第3話

 スラムに来てからの一週間は生活に慣れるのに使った。

 まず周囲の人間の生活を観察した。そして時にはある程度の距離を保ちながらついていったこともある。こうしてスラムでの生活に慣れていった。

 また、冒険者ギルドでの扱いやクエストにも慣れることにも時間を使った。慣れないことの連続でよく失敗した。そのたびに罵られたが気にしなかった。いや、気にする時間が惜しかった。(赤色・罵倒、怒りなど)

 クエストに慣れてからはギルドの受付嬢や依頼主から褒められることがあった。褒められるときは必ず通常の依頼達成報酬より多くもらえた。


 そんなこんなで1か月が過ぎた。冒険者ギルドにはランクシステムがある。

 最初はどんなに剣や弓がうまい成人でもFランクから始まる。成人していない子供は特別に設けられているGランクから始まる。

 Fランク以上は王都の外の依頼を受けることができるのに対し、Gランクは王都内の依頼しかできない。要は雑用係である。


 ある日、いつものようにクエストをこなし、ギルドに戻りクエスト達成の報告をし、報酬をもらいスラムに戻ろうとすると同じスラムに住んでいる人たちから声をかけられた。


「よう。ずいぶん稼いだじゃねぇか」

「何ですか?いきなり」

「お前ごときがなんでそんなに稼げるのか不思議だったから調べたんだよぉ」

「ずいぶんと暇なんですね。ワクイさん」


 声をかけてきたのはスラムで長く暮らしており、ギルドランクを上げず、新人いびりをしていると言われているワクイだった。

 ギルドでは1か月間クエストを受注、達成し、報告をしなければランク降格、それが3か月続くとランク無効となり、Fランクになる。さらに3か月続くと資格取り消しとなり、1か月間は再登録できなくなる。

 規定回数の依頼をこなし、ギルドから認められると、昇格クエストを受けることができる。このクエストは強制ではないため、実力が足りていない場合や、武器、防具を変えたばっかりで慣れていない場合など、各々の事情により昇格クエストを見送る人もいる。しかし、最終的にはクエストを受け、昇格している。

 ずっと昇格しない人はほとんどおらず、いたとしても年齢やケガの影響を受け、昇格が見込めなかったり、意味がない人もいる。しかし、ワクイにはそのような理由はなく、ずっと受けていないのだ。


 なぜそんなワクイは声をGランクに声をかけたのか。それはGランクはまだ武器を持っておらず、戦い方も知らない人が多いため、金を巻き上げるにはちょうどいいのだ。

 ギルドは冒険者同士の決闘や喧嘩には一切関与しない。そのためにこのようなことが横行しているのだ。


「あぁ、まぁな。それよりお前、街中クエストで不正してるな。俺はみたぜ?」

「あぁ。俺も見たぜ」

「俺もだ」


 ワクイの取り巻きたちも口をそろえて言ってきた。こうなるとギルドも関与してくる。


「おい、エル。お前は不正してたのか。お前、資格取り消しな。あと再発行するなら1年後に金貨1枚払えよ」


 こう言ってきたのはワクイを担当している受付のパードだ。ワクイと二人でこのようなことを繰り返しているらしい。道理でタイミングがいいわけだ。


「僕は不正なんて一切していません。依頼主に確認を取ってください」

「確認を取らなくてもお前が不正してるのを見ている人がいるんだ。反論なんてするな」


 僕が反論すると高圧的に脅された。しかし、僕はやっていないし今日受けた依頼はすべて室内のものだ。だから僕を見ることは不可能だ。どう言い返そうと迷っていると、ギルドの入り口が開いた。


「エル君はいるかい?」


そういいながら入ってきた人がいた。




お久しぶりです。わらびです。


大学の講義資料をまとめてたりノート作りしてたり、期末試験受けてたりと忙しく全くかけませんでした(配信しながらやればよかったと後悔してます)。

投稿頻度を上げられるように努力していきますので応援よろしくお願いします。


わらびでした。またね。

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