第34話 目くそ鼻くそコンビ再び。

 柴崎家 囲炉裏の間


俺「ここはやっぱりクラリッサを俺の二番目のゴーレムにするのが正しい選択だろう。」


カトやん「シバやん、そこは出資者として是非是非フォン フォンの躍動を記録と記憶に留めたい所ですな。」


 俺とカトやんは煩悩まみれの暑苦しい激論を繰り広げていた。


俺「既に知って居るだろうが、クラリッサはフレイリアーナ王国の第一王女で、品格や実力、プロポーションや国民人気度も高く、しかもアニメでも2番目に優樹の仲間になった事実もあり原作をリスペクトするならばクラリッサをゴーレムにするのが正しい道である。

 それにダンジョンのリアル戦闘においても、クラリッサならばシールド(エレナの聖盾)を持ち防御を担当してくれるので、オフェンスの優樹とディフェンスのクラリッサで非常にバランスが良くなる。

 戦闘においての生還率に関わってくる問題なのだから、これは譲る訳にはいかんのだ。」


カトやん「イヤイヤ、そこは言わしていただきますが、クラリーとフォン フォンは、ほぼ同時に仲間になって居ますし人気度においてもそれ程差は無いのであります。

 それに戦闘において、もともと優っきーはバランス型のオールラウンダーではありますが、近接戦闘タイプなので竜骨ブーメランの投擲による遠距離攻撃で、優っきーをフォロー出来るフォン フォンのほうがコンビネーション的にもビジュアル的にもジャスト フィット! であると考えますよ!

 さらにフォン フォンは満月の光により、月狼姫として覚醒したボン・キュッ・ボンのムフフな成人バージョンが在るわけで……。」


俺「その月狼姫に覚醒したフォンがメインの話しが出て来るのは、原作漫画の第二章 アースルージュ大陸騒乱編からだろうが、今回第一章のアニメ、フレイリアーナ 世界樹の邪枝編、には出て来ないぞ。

 それを言ったらクラリッサのヘビー フルアーマー(通称 要塞アーマー)バージョンが先に出て来ているし。

 それに、そもそも第一章のアニメで最終決戦になるはず? の世界樹の邪枝との戦闘に、優樹が皆の想いを受け止めて纏う、純白のウイング ドレス フル(全身が十二枚の白く輝く翼に包まれたドレス)が最初に出るんであって……」


優樹「バロンさん? 将吾君と豚さんは、どうしてあんなに難しい事言い合ってるのかな?」


バロン「娘子よ、この目くそ鼻くそ共はそれが己にとっての大義であるが如くほざいておるが、その中身はただの私利私欲であってなんの価値もありはせぬのだ。

 我々がそんな物に付き合う必要は全く無いのであるな。」


 外野で何か騒がしいが、今はクラリッサとフォン二人のどちらをゴーレムにするかで……優樹にもどっちが良いか聞いてみるか?


優樹「え? クラリッサとフォンのどちらを2番目の仲間にするって? それって2人一緒じゃダメなの?」


バロン「娘子よ、我が主の持つスキル、クリエイト ゴーレムをレベル アップさせる為には、スキル シードが必要なのである。

 しかし、今ここには1つしか持ち合わせが無い、しかも我が主のレベルも3人目を従えるに足りてはおらぬ。

 で、あるからして今ここで仲間に出来るのはどちらか一人だけとなる、ゆえに皆と屈託無く話し合い決めるが良いであろう。」


優樹「クラリッサとフォンのどっちかを…クラリッサかフォン…う〜ん…。」


 優樹がかわいく、一生懸命悩んでいる。

 この映像をぜひ記録に…カトやんが既にデジカメを回していた、ナイスカトやん! グッジョブだ。

 しかしいい加減2人目に決めねば…ならばここは最終手段の発動だ。


俺「最初はグー、じゃんけんぽん!…よっしゃ勝ったぁ! 優樹、2人目はクラリッサに決まったぞ。」


 俺のパーはカトやんのグーを打ち負かした、これで俺の2番目のゴーレムはクラリッサで決まったぜ。


カトやん「うおぉぉ、僕のグーが負けるとは…仕方ありませんね、ここは引きましょう。

 しかしシバやん! 早急にレベルをあげてフォン フォンの勇姿を僕に見せてくださいね。

 メーナと紫鶴のフィギュアもあと2週間位で発売されますんで、それも持ってきますよ、シバやんはまだ予約して無いしょ?」


俺「して無いけど…お金は? けっこう大金だぞカトやん? 大丈夫か? 1体1万2千800円(税別)だぞ?」


カトやん「先行投資ですよシバやん。

 昨日の動画、かなり食い付き良いんでバズり確定ですよ! このままガンガン行ってください。

 僕は常に遊ぶ用、保存用、布教用、と3種類を確保しているのですよ。

 今回布教用を持って来てましたんで遠慮なく使ってください。」


 そうか布教用か…ならば躊躇わず俺のゴーレム(相棒)にしよう。

 バロンが魔導書[ 祖は左の手に ]に書いた、クリエイト ゴーレムのレベル アップに早々チェックを入れ、クラリッサを箱から出し机に立たせしばし瞑目。

 目を開け真正面にクラリッサを見る。

 胸に湧き上がった想いを、俺はそのまま言葉にした。


俺「お前の名はクラリッサ。

 クラリッサ・メルベーレン・フレイリアーナ。

 フレイリアーナ王国の第一王女で、王国最強の騎士だ。

 これからお前は俺や純白の勇者 天河 優樹と共にダンジョンに挑む。

 お前はその左手に持った最強の盾、エレナの聖盾で俺や優樹、そして後から仲間になる者達を護り抜くために戦ってくれ。

 宜しく頼むぞクラリッサ! クリエイト ゴーレム!」


 魔導書から赤いクリスタルが浮かび上り、クラリッサに吸い込まれた。

 さて、どんなステータスになるのだろう? ドッキドキのワックワクだぜ。

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