第49話 唐揚げを食べるたびに思い出せ!

 ぐぅぅ〜〜!


 優樹のお腹から空腹を告げる音がダンジョンに響いた。


優樹「ふへぇ〜〜、お腹空いたぁ〜。」


 優樹が突然その場にヘナヘナとへたり込み、クラリッサとフォンも同じ様にその場に座り込んでしまった。


スージー「あらあら? 大丈夫? 皆どうしちゃたのかしら?」


 スージーが心配そうに優樹達に声を掛ける。


カトやん「はわっ? はわはわわ?!」


 カトやんがフォン達を見てワタワタし始める。

 それはダーク スキル[ 食育 ]のデメリット効果(食事を摂ると確率でステータスが上り、空腹時にステータス ダウン)が発動してしまった事を意味した。


俺「不味い! 二人共すみません、優樹達のバット ステータスが発動してしまいました。

 細かい説明は後でしますから、直ぐダンジョンから撤退しましょう。」


 どの位ステータス タウンしたのか? 魔導書[ 祖は左手の手に ]を開いて見ないと解らないが、今はそんな事をしている場合では無い。

 失敗した! ここ数日のドタバタでダーク スキル[ 食育 ]の事をスッカリ忘れていた。

 座り込んだ優樹達3人を両手で抱き上げ、慎重に来た道を戻る。

 馬鹿だ! 俺は本当に馬鹿だった! ダンジョンで浮かれてゴブリンに小突かれても、少しも成長していなかった。

 何故ダーク スキルをちゃんと検証しなかった? 何故お菓子の一つも持って来なかった?


優樹「…将吾君…ごめんねぇ…ボクお腹から…力が抜けて…。」


クラリッサ「…すまぬマスター…腹が減っては戦いなど出来ぬ…正にそのとうりだ…。」


フォン「…ワッフ…ワッフゥ〜。」


俺「御免な、俺がちゃんとスキルをチェックしなかったから…もう少しで出口だから…帰ったら美味しいお菓子を腹一杯食べような。」


 俺の腕の中でぐったりしている3人に声をかけつつ出口を目指す、だが決して焦ったら駄目だ! 焦ったら足元を掬われる、周りに注意を向けろ。


スージー「大丈夫よ! 何か出て来てもこのスージーが全部倒してあげるわ!」


 スージーがステッキをひらひらさせながら笑顔で言ってくれた。

 先程までカトやんとドン引きしていたのに、今はなんて頼もしい言葉なんだ! 本当に有難うございます。

 でも、なるだけそのスカートとロング ソックスの間の絶対領域は見せないで欲しいです。

 …その後、敵に遭遇する事も無く何とか無事に入口まで辿り着けた。

 気持ち少し落ち着いたので、ダンジョンから自宅までの間にダーク スキル[ 食育 ]の事を説明したら何故か? 二人共喜んだ。


カトやん「それじゃあシバやん、僕レンジでチンする唐揚げ君を持ってきましたので、温めて皆で食べましょう!」


 カトやんは自分の軽自動車からデッカイ袋入唐揚げを持ってきてレンジで温め始めた。

 カトやん有難う、俺の腕の中でぐったりしている優樹、クラリッサ、フォン、皆で食べような。


 30分後 柴崎家 囲炉裏の間


俺「…で、ダーク スキルで優樹達はステータス ダウンしていた訳なんですよ。」


末次「…なるほど、それで優樹達は食事を摂る事が出来るのですか…。」


 優樹達と皆でガツガツ唐揚げを食べながら、末次さんにスキルやダンジョンなど、今までの事を説明する。

 因みに末次さんは魔法少女スタイルからメイクも落とし来た時のスーツ姿に戻っている。

 良かった、目の前にスカート姿の男が座っていたら、唐揚げが不味くなるところだった。

 しかし、レンジでチンしだけなのに最近の揚げ物は驚くぼど美味しいな。


カトやん「うっひょ~い! デュフフフ、良いですなぁ〜! 良い映像ですよ! 素晴らしい絵面です。」


 カトやんは先程から唐揚げを食べて元気になった優樹達にデジカメを向けて一人でブツブツ言っている、一歩間違えれば…いや、間違いなくアレな人にしか見えないな。


カトやん「所でシバやん? 食べている所申し訳ないのですが…食べたのですから…やっぱり出るのですか?」


俺「美少女はトイレなんぞ行かんのだ!」

 

 何を言うカトやん! 少年少女達の夢を壊すな! 優樹たちはトイレになんて行く訳けが無いのである!…と思うのですがその辺どうなのですかバロンさん?

 

バロン「娘子の身体はいわばダンジョンと同じ扱いであり、取り込まれた物は全て吸収される仕組みなのでありまするな。

 そしてダーク スキルについてですが、食後約8時間位でデメリット スキルが発動する仕組みであるようで、初めにステータスが半分に減り、その後時間と共に少しずつ数値が下がって行くと思われまするので以降ご注意なされまし。

 話は変わりまするが我が主、この唐揚げなる食べ物で白の娘子のステータスが上昇致しましたぞ。」


優樹「ふへっ? ボク? もご…ふへーたふ あっふ?」


 優樹が自分の顔と同じ位の唐揚げに齧り付きながらキュートな顔で俺を見上げて来た。

 今度は優樹がステータス アップとな? それは早速チェックだな。


ーーーーーーーーーー

天川 優樹

cv 金澤 華


HP………41/41

防御力……26

腕力………35(+1up!)

敏捷性……45


…アクティブ スキル…

フェニックス シュート…MP8


…パッシブ スキル…

剣技Lv3

ーーーーーーーーーー

 

カトやん「ゆっきーの好物は肉全般ですからね〜、それで上昇したのかもしれませんね? ついでにクラリーの好物は辛い食物だそうです。

 僕、漫画版 異世界幻想伝フレイリアーナ 公式設定資料集持って来ましたのでシバやん、後で見てください。」


 フォンは甘い物で優樹は肉、ならば次はクラリッサの為に辛い物を用意するか? 好物を食べるとステータスがアップするなら…紫鶴とメーナの好物は? やはりダーク スキルは癖があるな…これからは唐揚げを食べるたび今日の事を思い出そうと思った。

 

 

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