第3話 ターニングポイントなのか? その2

俺「あれ? 奥まで穴がある?」


 家の裏から山道を20歩も進むと、洞穴とは呼べないような奥行き2メートル位の横穴があり、そこに昔から何故か此方に背中を向けたお地蔵さまが一体祀られている。


じいちゃん「このお地蔵さんは、恥ずかしがりやさんなんじゃ。」


 生前、じいちゃんがそんな事言っていたが、これ不動明王様じゃなかったけ? 怖い顔してるし睨んでるし。

 昔のように手を合わせようとしたら横穴が奥まである事に気が付いた。


俺「まさかじいちゃん、奥まで掘ったのか?」


 昔からお茶目で突拍子もない事をする人だったから今更驚いたりしないが、これはいったい何なのだろう?

 お地蔵様に手を合わせてから、横を抜け恐る恐る入ってみる。

 天井は高さ2メートル以上あるみたいだから頭はぶつけないが、ジメジメした空気が肌に纏わりつく付く。

 5メートル位進むと終わりかと思ったら穴が右に曲がり先が続いていた。


俺「洞窟に先がある…まさかじいちゃん、ばーちゃんに隠れて秘密基地でも作ってたのか?」


 じいちゃんこれ掘ったのか? どんだけ時間かけたんだ? 何のために? もう少しだけ先に行ってみるか?

 歩いていると、中は何故かうっすら明るかった。


 ガサッガサガサ


俺「うおぁ?!」


 不意に何かが足に絡まった。

 見ると何かの草のようだがビックリして強く踏みつけてしまった。


 ビカッ バリーン!!


 なんだ? 草が赤く光ったと思ったらガラス細工のように砕け散った!

 その赤い光の破片が洞窟内を四方八方跳び跳ねていく。  

 跳ね返るたびその部分が輝き、いつの間にか洞窟全体が赤く輝きだした。


俺「なっ…何だこれは? さては異世界召喚か? 異世界転移か? 出来れば純情系美少女キャラに出会えますように!」


 思わず自分の願望を言ってしまった、我ながら余裕あるなぁ…ラノベの読み過ぎか?


???「こんにちは! ボンジュール! ニーハオ! もーかってまっか? グーテンモルゲーン! まいどおーきに! グッドアフタヌーン!」


 何だ? 少年の様な少女の様な声が、ハイテンションで何処からとも無く聴こえ来たぞ。

 慌てて周りを見渡すが声の主はドコにも見当たらない。


???「いや~、ずっと誰も来なくてさぁー、もしかしてこのまま孤独のダンジョンになるかと思ったよー。

 初めて来てくれた君には大サービスだー! グッドでバットな物、色々付けちゃうからねー持ってけどろぼー! グラッチェッグラッチェッ。」


 脳みそが状況を理解出来ずにいると、赤い光が目の前に集まり筒状の何かになった。

 もしかして、これを俺に取れと言う事だろうか?

 いやチョット待て、今何と言った? 孤独のグル…違う! ダンジョン! ダンジョンと言ったぞ! ダンジョンと言ったらアレだろ。

 兎が出て来て首チョンパしてくるアレだろ、忍者が出て来て首チョンパしてくるアレだろ、道化師が出て来て首チョンパしてくるアレだろ。


 体に纏わりついたジメジメした物が急に冷たくなった。 

 今、俺はトレーナー上下(税別3,980円)だぞ、武器など無く、勿論ダンジョン アタックする覚悟なんてあるわけがない。

 喉が乾き手が震え、足が急にガクガク ブルブルして来た。


俺「うお、うわあぁーー!!」


 俺は恐怖で逃げ出していた。

 とにかく、とにかくここから逃げたい、逃げなければ!

 心臓が途轍もなくバクバク言っている。

 手もバラバラで足もバラバラな走りだが、とにかくここに居るのは危険だ。

 振り返る事無く俺は家までの道を猛ダッシュした。


ーーーーーーーーーー

蒼のじゅんなま

 まだまだ優樹達の出番は先ですが、出来ればヘタレな主人公に愛の♥と★をお願いいたします。

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