第2話
ぼくの日常は朝早い。
というより、酔っ払いやスラムにやってくる奴隷商などの声で起きる。
スラムに住んでいる人たちの中には働いて稼いだ少ないお金で酒を飲んで帰ってくる者もいる。そういう人はたいてい酔っぱらっていて、よく声を荒げて近くにいた人とけんかをする。
この国は奴隷制度を認めている。
借金奴隷、犯罪奴隷、戦争奴隷の三種類の奴隷区分がある。
中にはスラムに住んでいる人を奴隷にする悪い奴隷商人もいる。しかしこの行為は黙認されている。なぜなら奴隷商人と貴族がつながっていて、貴族が納める領地では領主が14~16歳の女性を狙い、気に入った女性がいる家にわざと重い納税義務を課したり、偽の証人などを使い、両親を犯罪奴隷にし、救いたいのであれば借金奴隷に身を落とせと脅したりという行為が行われており、奴隷紋は奴隷商にしか刻めないため、闇取引を黙認する代わりに行ってもらったりしている。
商品の補充のためにスラムに来る奴隷商人は基本、スラムに住んでいる人たちを下に見ている。そのため、時間、手段を選ばない。なので、大きな声で「奴隷になれ。」といったり、反抗したスラムに住んでいる人に対して、脅しをかけたりするその声で起きる。
僕がいる場所はスラム街の入り口に近いため、よく酔っ払いのけんかや、奴隷商の声が聞こえる。そのため、朝早くに起きている。
起きたら僕はすぐに行動を開始する。共用の井戸があるのでそこで水を汲み、顔を洗い、身体を拭く。
その後、冒険者ギルドに行き、クエストを受ける。受けたクエストを終えると依頼人からサインを貰い、ギルドに戻る。そして受付で完了報告をする。そしてまたクエストを受ける。
夕方までクエストをこなしたらギルド前の広場の屋台でご飯を買って食べる。その後は急いでスラムに戻る。そうしなければ巡回している王都守護騎士に捕まり拷問を受ける。
本来はこのようなことを騎士はしてはいけないのだが、スラムの住民は王都民ではないと認識されており、拷問を行う。昼間は王都民の目があるため行われない。人の目が少ない時にのみ行われる。
急いでスラムに戻ると、その日に稼いだお金を捨てられていた巾着袋に入れ、さらに、僕がベッド代わりにの使っている台の下に隠す。
スラムではスラムに住んでいる人どうしで喧嘩や略奪も起こる。そのため、必要なものは自分で持つか隠さなければならない。
その後、周囲を警戒しつつ過ごし、スラムが静かになったら寝る。
そして早朝に目を覚ます。
これが僕の日常だ。
この日常を僕は今までもこれからも過ごしていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます