第14話
ワクイが焦っている。僕はワクイが水色に染まっている事に気がついた。
冒険者達は事あるごとに言っていた。
「戦闘時は焦ったら駄目だ。その焦りがミスに繋がり、負けに繋がる。」
「焦ったことを自覚できたなら一度落ち着け。落ち着くヒマがないなら、考えろ。動きを止めるな」
僕はこの教えがあったから落ち着いてワクイとの戦闘に挑んでいた。焦ることはあったが、考えることを止めず、また、動きを止めなかった。
ワクイは冒険者として魔物との戦闘経験はあるが、対人戦闘の経験は無かった。また、魔物との戦闘経験は自分より弱い魔物としか戦っていないため、自分と同等かそれ以上の実力の魔物とは戦闘経験が無かった。
そのため、ワクイの動きはどんどん単調に、大振りになっていった。
それでも、周りの冒険者達は戦闘に介入することが出来なかった。大振りなワクイの剣が介入したタイミングで当たってしまう可能性があるからだ。
僕一人の力ではワクイに勝つことはできない。僕は非力だからだ。だけど僕は勝たなければならない。周りの冒険者の力を借りずに。
(周りの冒険者たち)
あいつはワクイに勝てねえ。魔法で援護したいがあいつに当たる可能性があるから撃てねぇ。くそっ。回復魔法が使えたらなぁ…
あいつは非力だ。俺も非力だったからわかるが、勝つためには粘るしかねぇ。身体強化が使えれば戦況がかわるが、あいつは魔力を持ってねぇ。もしかしたら眠ってるかもしれないんだ。だから気づけ。気づいてくれ。
エル君を回復してあげたい。でも回復したら多分エル君は気を引かれて負けてしまう…だから頑張って、エル君。
冒険者は皆エルの努力を知っていた。陰ながら応援をしていた。エルの仕事に繋がるクエストを受けていたり、少しだけ賃金を上乗せするように自分のクエスト報酬から出そうとしたり(これはギルド長が止めた。なおギルド長が商会長に掛け合い少しだけ増額していた)、と様々なことをしていた。
彼の境遇をギルド長から聴いているものも入れば、商会長から聴いたものもいた。それだけエルの事をよく思ってくれているのだ。
だからエル。お前、絶対に勝てよ。どれだけ不恰好でもいいから。どれだけ傷ついていいから。絶対に勝てよ。
たくさんの冒険者から応援されていることを知らずにエルは戦う。
お久しぶりです。
わらびです。
推しのライブ楽しんでたり、バイトが忙しかったりと更新サボってすいません…
春休み近日中に入りますので更新スピード上げていきたいとおもいます。
またね。
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