第173話 追憶「夢の中で」

 温かくもない、でも、寒くもない。


 クリーム色の空間の中で漂う。


 安心出来る場所だ。



 ボンヤリとした意識の中、考える。


 ここはどこ?


 ここは私、私がここ。



 私は何?


 私は私、私は……。



 眠い。

 体を丸める。


 ただ、いまは眠い。



■■■■



 長く寝ていた気がする。


 私に触れた人が居る?


 だれ?


 この魔力は知ってる、だれ?


 判らない。


 ……。



■■■■



 また私に触れる。


 知っている感じ。


 懐かしい感じ。


 懐かしい?


 何時から私はここに居るの?



 なんで、何度も触れるの?



■■■■



 また触れた。


 興味が涌く。


 こちらから触れてみる。


 また触れてきた。


 何だろう、引っ張られる?


 体が吸い込まれる。


 何処に、意識が遠のく。



■■■■



 何度も、何度も。


 触れてきた、話し掛けてきた。


 だれ?

 私の知っている、だれ?


 なんで、何度も触れてくるの。

 なんで、何度も話し掛けてくるの。


 触れようと、する、できない。

 話し掛けようと、する、できない。


 どもがしい。


 また、眠気が私を包む。



■■■■



 ここは?


 私は?


 触れてきている。

 呼んでいる。


 行かないと。


 なんで?


 行かないと。


 会いたい。


 誰に?

 私の知っている人だ、大切な人だ。



 行こう。

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