第8話 [ 天川 優樹 ]主人公とヒロインはお前だァ! その2
???「それは最初に左手に持ったからである。
本の後ろに羽ペンがついておる、それを右手にもち魔導書に様々な事を書きこむのだ。
たとえば戦闘での反省点だの、今日の出来事だの、目標討伐数だの、ダンジョンの地形、モンスターの種類、戦闘パターン、弱点、アイテムの有無、ゴーレムの使い方、ジェムの……」
最初に左手に持ったから? では右手で持ったら[ 祖は右の手に ]になったのか? 脇の下に挟んだら[ 祖は脇の下に ]になったのか? それはすごく使いにくそうだな。
出来ればもー少しエレガントで、ゴージャスで、荘厳な名前が良かったなぁ……[ とある魔術のゴーレム マスター ]とか[ ゼロからはじめるゴーレム マスター ]とか色々あると思うんだが?
だが羽根ペンが付いて色々書き込めるのは分かった。
???「その名を上げるも下げるもお主のコレからの行動しだいである。
とりあえず、まずは魔導書(祖は左の手に)を左手に。」
手に持ったとたん呪われたりしないよなぁ。
とりあえず、言われたように左手で魔導書[ 祖は左の手に ]を持ってみる。
あれ? 重さをほとんど感じない?
???「それはもう既にお主の身体の一部である、身体の重さを日々感じたりはせんじゃろ。
ともかくまずは、解錠でもOPENでも好きな言葉を選んでステータスと、唱えて見るが良い。」
そーゆー物か? 色々突っ込みたいが、まず自分のステータスを見てみたいので後にしよう。
俺「オープン ステータス!」
バチン バラララ……
左手に持った魔導書の鍵が空き、魔導書が開くと同時にページがめくれた。
ーーーーーーーーーー
柴崎 将悟
LV…………1
HP…………34/36
MP…………39/39
状態…………ちょっとドキドキ
腕力…………15
敏捷性………13
持久力………17
器用度………24
知力…………31
幸運値………34
…スキル…
クリエイト ゴーレムLv1
ーーーーーーーーーー
???「ふむ、知力が高くMPも高い、お主は正に魔術師向きなステータスであるな。
幸運値がかなり高い数値を出しているのも良い。」
悪かったね! 体力ねーよ! 運動不足だよ! 自分でも自覚してるよ。
でも幸運値が高い? これでも人生28年、良い事なんて何もなかったぞ。
宝くじだって当たった事ないぞ……そもそも買った事もないけど。
あと状態が[ ちょっとドキドキ ]ってなに? 間違ってはいないが、かなりお茶目な表現するなぁ。
???「これからおぬしが共に戦いしゴーレムは、クリスタルを核とし躍動するタイプである。」
魔導書[ 祖は左の手に ]が左手の上でパラパラめくれ、赤いクリスタルが描かれたページで止まった。
???「では、口上はいかに?」
そんな言葉と共にクリスタルが魔導書の中から赤い光と共に浮かび上がった。
クルクル回りながら赤く光っている。
俺「口上? なにそれ?」
???「ゴーレムとお主とはいかなる関係か? であるな。
いかに振る舞い、どのような敵と戦い、何を成すべきか、そのような事を口上とすれば良い。」
口上か、確かに最初が肝心なのは分かるが……
美少女アクションフィギュア[ 天川 優樹 ]と俺の関係とは何か? 何を言えば良いのか? とても大事な事なので勢いに任せず少し考えよう。
箱から[ 天川 優樹 ]を出し土台の上に倒れない様に立たせる。
[ 聖剣トライフィード ]を取り出し右手に持たせる。
魔導書[ 祖は左の手に ]を左手に持ち直し、おもむろに正座する。
意志の強い2つの目を正面から見つめ自分の心に聞いてみる。
ふわっと、頭に浮かび上がった言葉そのままを[ 天川 優樹 ]に向けて発した。
俺「えぇ〜と、健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しき時も、共に敬い、共に助け合い、命ある限り真心を尽くす事をここに誓う。
クリエイト ゴーレム!」
???「朗々としてとても美しい口上ではあったが、それはこのような場で使う言葉か?」
俺「いいだろ! 現実で使う未来はハッキリ言って来ないんだよ。
28歳彼女無しの童貞が、こんな時くらいカッコ付けて言ってもバチはあたらないだろ。」
……なんか今、心にデッカイ ブーメランが刺さった気がしたなぁ。
赤い光を妖しく放ちながら、魔導書の上でクルクル回っているクリスタルが、ゆっくりと[ 天河 優樹 ]の胸元に吸い込まれるように消えていった。
ようやく[ 俺の嫁 ]……では無く、俺の[ 相棒 ]の大活躍が、いよいよ始まるの…か?
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