第16話 アニメ [ 異世界幻想伝 フレイリアーナ ]

第一話 [ その手に聖剣を! ]


 前話からの続き


 伝承の台座から無数の眩く白い光が溢れ出す。

 その光は沢山の白い鳩となって暗い部屋の中全体に飛び廻った。

 

フェルドラ「うわっ何だ! 痛っ! 痛たたっ! ひでぶっ! あべし! フジコふじこっ!」


 白い鳩はフェルドラを四方八方からヒット アンド ウェイ攻撃をし始めた。

 それに対し、クラリッサやリリアには何もせず体の横を飛す過ぎるだけであった。


クラリッサ「これは? これは一体何なのだ……。」


 クラリッサは状況が理解出来ずただ周りを見ているだけだったが、やがてバラバラに飛んでいた鳩達は部屋の1箇所に集まるように飛ぶ方向を変えた。

 その先には、鞘に収まった[ 聖剣 トライフィード ]を両手に掴んだ優樹が目を瞑り、立ち上がろうとしていた。

 

 白い鳩達は一羽一羽が羽の形に姿を変え優樹の身体を包み込んでいく。

 羽の一枚一枚が優樹が着ている中学生のブレザーの上から翼を広げたデザインの鎧に姿を変えていく。

 やがて優樹の額、左肩、左胸、左腕、腰回り、膝まで来るロング ブーツと成り、純白の勇者と呼ぶに相応しい姿となった。

 

 優樹は、一度ゆっくり空気を吸込み、一度止め、そしてゆっくり吐き出す。

 少し顎を上げ、フェルドラの方を向き、二つの瞳を開けた。

 凛としたその表情は、まだまだ幼さを残してはいるが、戦う戦士の顔となっていた。 

 

 シャキィーン!


 鞘に入った[ 聖剣トライフィード ]を左腰に装着し、足を肩幅ほどに開き、流れる様に右手で聖剣を抜き両手で構えた。

 左腕の翼のデザインのスモール シールドと、剣の翼のデザインの鍔。

 両手で剣を構えると一対の翼が広がる、今にも羽ばたいて飛んて行けそうな構えである。


クラリッサ「あれが…純白の勇者?…師の言っていた伝説は本当だったのか!?」 


フェルドラ「ふん! 小娘! お前がいくら鎧を纏おうが、いくら剣を抜こうが、本当に伝説にある純白の勇者であろうが、私が成る花嫁への道を邪魔する者は! 全てこの赤石で粉砕してくれる! 行くぞ! 赤石の鎌鼬!」


 優樹は聖剣を両手に持ち、フェルドラを正面に見据えた。


優樹「行くよ! セイッ!」


 フェルドラの赤石から赤い三日月の刃が飛ぶ、対して優樹の上段から大きく振るった聖剣トライフィードから、白い翼の斬撃が飛び出しこれを迎え撃った。

 激しい衝突音がした瞬間、白い翼は三日月の刃を粉々にしてそのままフェルドラを弾き飛ばした。

 そのまま壁に叩きつけられたフェルドラは苦痛と驚愕の表情になった。


フェルドラ「がっ! ぐふっ! 何だと? 我が赤石の守りを破っただと?! これが…これが純白の勇者の力だと言うのか?」


 優樹は油断すること無くフェルドラに剣先を向け鋭い口調で言った。


優樹「リリアをあそこから出して!」


フェルドラ「うっ、くっ…何故だ? 何故お前は戦う? 何故この者達を助ける?

 お前はあの小娘に訳も分からずこの世界に呼び出されて、戦を強要されたんたぞ!

 何故だ! 我々と違ってお前には剣を取って戦う理由など何処にも無い筈だ!」


優樹「……約束したから…リリアは…リリアは氷に閉じ込められるまで…最後の最後まで、この国の人達の未来を守ろうとしていたんだ。

 体が冷たくなって行くのに、ボクを此処に呼び出した事、謝ってくれた。

 体が氷付いて行くのに、ボクに沢山の幸せが届くようにって、願がってくれた!

 だから……戦う、ボクは戦うよ! ボクに何が出来るのか分からないけど、どこまでやれるのか分からないけど…このままじゃリリアが居るこの世界が、大変な事に成るって分かるから!」 


フェルドラ「くっ! 我らとて…このまま滅びによる終焉を座したまま…眺める訳には…」


 ドカッ! バキン! 


 正面入口が吹き飛んだ。

 

???「うわぁーお! 綺麗なお姉さんが沢山いる!」


 ふらりと入ってきた人物は一人。

 フェルドラとおなじ褐色の肌、優樹と同じ位のの身長だが歳は下の様だ。

 目に掛かる位のサラサラ ヘヤーで美少年と呼べる顔立ち、身体に布を巻き付けただけの格好でサンダルを履き、両手には何も持っていない。

 屈託の無い笑顔は、美少女達に出逢って喜んでいる様にしか見えなかった。

 

フェルドラ「ティムト! お前は今の今まで何処ほっつき歩いていた!」


ティムト「ゴメンゴメン、フェルドラ姉ぇ。

 里の娘たちが中々離してくれなくてさぁー。」


 ティムトは爽やかに笑いながらゲスな事を言い放ち、散歩する様にフェルドラに近づき肩を貸し立ち上がらせた。


優樹「君、逃げる前にリリアを此処から開放して!」


 優樹は剣先をティムトに向けた。

 ティムトは優樹の方を向き少し困った様子で言った。


ティムト「う〜ん、それはすぐに出来るけど…リリアはソレを望んで無いよ。」


優樹「どうゆう事?」


ティムト「僕が観た星見、リリアが観た星見にはね、遠く無い未来リリアはこの世界の全てに絶望して黒葛の魔女に堕ちてしまうんだ。

 僕達はそれを止める為に此処に来たんだよ。

 リリアにとって、このまま時が至るまで眠りに付くのが最良の選択なんだよ。」


 さらりと未来の起こる出来事を言うティムト、そしてそのまま言葉を繋げる。


ティムト「未来は世界樹の枝の様に今も色々な方向に分岐しているんだよ。

 共に手を取り合うはずの者同士が殺し合ったり、出会うはずのない者が恋に落ちたり……これから僕達は…星見ですら見切れない未来は…誰の星がどんな輝きを放つのか……とてもとても楽しみだ……よっ!」


 ティムトはフェルドラを肩に担いだまま床を蹴り上げた。

 魔法なのか大量の埃が視界を塞ぎ、収まった時には、2人の姿は消えていた。


クラリッサ「逃げたか…純白の勇者殿。

 私はクラリッサ、クラリッサ・メルベーレン・フレイリアーナ。

 リリアの姉だ、勇者殿の名は何と言うのだ?」


 優樹は聖剣トライフィードを一度見た後、鞘に戻しクラリッサに挨拶した。


優樹「こんにちは! ボクは優樹、天河 優樹と言います。

 リリアはボクが必ず! 必ず助けるよ!」

 

 壊れた扉から朝日が差し込む。

 この日より天河 優樹の、純白の勇者の、世界を、フレイリアーナを守る為の戦いが始まった。


アニメ[ 異世界幻想伝 フレイリアーナ ]


第一話 「 その手に聖剣を! 」

END


ーーーーーーーーーーー

蒼のじゅんなま より


 次回より、本編へたれ主人公[ 柴崎 将吾 ]とその相棒、ヒロイン 美少女フィギュア ゴーレム[ 天河 優樹 ]のダンジョン珍道中? を再開いたします。

 もし宜しければ、引き続き読んで頂けたら自分、大変嬉しいです。


 …後、出来れば★と♥を、お願いしまする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る