第35話 それをヲタクは愛と呼ぶんだぜ!

俺「それじゃクラリッサ、頑張って動いて見るか?」


 俺の2番目のゴーレム、クラリッサが俺の求めによってユックリ動いた。

 しかしその動きはガクガクなギクシャクですぐバタッと倒れそうだ。

 優樹もそうだったが、まだ右も左も上も下も分からない状態だから早く優樹と同じくアニメを見せて動きを学習してもらおう。

 クラリッサを持ちヲタク部屋にあるディスプレイの前に立たせる。

 すると優樹がいきなり俺の右肩から飛び出し机の角に走って行った。


優樹「ほらクラリッサ! 見て! これが君だよ!」


 優樹がスタンド ミラーを持って来てクラリッサの前に置いた。

 優樹ナイスだ! グッド ジョブだ! クラリッサは鏡に写った自分の姿と優樹を交互に見て自分の姿を学習したようだ。

 俺はアニメ「 異世界幻想伝 フレイリアーナ 」第一話から再生を始める。

 今の所、第7話まで放映しているので見終わったらクラリッサはどんなリアクションをしてくれるのだろう? 

 すっげー楽しみだぜ!……所でカトやん? 何故に君まで優樹達と一緒にディスプレイを見ているのだ? しかもフォンの入っているケースまで持ち出して…。


カトやん「デュフフフ、優っきーやクラリーと一緒にフレイリアーナを見るなんて、夢にだって見れないですよこんな事。

 それにフォンを仲間外れにしては可哀想じゃ無いですか! 一緒に見ましょうよ。

 いや〜僕は[ 第4話 気まぐれもキミの魅力の1つ メーナ フォルテシモ登場! ]の神回が大好きなんですよ! 酒場で踊るメーナたんの登場シーン、ダンスシーンなんて普通5秒から長くても10秒位なのに1分以上のダンスを踊らせるなんて、絶対メーナたんに対する監督の愛を感じてしまいますよね!」

 

 そうだね、メーナの初登場で左足を太腿まで大胆に出した真っ赤なフラメンコ衣装着て、1分以上ダンスを踊らせるなんて監督の愛だよね。

 あの第4話の神回のおかげでメーナは男子人気爆上りして人気ナンバー1になった伝説があるそうだ。


 2時間後 ヲタク部屋


クラリッサ「我が名はフレイリアーナの聖騎士クラリッサ。

 我がマスター将吾殿、私は貴殿の盾となり、あらゆる攻撃から貴殿と仲間達を守る事をこの盾に誓おう!」


 クラリッサの胸をコバルト ブルーのブレスト アーマーが押し上げる。

 うむ! アニメの質感をリアルかつ見事に立体化した造形だ! この辺りも作画監督と造形師さんの愛を感じるぞ。


優樹「うん! クラリッサ! ボク達これからずっと一緒だよ! 将吾君とダンジョンで色々な敵と戦って、いつかはフォンやメーナや紫鶴達を仲間にするんだ!」


クラリッサ「そうか優樹! フレイリアーナだけじゃ無く、新たなる戦場が我々を待ち受けるのだな!

 良いだろう! 王国最強の聖騎士の実力を存分に発揮しようではないか!」


 うんうん、優樹とクラリッサが和気あいあいと話している。

 素晴らしい! 美しい映像だ! 声優の[ 倉敷 摩耶 ]さんの低く良く通る声も違和感無く聴こえて来るな。

  カトやん勿論録画は…バッチリとな、後でコピーよろしくお願いします。

 では、クラリッサのステータスをチェックしてみようかな?


ーーーーーーーーーー

クラリッサ メルベーレン フレイリアーナ

cv 倉敷 摩耶


HP………49/49

防御力……46

腕力………38

敏捷性……13


…パッシブ スキル…

盾技Lv1

ーーーーーーーーーー

 

 うん、ディフェンダーに相応しいステータスだな、とても頼もしいぞクラリッサ! パッシブ スキルに[ 盾技Lv1 ]を装着したのでさらにディフェンスはバッチリだ!

 いずれアクティブ スキル[ エレナの聖盾 ]を覚えてもらおう。


俺「よ〜し、時間は夕暮れだけど今からダンジョンに行こう。

 クラリッサ! 優樹! お前達の戦いを俺に見せてくれ! カトやん撮影よろしく! それじゃ行くぞ〜! クラリッサの初陣じゃあー!」


全員「「「おーっ!」」」


 急いで着替えてバール持って庭に出ると、野球のユニホームを着てキャッチャーのプロテクターを付けたカトやんがそこに居た。


カトやん「いや〜、ダンジョンで少しでも見を守ろうと思いまして。

 僕、商店街チームに入ってキャッチャーやっているのでそれを持って来ました。」


 白地に細く赤いラインが入ったユニホーム、背中には赤文字で[ 中央町 フェニックス 8番 加藤 ]とプリントされている。

 水色のキャッチャー用プロテクターは近くで見ると思ったよりゴツかった。

 それなりに似合ってはいるがカトやん、今から野球する気はないぞ?

 

カトやん「それを言うならシバやんの着ているのだって、バイク用品じゃないですか?」

 

 自分の着ているの服を見る、言われて見ればそうだったな…山と田圃の田舎の夕暮れの中、野球用具とバイク用具を着た俺達は、いったい何処に向かっているのだろうか?

 何故か俺とカトやんとの間に、季節外れの秋風が吹いた気がした。

 

ーーーーーーーーーー

 どんどん明後日の方向に向う、目くそ鼻くそコンビに愛の♥と★をお願いいたします。

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