第19話

 ココ視点


 ギルドマスターに診療所に行くように言われた。今まで一度も呼ばれたことがなかったから驚いた。

 多分エル君のことだろう。しかし、なぜ呼ばれたのだろうか。それが疑問だった。


 疑問に思いながら診療所に向かった。


 診療所につくとエル君の病室に向かうように言われた。

 言われたとおりにエル君の病室に向かった。


 「失礼します」


 ノックをしてから入ると、エル君がこちらを見ながら微笑んでいた。それを見て私はドキッとした。

 私が少しだけ戸惑っていると、彼から声をかけられた。


「あなたがココさんですね?僕はエルといいます。お見舞いありがとうございました」


といきなり感謝を述べられた。ただ私がしたかったからしていたのに。自己満足のためにしていたのに。

 だから私はどうしていいのかわからなかった。ただただ戸惑った。

 そんな私の様子を見て、エル君は


「僕のことを気にかけてくれたこと、お見舞いに来てくれたことに感謝しているんです。誰も来てくれないと思っていましたから」


と言ってきた。

 私は少しだけ理解した。彼のこれまでの人生を知らないが、家族に愛されていなかったこと、仲間といえる人がいないことを。

 だから私は、


「お礼は素直に受け取ります。でもこれだけは覚えておいてください。これからあなたに何かあれば、私が来ます。その時は感謝してくれてもいいですが、これが当たり前だと思っておいてくださいね?」


と、エル君の後見人になれるとは思ってはいないが、家族、姉の代わりとして、仲間として私は接していくことに決めた。


 私の言葉に彼はきょとんとしたが、すぐに


「わかりました。そう思えるように頑張ります」


と言ってくれた。


 私は満足したので帰ろうとすると、エル君からまた声をかけられた。


「いきなり呼んだのに来てくださりありがとうございました。医師から毎日お見舞いに来てくださっていたと聞き、お礼をしなければならないと思ったので呼ばせていただきました。本当にありがとうございました」


私は呼ばれた理由を彼から直接聞いて彼の強さを感じた。自分が正しいと思っているから自分が傷つくことを恐れない、格上と分かっている相手に真正面から戦えるのだと。

 だから私は


「こちらこそありがとう。これからもよろしくね}


と返し、彼の病室から去った。



エル視点


(来てくれてよかったぁ。それにしても最後のこちらこそありがとうってどういう意味なんだろう?)


 エルはココが来てくれたことに安堵しつつ、ココが言った最後の言葉に疑問を持ったのだった。

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