第36話 クラリッサの華麗でスタイリッシュな泥試合を…
俺の右肩には優樹を、左肩にはクラリッサを乗せてダンジョンへ裏山の道を登っている。
クラリッサ「これがマスターの住まわれる世界ですか? とても良い場所ですね。
川が流れ木々は生茂り鳥達はさえづり虫達も飛び交っている。
空も青く空気も澄んでいるし魔物の気配も感じられない…そう言えば優樹? 優樹もマスターと同じ世界から我が愚妹に召喚されたのではなかったか?」
優樹「え? う〜ん…どうなんだろ? ボクもまだ将吾君の家とダンジョンと、この道しか見た事が無いから…」
優樹とクラリッサが俺の両肩で女子トーク? している。
メンバーが2人に増え色々華やかになって来た、これからもっと増えるのだから(予定)細々した生活品物が必要になるかな?
今度は街に食料の買い出しに連れていってやるか? 軽トラックのダッシュボードに立ってもらえばイタ車で誤魔化せるかな?
それと[ 異世界幻想伝 フレイリアーナ ]の公式設定資料も買ってこようかなぁ? 出版社は何処だっけ?
カトやん「あーそれ僕持ってますんで今度持って来ますね。
でもですなぁー、漫画版とアニメ版とでは設定が少し違うんですよね〜、漫画版だとクラリーの鎧がそのまま立体化すると腕が上がらなかったり、優っきーの家で飼っている秋田犬のぼん天丸がアニメでは端折られていたりと…」
やっぱり持っていたかカトやん、原作漫画に3コマだけ出て来た飼犬の秋田犬[ ぼん天丸 ]も優樹に教えるべきか? そんな違いにネット界隈では漫画派かアニメ派で早くも論争が起きているんだよなぁ。
勿論、俺とカトやんはアニメ派だ! もちろん異論は認める。
ダンジョンの入口に置いてある[ 背向け地蔵 ]に両手を合わせ、いざ出陣だ!
今日のテーマはクラリッサの戦闘経験を積む事が第一、それに出来れば優樹とのコンビネーションを覚えてもらう事が2番目の…居た! 敵タンポポ!
俺「クラリッサ、まずは優樹の戦いを見ていてくれ! 次はお前に戦ってもらう! それじゃ行ってくれ優樹!」
優樹を先に出して戦って貰う、頑張れ優樹、クラリッサの戦いの見本となってくれ。
優樹「うん! 行くよ将吾君! クラリッサ、ボクの戦いを見ていてね!」
クラリッサ「承知したマスター! 優樹、お前の戦いを見せて貰う、ご武運あれだ!」
優樹は軽快なステップでタンポポに近づき、流れるような剣さば…聖剣さばきで次々と絡み付かれる前に葉っぱを切り落としていく。
今までで最高の動きだ優樹! さすが剣技Lv3は伊達じゃ無いぜ!
倒された敵タンポポが赤い粒子になって魔導書に取り込まれたらすぐ次の敵を探す。
5メートルくらい先に又タンポポ発見、周囲に敵なし!
俺「よーし! クラリッサお前の力を俺達に見せてくれ! 優樹もフォロー宜しく、それじゃ敵タンポポに向かって出撃!」
クラリッサ「了解したマスター、フレイリアーナの聖騎士! クラリッサ出撃する!」
優樹「頑張れクラリッサ! フォローは任せてね!」
クラリッサが俺の左肩から飛び出して行く。
ブレスト プレートにスカート アーマー姿のシールド持ちなので、優樹のカタパルト ダッシュとは行か無いが、それでも颯爽とした動きでタンポポに対峙した。
クラリッサ「我が名はフレイリアーナの聖騎士クラリッサ! マスターの命によりお前を倒す! いざ、尋常に勝負!」
タンポポは葉をカサカサ動かし威嚇して来る、それに対しクラリッサはシールドを前に構え防御姿勢で迎え撃った。
二人? の間に静かな殺気が流れる、お互いどちらが後の先を取るか、お互いの存在を懸けた戦いは何方も最初の一歩を踏み込もうとはせず、しかし一秒が永遠に感じられるほどの…
バロン「青の娘子や、敵は大地に根を張って動けぬ。
お主が仕掛けねば、永遠に勝負は決まらぬぞ…。」
バロン…クラリッサは初めての戦闘で、まだどう戦って良いのか手探りの段階であってだな…兎に角もう少し暖かい目で見守ってほしい。
その後、敵タンポポとの戦いはクラリッサがメイスで殴っては葉っぱに絡まれて、シールドで押え付ければ葉っぱに絡み付かれ…激闘とも泥試合とも呼べる戦いの末にクラリッサが勝利した。
優樹「やったー! 勝ったよクラリッサ!」
優樹が俺の右肩でクラリッサの勝利に喜び飛び跳ねている。
俺もクラリッサの勝利に大興奮だ!
俺「やったぞクラリッサ! 初戦闘で初勝利だ! たった一勝だが俺達にとって大きな一勝だ。」
カトやん「う〜ん…勝利は勝利なのですが…クラリーは、もっとこう…華麗にスタイリッシュな攻撃で…格好良く決められれば…。」
勝利に文句言うなカトやん、優樹だって最初は敵タンポポに絡み付かれて18禁の触手プレイになる所だったんだぞ。
戦闘でこんなに傷ついて…すぐリペアのスキルを使うからな。
でもそうだなぁ…スキルに[ メイス技 ]とか[ 打撃技 ]とか有れば華麗でスタイリッシュなクラリッサの戦闘が出来るのだが…。
カトやん「僕、棍技のスキルを持ってますので、良かったらクラリーにどうぞ。
あと、索敵のスキル有りますんでこっちも使って下さい。」
良いのかカトやん? [ 索敵 ]ってレア スキルじゃなかったっけ?
カトやん「僕、フォン フォンが両耳をピコピコさせながら「近くに敵がいる!」って言うシーンが大好きなんですよ!
それに、僕が索敵持っていても意味無いですから。」
有難うカトやん! 確かに優樹達ばっかり見て(撮影)いるカトやんには索敵は必要無いかもな。
ならばここは有効利用させて貰おう。
???「プッ! クスククス…」
ダンジョン内で、迂闊にもスキルのやり取りなんてしている間抜けな俺達は、その少女のような少年のような笑い声に気が付く事は無かった。
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