第15話 アニメ [ 異世界幻想伝 フレイリアーナ ]
第一話 [ その手に聖剣を! ]
前話からの続き
バタバタと部屋の外から、何者かが近づいてくる音がする。
クラリッサ「リリア! だいじょうぶか? まだ生きてるか? 」
扉を文字通り蹴破って入って来た女性は、金髪を綺麗に編込み、コバルト ブルーのブレスト プレート、スカート アーマー、右手にでっかいメイス、左手には少女の横顔のレリーフが入ったカイト シールドを持ち、氷の棺に覆われたリリアを一目見た後フェルドラに鋭い視線を向けた。
フェルドラ「アーハツハッのハ!
来るのが少し遅かった様だなフレイリアーナの聖騎士クラリッサ。
お前たちの希望である聖女リリアは今、氷の棺で永き眠りに付いたぞ!」
クラリッサ「フェルドラ貴様! 我が冷血漢の妹を氷漬けにしたのはお前か?」
ビキッ!
氷の棺に閉じ込められたリリアの、こめかみあたりの氷に小さくヒビが入った。
表情に変化はないが、怒りのオーラを醸し出しているのがハッキリと分かる。
クラリッサ「お前の下僕たちは我々が全て倒したぞ。
残りはお前だけだ、覚悟しろフェルドラ!」
フェルドラ「そうか、かの者達は見事役目を果たしたか……、しかし、こうも簡単に揺動に引っ掛かるとわなぁ。
貴様はもう聖騎士などと名乗らず、猪騎士とでも名を変えたらどうだ?」
クラリッサ「やかましいフェルドラ! 口やかましい上に、胸も腰も貧相な我が妹をさっさと開放し……いや待てよ、このまま少し凍らせておいた方が、城の中が静かになって良いのかも…?」
ビキッビキッ!
リリアのこめかみの辺りから再び氷が割れる音がする。
表情は変わらないが、醸し出す怒りのオーラがさらに激しくなった。
(なんだとゴラァ! 誰が貧相だとぉ!
お前に胸に付いてるそれは! 脂肪の固まりではなくて、ただの筋肉だろーが!)
そんな言葉が今にも聴こえて来そうなオーラである。
クラリッサ「喰らえ!我が聖ボーク ノーツの一撃!」
フェルドラ「我を守れ! 赤光の壁よ!」
ガキン!
左手の赤黒い石が光り黒いガスが立ち込め、クラリッサのメイスの攻撃を防いだ。
フェルドラ「ハーハッハッのハ! 無駄ァ無駄ァ! この赤石の守りがある限り、何度やってもお前たちに我々を傷つける事は出来ん! 出来んのだ!
それでは今度はこっちが行くぞ! 赤石の飛棘!」
フェルドラは右手の槍ではなく、左手にの赤石をクラリッサに突き出すと、赤石が光り黒い20センチ位の黒い棘が次々と撃ち出された。
クラリッサ「ぬう! 負けるか、我を守れエレナの聖盾ェ!」
クラリッサの持つ盾が光りを放ち黒紫の棘を防ぐ、しかし棘の勢いは止まらず少しづつ押され始めた。
優樹「うっ…。」
台座に叩きつけられて少しの間、気を失っていた優樹はボンヤリと意識を取り戻した。
目の前に何時から居たのか、白い鳩が羽ばたいていた。
そして優樹と目が合った瞬間言葉を喋った。
???「アーアーも~しも~し、聴こえてるかー?
俺、昔っから固っ苦しい喋り方が苦手でさ、聞いててムカついたなら御免な。
多分今、イキナリ訳分からん場所に呼び出されて、純白の勇者だーとか、国を救う為に戦えーだとか、色々言われて困ってると思う、俺の時もそーだった。
あっ、俺も今純白の勇者やってんだ、だから君の先輩て奴に成るのかな?
リグルードの奴が最後の試練を受ける前に、後に戦う者達に声を残せって言うからこーやって喋ってるんだけど…ナンテ言ったら良いのか…あー…うん。
そうだなァ…やっぱりソッチでも今滅びによる終焉が起こってると思う。
俺達はそれでこの世界を何とか救う為に呼び出されてるんだ。
そんでこの世界は今、黒葛の魔女って奴や、黒茨の剣士なんて奴らが暴れ回ってやがる。
そいつ等の持つ赤石にはこの世界の武器や魔法が効かねえんだ。
唯一純白の勇者とその仲間だけがダメージを与えられる。
つまり、俺や君の仲間だけが奴らと戦えるんだ。
俺も最初は…俺は勇者だーなんて浮かれてたんだけど、この世界はそいつ等のおかげで今かなりやべー事になっててさ、このままだと大地がひっくり返って、水が枯れ、空が真っ黒になって本当にどえらい事になっちまう。
コッチの世界に来て俺の事色々助けてくれたエレナ達やこの世界の奴らはさ、スゲー気の良い奴らばっかでさー、スゲー良くしてくれたんだ。
だから俺、この聖剣トライフィードを取ってこの国を守ろうと誓ったんだ。
だから…今、君がどんな奴なのか、どんな顔してんのか此処からじゃ解んねーし…これからとんでもねー戦いに巻き込まれるんだけど……もし…もし頼めるんだったら……この世界を、エレナやゴインスやスーダ達と、そしてもっともっと沢山の仲間達とで頑張って守ったこの大地を…そこで生きる人達を…助けてほしい。
本当に、メチャクチャ勝手な事言ってるって思うけど……君は絶対に一人じゃないから…必ず背中を任せられる仲間が集まるから……だから……聖剣を取って欲しい!
純白の勇者ビデオは伝承の台座に、次の純白の勇者に言葉と願いを残す!
俺も最後の試練って奴にいっちょ挑戦して来るから、それじゃあな!」
白い鳩は、そのまま飛んで行き白い伝承の台座に止まり優樹を見つめた。
フェルドラ「ハーハッハッのハ! そらそらドンドンいくぞ!」
クラリッサ「まだまだぁ! 私はこの位で負けたりはせん!」
クラリッサとフェルドラが戦っている、戦況はクラリッサが押され気味だ。
そしてその後ろに居る氷の棺に閉ざされた少女リリアがいた。
フェルドラからの攻撃をリリアに当たらない様にクラリッサが守っていたのだった。
もう一度リリアに目を向けた。
氷棺に閉じ込めるまで、最後まで国民の事を想っていた少女。
最後の最後に、優樹の元に幸せが届く事を願った少女。
優樹「リリア!」
優樹は躊躇う事なく伝承の台座に突刺さった剣を両手で掴んだ。
純白の勇者の物語が、今始まる。
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