第20話 知らぬ間に美人になった幼馴染には、何と言えば良いのだろう?

バロン「我が主、これでよろしければチェックを入れてくだされ。」


 魔導書[ 祖は左の手に ]が開きスキルに関するページで止まった。


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[ 装着スキル一覧 ]


…アクティブ スキル…

クリエイト ゴーレムLv1……MP12


スキルシード使用

[ ]リペア ゴーレムLv1……MP5(HP20回復 クール タイム3分)(new!)


…パッシブ スキル…

ナチュラル スキン

表情(喜怒哀楽)

発声(cv)

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 新スキル(リペア ゴーレムLv1)にチェックを入れた。

 使用MP5でHP20回復のクールタイム3分必要か、取り敢えず優樹の傷はこれで綺麗に治るかな。


バロン「我が主、このスキルはあくまでも娘子にのみ使用する物であるであるゆえ、御身が傷つかれた時にはポーションのたぐいをお使いくだされ。」


俺「分かったよバロン。

 それじゃ春奈、リペアを掛けるから優樹を返してくれ。」


 ダンジョンの事を説明している内に、あっと言う間に仲良くなった優樹を両の手の平に乗せて、楽しそうに女子トークをしている女性に声をかける。

 [ 柴崎 春奈 ]俺の親父の弟の娘さんで22歳の女子大生、ショートヘアーの余り自己主張はしない普通の性格、俺の家(爺ちゃんの家)から車で15分位の所で家族と同居中。

 一人暮らしの俺に偶にカレーや豚汁を持って来てくれる幼馴染でもある。


 春奈が俺に渡すのを嫌がるように、優樹を抱きしめて隠した。

 お前の胸(Dカップ)に優樹が埋もれてかわいくジタバタしているぞ。

 春奈にとって胸はコンプレックスなので言葉にはしないが……また育ったな。

 ピンクのタートルネックセーターが一部分メチャ伸びているぞ。


春奈「お父さんが、将吾兄ィが又おかしな事に巻き込まれている筈だから、様子を見に行けって言われて来たんだけど、まさかこんなカワイイお人形さんと遊んでいるとはね。」


 又とは何故? しかも人形遊びだと…確かに優樹はかわいいが、微妙に反論がしずらい。

 でも、何故オッチャン(柔道やっているから筋肉ムキムキ)は俺に起こった事を知ってるんだ?


春奈「お爺ちゃんからタイムカプセル便来てたでしょ、まだ観てないの?

 昔っから面倒な事は後回しにしてそのまま忘れるの、将吾兄ィの悪いクセだよ。

 ビデオでお爺ちゃんも将吾兄ィのサポートをしてやれって言ってたけど…まさかダンジョンとはね。」


 あっ!……タイムカプセル便! スッカリ忘れていた。

 昨日の事なのに、もう半年も前の事のような気がする、たしかベットの端に放り出したままだったかな?

 

俺「でも春奈、ダンジョンには危ないから連れて行かないぞ。」


春奈「行きたい! 将吾兄ィばっかり優樹と遊ぶのはズルい!」


俺「ダメ! ダメったら絶対ダメ! あと、そのままだと優樹が窒息するぞ。」


 春奈は優樹を強く抱き締めた、優樹はまた胸に埋まってジタバタしている、この姿もかわいいな。


春奈「行きたい! 行きたい!」


俺「絶対、絶対、絶対ダメだー!」


30分後


俺「いいか? 俺か良いと言うまで、絶対俺より前にでるなよ! 絶対の絶対だぞ! 優樹もとにかく春奈を守ってくれ。」


春奈 優樹「「はーい。」」


 俺達はダンジョンに向け裏山の道を登っている。

 頑張って止めたんだけど、優樹も加わって結局OKしてしまった。

 俺って意志弱え。

 でもこの辺りは幼少の頃3人(春奈の弟で名前を透)で遊び回った場所だから、ダンジョンの場所はすぐバレるはずなので、勝手に入られるよりはましだと考えよう。


優樹「将吾君、春奈はボクが絶対に護るからね!」


 俺の右肩に乗る優樹は[ リペア ゴーレム ]のスキルを使い、元通りの美しい姿に戻っている。

 再びアニメの如く、元気一杯ダンジョンで戦う姿を俺に見せてくれ。

 ヘルメットに新たに取り付けたデジカメで、これから優樹の戦闘シーン撮影はバッチリだ。

 春奈には俺のバイク用品を着せようとしたが、身体の一部がキツ過ぎたため草刈り鎌だけ持たせた。

 入口にたどり着き、お地蔵さんに一礼して本日2度目のダンジョン アタックだ。


春奈「将吾兄ィ、本当にここがダンジョンなの?」


 やっぱり少し怖いのか春奈が俺の左腕を掴んで来る、よく育ったとても柔らかい何かが……いや! ここはダンジョン! 危険地帯だ煩悩よ去れ! 

 俺は優樹たちメンバーを後4人集めて、勝利のポーズを取らせると言う崇高な欲望を叶えるために…結局、我欲ばっかりだな。

 とにかく、今は戦いに集中し……居た! 絡み草その名もタンポポ!


俺「春奈、まず俺が仕掛ける。

 お前は見学だ、行け! 優樹ィ!」


 俺の右肩から矢の如く優樹が飛び出しタンポポに斬り掛かった。

 前の戦闘より明らかに動きが良い。

 軽やかなステップでタンポポの攻撃を躱し、[ 聖剣トライフィード ]で確実にダメージを与えている。


優樹「セイッ!」


 掛け声と共に見事にタンポポを倒して、コチラに顔を向け笑顔を見せてくれた優樹。

 うん、凄くかわいくて綺麗で格好良くて最高だったぞ!

 

俺「春奈、優樹が今みたいに葉っぱを切り落としてくれるから、お前はその鎌で最後の止めを刺して…いや切り落としてく…」


 言葉にしながら顔を向けると、すぐ近くに春奈の顔があって思わずドキッとして、慌てて顔を戻した。


春奈「うん。分かったけど、どうしたの将吾兄ィ?」


 う〜ん、我が従兄弟ながら美人になったな。

 春奈は身内以外にはあまり笑顔を見せないので、回りからクール ビューティーと言われているそうだ(弟の透より)。

 俺はあと、どの位春奈の側に居られるのだろううか?


優樹「将吾君! あそこにも敵が居る! ボク行くよ!」


 優樹が新たな敵タンポポを見つけ素早く斬り掛かった。

 今は気持ちを切り替えろ、此処はダンジョン、命の取り合いをしているんだ! 敵から目を逸らすな。

 優樹は流れる様な剣技で葉っぱを切り落として行く。


俺「良いぞ優樹! 行けるか春奈?」


 春奈が神妙な顔つきで頷き、葉っぱを切り落として花だけとなったタンポポに、ゆっくり近づき鎌で刈り取った。


俺「よっしゃー! やった、やったぞ春奈! これでお前も冒険者だ!」


 刈られたタンポポが光の粒子となり、春奈の前に集まりスクロールの形となった。


俺「春奈、そのスクロールを持って一度家に帰るぞ。

 それには取得出来るスキルやお前のステータスなんかが色々書いてあるから、帰ったら俺に見せてくれ。」


春奈「ステータ……将吾兄ィのエッチ!」


優樹「将吾君のエッチ!」


 デヘ、2人に言われちった。

 いや…春奈の体重やスリーサイズが知りたいのでは無くて…。

 頬をチョット赤くして、上目遣いで少し拗ねた顔を向けて来る春奈。

 そんな表情に俺もドギマギしてしまった。


バロン「我が主、流石にダンジョンでラブコメは無理過ぎんか?」


 うん、俺もそー思う。

 


 

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