第15話
僕は焦っていた。周りの冒険者の力を借りずに勝たないといけないが、ワクイが強く、勝てないと思ったから。
ワクイも焦っているが、実力差もとい装備の差ははっきりとしていた。その差でエルは負けそうになっていた。
(ここから勝つ方法はないのか?考えろ…)
エルは指導役の冒険者からこう教わっていた。
「戦闘において大切なことは、冷静になること、周りを見ること、考えること、この3つだ」
この教えを思い出したエルは考え始めた。自分が勝つためにどうすればいいかを。しかし、
(ためだ…装備が違いすぎて勝てない…!)
どうあがいても武器の強さには勝てない。そのため、別の勝機を見つけるために動き続けた。
(装備さも負けている。体力勝負にも持ち込めない。どうすればいいんだ。どうすれば、、、)
エルは考えた。しかし、思いつくことはすべて自分を追い込むことにつながっていた。だが、エルは焦らなかった。焦ることが負けることにつながるし、ワクイも焦っていたからだ。
(僕がワクイに勝てる要素は、、、武器の使い方と立ち回り、かな。)
実際に勝っていることはこの2つだが、それ以外の部分でも生まれていた。それは心の余裕とこの戦闘においての知識量だ。
心の余裕があるから負けておらず、先頭においての知識量の差が立ち回りに関係してくる。
ワクイはずっと大振りのため、エルにいなされ、その度に焦りが積み重なっていた。また、戦闘に関する知識は全くなく、今回の戦闘に関することも何も考えずにしていた。
そのため、ワクイは勝てていなかった。
しかし、エルがこのことに気が付くことはあり得なかった。なぜなら考えながら戦っていたからだ。
戦況は膠着し、どちらかが自分の勝っている要素に気が付き、この戦況をひっくり返すことができる手を見つけることができた方が勝つ。そんな状況になっていった。
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