第25話 アニメ[ 異世界幻想伝 フレイリアーナ ]

第7話 [ 想いで貫けフェニックス シュート ]


 前話からの続き


 光が視える。

 ただ目の前に白く輝く光が視える。

 ただその光に向かって走っていく自分がいる。

 何故、自分はその光に向かっているのか?

 何故、自分は光に手を伸ばすのか?

 そんな事、そんな些細な事はもう気にもならない。

 その光に届くように、その光に辿り着くように。

 手を伸ばし走り続けた。

 フワリと、一枚の白い羽が右の頬を優しく掠めた。

 次々と白い羽が肩、腕、足元を優しく掠めていく。

 だが、白い羽が自分を邪魔する事は無かった。

 むしろ身体が軽くなった。

 もっと速く、もっと前に、羽が自分を光の元に辿り着けるよう背中を押してくれてるような気がした。

 もう少し、あと少し、あの光に向かって、もう一歩、あと一歩前に。

 光に、あの白く輝く光に、思いっきり手を伸ばした。

 

 バキィーーーン!


 光が轟音と共に弾けた!

 そこには雲一つない青い空と眩しいぼどの太陽がある、気が付くと優樹は地上10メートル以上の空を飛んでいた。


優樹「え? 空ぁ? うわっ! うわわわっ!」


 落ちる!


 何故自分が空高く飛んでいるのか判らないが、こんな所から落下したら命が危ない。

 兎に角何かしなければと、ジタバタしてみた。

 

優樹「あっ! あれ? あれれ?」


 純白の勇者の鎧のお陰なのか、優樹は地面に落下することなくフワフワとゆっくりと降下して行く、これならば怪我とかしないだろうと思い、少しだけ気分が落ち着いた。

 

 ズッズッウウッン!


 不意に後ろで地鳴りの様な音が聞こえ、振り返ると先程まで戦っていた老猿が、埃を巻き上げながら地面に大の字になって倒れて行った。

 その老猿の向こうに4人の大切な仲間達が見える、全員怪我なく無事の様で優樹を心配しつつも老猿から目を離していない。


 フェルドラ達も、少し離れた木の上から見ていたが、優樹の放った技を見て驚愕している。


フェルドラ「なっ! 何だあの光は!

 しかも、あの老猿を倒すほどの威力だと!」


ティムト「何って、あれこそが純白の勇者が見せた星の輝きさ、やっと望むべき未来へと時が動き始めたようだね。

 全てはこれからさ、これからもっと、もっと眩しいく、もっと力強い星の輝きを僕に沢山見せて欲しいなぁ。」


 驚愕しているフェルドラとは対照的に、ティムトは薄く口元に微笑を浮かべ、眼光は怪しげな光を放っていた。

 

 ゆっくり地面に舞降りる優樹の元に駆け寄る仲間達。


紫鶴「勇者殿、やりましたね! 物凄い技でした! どのようにしたらあの技は撃てるのですか? もし教えてくだされば親父殿に良い土産話になるのです。」


クラリッサ「優樹、純白の勇者の技、確かに見せてもらった。」


フォン「ワッフ、優樹凄い!」


メーナ「ゆっきー! やったね! お猿さんをスパコーンって一撃でやっちゃったよ!」


優樹「ハァ、ハァ、皆! ありがとう! 

 でも、ボク自分でもどうやったかよく覚えて無いんだ? 何か暗い所に居て目の前に光が見えたから、走って手を伸ばしたら…気が付いたらいきなり空飛んでて…」


 体力を使い過ぎたのか、優樹は少しフラつきながら皆んなに感謝の言葉を述べた。


クラリッサ「何を言っているのか全然判らんが、それでやってしまうのが優樹だな。

 兎に角あの一撃は、本当に見事だったぞ。」


 ガサ! バキィ! バキィバキィ!


 5人が音の方向を見ると、老猿の倒れた直ぐ隣の森が2つに割れ始め、奥へと続く道が出来上がった。

 老猿を倒した事で、世界樹への道が開いたようだ。


フォン「ワッフ! この先嫌な匂いや気配がする。」


 フォンが狼耳とフサフサの尻尾をパタパタさせながら、世界樹へと続く道の先に鋭い視線を向ける。


ティムト「さて、僕達は一度帰ろうかフェルドラ姉ぇ。

 僕はお腹が空いちゃたよ、フェルドラ姉ぇの作ったキノコのスープが食べたいなぁ。」


フェルドラ「くっ! 仕方ない、あんな攻撃を受けたら一瞬で黒焦だ! 根城に戻って一から作戦を練り直す!」


 2人は音も無くその場を離れた。

 残ったのは優樹達5人。


紫鶴「各々方! ここから先は険しき茨道! 

 されど我々の行く道は、たとえ何があろうとも不退転なのです。」


メーナ「もーホント紫鶴っちは頭も喋りもかったいな〜、レッツ ゴー! で良いんじゃないかな?

 そんなんじゃ、いつまでたっても大きくなんないぞー。」


紫鶴「むっ! 何を言われる私はこれからが成長期なのです!

 直ぐに大きくなってメーナ殿やクラリッサ殿みたいに、バイン バインのボン・キュッ・ボンになって見せるのです!」


メーナ「あれ、あれあれぇ〜? 紫鶴っち、メーナ胸の事なんか言ってないよ〜。

 ゴメンゴメンもしかして気にしてた? でも大きいと色々大変だよ〜、胸が大きいと肩が直ぐにこっちゃうしー、男の子はすぐ見てくるしー。」


 メーナが悪戯顔で両腕を組む、すると豊かな双胸が更に盛り上がった。


紫鶴「ムッキィー! 喧嘩売ってますか? 売ってますね! 酒鬼族は売られた喧嘩は躊躇わず買うのです!」


 仲間達は皆、笑顔であった。


 フラッ、ドサッ!


クラリッサ「優樹!?  しっかりしろ優樹!」


フォン「ワッフ?!」


メーナ「ゆっきー!」


紫鶴「勇者殿!」


 優樹は電池が切れた様に倒れ、目を覚ます事はなかった。


ーーーーーーーーーーー

 蒼のじゅんなま


 今週、急に暑くなった所で体調不良を起こし、今回話しが短くなってしまいました。

 皆さんも体調には、お気を付け下さい。

 次回から本編再開。

 [ 柴崎 将吾君と優樹のスポ根特訓! 伝説のフェニックス シュートをマスターせよ?! ] 

 将吾と優樹の熱血スポ根ドラマを書かせて頂きますので、読んで笑ってくれたら自分嬉しいです。

 ……後、出来ましたら★と♥をお願いしまする。

 

 


 

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