第11話 帰ってきたぜ!

カトやん:ミンミル最高〜! エンディング テーマ曲[ 明日またね! ]最高〜!


 メールはそれだけだった。

 すんげームカつく! 俺だって仕事が無ければミンミルのライブ コンサートに行きたかったわ!

 くそ! 俺も[ 異世界幻想伝 フレイリアーナ ]のエンディング曲[ 明日またね! ]をライブで観たかった。

 あれ?フレイリアーナ? 天川 優樹?


俺「あっ! そうだ、そうだよ思い出した! 優樹、優樹だよ!」

 

 ダンジョンで、ゴーレムで、[ 優樹 ]だよ、鷲尾代表の事でスッカリ忘れてた。

 カトやんへの返事? 悔しいので優樹の動画を送り付けてやる。


俺 : こんなの作りました。送信。


 周りを見ると優樹が、最後に見たままの姿で、ベッドの端っこにちょこんと座っていた。


 俺「えっと、魔導書(祖は左の手に)はどうやって出すんだっけ?」


 左手を見ていたら、イキナリ魔導書が浮かび上がってきた。

 ついでに[ バロン ]も浮かび上がってきた。


バロン「ご機嫌よう我が主、魔力は随分戻っているようだか、気分や体調はいかがかな?

 我が主にとっては魔力切れは始めての事ゆえ色々驚く事だと思うが、これらの経験が我が主をより強くするであろう。」


 バロンへの返事もそこそこに、優樹の身体にキズや破損が無いかチェックする。

 とりあえず外傷は見当たら無いので一息ついた。

 いったい今何時だ? 時計を見ると18時3分、もう夕方の時間になっていた。

 確か今日は……リモート ワーク会議して、裏庭を散歩してたらダンジョン見つけて、ガチャ引いたら天川 優樹がクリエイト ゴーレムで俺の嫁…俺の相棒になって、魔力が切れて倒れて…

 

俺「ズット言いたかったエクス プロージョンを唱えられたんだっけ!」


バロン「我が主はたまに理解に苦しむ事をするな、しかも残念じゃが最後まで唱えられんかったぞ。」


 いいんだよ! こうゆうのは気持ち、気持ちの問題なんだよ!

 俺の人生でやってみたかった事の一つが叶ったんだよ。

 さて、いよいよ優樹を立ち上がらせて、最後に勝利ポーズだ。

  魔導書[ 祖は左の手に ]を左手に持ち優樹に声をかけた。


俺「それじゃ優樹、ゆっくりで良いから頑張って立ってみようか。」


 魔導書(祖は左の手に)から魔力が流れ優樹に繋がるのが感じる。

 コクン、と優樹が頷いたように見えたのは、見間違いではないと思いたい。

 ベッドの上なので動き難いと思うが、ゆっくりゆっくりバランスを取りながら、しかし確実に優樹はその場に立ち上がった!


 そして、[ 聖剣 トライフィード ]を高々と揚げ勝利のポーズをきめた!


俺「おぉ! 決まった!」


 それは凛々しく、しっかりと、華々しく、力強く、美しく、その他、色々まとめてヤッパリカッコ良かった。


バロン「我が主よ、良ければこの娘子のステータスを見てはどうじゃな?」


 優樹のステータスか? 一度、優樹を見て魔導書(祖は左の手に)を見るとページがめくれそこに優樹のステータスが浮かび上がってきた。


ーーーーーーーーーー

天河 優樹


HP………31/31

防御力……22

腕力………27

敏捷性……36

ーーーーーーーーーー


バロン「創り手の願いなのか煩悩なのか良く分からぬが、かなり強力な念がこの娘子には込められていたようじゃな。

 とても高い数値であるゆえ、戦場では主の剣となり、盾となりとても頼りになる騎士となるじゃろう。」


 創った造形師さんの優樹に込められた情熱? は[ クリエイトゴーレム ]の魔力に強く反応したらしく、力も敏捷性も俺のステータスより遥かに高い数値を叩き出していた。

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