを見つけた。今後は我々より先に我々の存在に気付かなければいけない」そう言い残し姿を消した。


体の痺れがぬけ、少し動けるようになっった。遠くから人の叫び声が聞こえる。御愁傷様です。


その日のは寝る事が出来ず。重力調性の力を使い木の上まで登り、枝に座り上着を脱いで体を固定。そのまま目を閉じて朝を迎える。


翌日の訓練はぼろぼろ。午前中に二回倒れ救護班の方からヒーリングを受け何とか体を動かす事ができた。

午後の格闘訓練中に気を失いそのまま病院に搬送。その日のは訓練無しとなった。


翌日、訓練復帰、当日より1人足りない気がしていたら薫小隊長が嬉しいそうに脱走者がいると言っていた。御愁傷様です。俺もばあちゃんの施設代金が無ければこんな事してねーよ。本当過酷。


夜になり人の足音を感じた。近くにいる。今日は寝ていないので先に動く事にした。先ずは重力調性を使い、木の上に移動、下を覗き人数を確認。1人だ。様子を見る。


寝床を見て誰もいない事を確認、そのまま行ってしまった。辺りを上から確認誰もいない事を確認してから降りる。寝床には入らず別の場所に移動しようと思い寝床においていたタガーナイフを拾う、頭の後ろから鈍痛が走る。消えていく意識の中でレンジャー隊の姿が見える。


翌朝、目覚めると医療班のテントにおり、ベットで寝ていた。レンジャー隊員の男の人がこっちを見ていた。


「気がついたな。良かった。記憶とか、頭いたいとか問題無いか?」

咄嗟の事で混乱したがおそらく昨日の出来事だろう。

「大丈夫です。昨日は上手くかわしたと思ったんですが、駄目でしたね」


「木の上に隠れる何て良く出来るね、何の道具も無しに、たいしたもんだよ」


「有り難うございます。やっぱり分かっていたんですね」


「いやいや、君が降りて来るまで誰も気付かなかったよ。レンジャー隊を出し抜く何て面白い子だよ」医療班の人が来てレンジャー隊の方が戻って行った。名前も聞いてなかった。


薫小隊長がテントに来た。

「何だ、運ばれた奴がいるって聞いて来たらお前か?」何だは無いでしょう!!!あんたん所の研修生に対して。

「何か話したか?」


「ハイ。記憶に問題無いかと頭に痛み残って無いか聞かれました」


「あいつら新人隊員だって伝えたのに、ベテランを連れてきたとか言って騒いでいたよ。何かしたのか?」


「いや、スタンガンがいやでの木の上の枝に隠れて、やり過ごしたんですが、他の隊員の方がいるのに気付かず後ろから何かで叩かれてしまいました」


「それだけか?」


「ハイ」


薫小隊長が難し顔になった。何か嫌な事を考えている時だ。

「よし、お前今日明日休み。敷地からは出れないが宿舎で休め。最終日には頑張ってもらう」何か思いついたのか楽しそうにとしている。


宿舎につくとレンジャー隊と思われる2人が来た。1人はテントにいた人だ。


「少し良いかな?」廊下で声をかけられた。

「あ、先程は心配して頂有難うございます」


「元気になって良かったよ。私は加藤 文彦1佐、こっちは小野寺 文曹長だ」「君に謝りたいと思ってね」

「高藤さん、特機の研修生とは知らず申し訳ございません。昨日は私のミスで貴方に失礼なことをしました。申し訳ございません」

「あの、何かあったのでしょうか。夜は襲撃に備える訓練と聞いてます。小野寺曹長が私に謝る事は無いと思いますが?」


「私から話そう。昨日 小野寺君が君を侵入者だと思い拿捕しようとしたらしくて、持っていた銃剣でおもいっきり叩いてしまったらしい。当たり処が悪ければ後遺症が残る可能性もある。それで心配でね」シレっと言わない。そう言う事はテヘペロじゃすまないでしょ。


「分かりました。今後同じように叩かれなけば大丈夫です」「それと挨拶が遅れました。高藤 仁 本年 第一学園 異能科 1年の筆頭をしています。先程挨拶して頂た時、名乗るべきでした。こちらこそ失礼しました」敬礼する。

「でも、レンジャーの隊員の方って、皆さん凄いですね。日中あんな厳しい訓練されているのに、夜はまた別の訓練をしてらっしゃる、僕はこの研修で、すでに2度もダウンしてます。何か恥ずかしいです」


「君 異能科の1年生って本当?通常、この訓練に参加するのは3年生からだよ」加藤 文彦1佐が驚いた顔をしている。

「そう何ですか?僕は何も言われず薫小隊長より、この訓練に参加するよう言われました」

「はぁ~」加藤 文彦1佐が呆れた顔している。

「すみません。加藤 文彦1佐は薫小隊長をご存知なのですか?」


「ああ良く知ってるよ。いわゆる腐れ縁って奴だ。そうだ!君がレンジャーに興味があればいつでも入隊を許可する。その時は何時でも言ってこい。私と小野寺が責任を持ってきたえてやるよ」鍛えるって意味が違いそうで怖いです。


しばらく談笑したのち2人と別れる。宿舎で部屋に戻ってから食堂に行き朝ごはんを食べる。ゆっくりした。でもご飯食べたら眠くなって来ました。部屋に戻って爆睡しよう。


その夜

薫小隊長と加藤 文彦 1佐、小野寺 文 曹長が同じ席に座り談笑している。談笑と思って要るのは当3人だけだが。周りは圧を感じ近けない状態だ。


「薫、お前この研修に一年生連れてくるって何考えてんだ」


「ふん。特機の研修生をどう使うと俺の勝手だろう。お前らに文句言われるいわれは無い」


「はぁ~。相変わらずだな。しかし彼は凄い奴だな。何だかんだ言ってお前が認めた奴だからな」


「奴はやらねぇよ。少なくとも大学を卒業する7年間は俺がみっちり仕込んでやる」


「ほう、なら一番良い時に買い取る事にしよう。お前のしごきに耐える奴だ。7年もいれば即戦力だな」


「はは、気が早いな。最後に決めるのは高藤本人だ。お前が選らばれない可能性もあるあんだぞ」


「まあ、時間がある。ゆっくり構えるさ」


「それより、銃剣であいつの頭をどついったって。少し手加減してやれよ」


「すみません。私がやってしまいました。やり過ぎたと反省しています」


「君は?」


「すみません。私は小野寺 文 曹長です、現在レンジャー隊、第一小隊、隊長補佐をしています」


「ちなみに、今、何歳?」


「はぁ?今 24です」


「加藤、思いきったな。お前若い奴嫌いじゃ無かったのか?」


「小野寺は優秀だ、そこらの男より頼りになる。それとお前勘違いしてないか、俺は若い奴が嫌いじゃない。努力しない奴が嫌いなだけだ」


「まあいいや、でその期待されている小野寺が、うちの高藤を侵入者と勘違いしたってわけだ。いや、攻めてるわけじゃない。それだけ実力のあるやつが、高藤を侵入者と勘違いする。高藤はそれだけの物を持ってるそう言ってるのと変わらない。何か嬉しくもあり、怖くも有るな」


「いえ、実際彼が木から降りて来た時、誰も気付来ませんでした。その行動からは研修生だと思うのは難しいです。末恐ろしくもあります。特機はどの様な訓練をされているのでしょう?」


「特機はそこまでたいした訓練はしていない。高藤の能力が異常なんだろう。実際、あいつはこの学園に入るまで運動自体そんなにしたことがない奴だぞ」


「何か末恐ろしいな。高藤君だが、これからの予定はあるのか?、無いなら8月のお盆過ぎに行う富士演習場までの行軍に参加させないか?」


「いいんじゃ無いか?特機としての予定はないぞ」


「OK、じゃ待ってるよ」


この密約で夏休みが無くなったのを本人はまだ知らない。唯、休みの予定の無い高藤 仁は暇潰しが出来たと喜んだらしい。


研修空け、丸々1週間も体を休めることが出来、少し体調回復を感じながら学園に向かう。休み明け、久々に特機の訓練だ。

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