第十一話 ~入学前~ 座学
始まった魔法の学習は始めこそ辟易したが、始まって見ると楽しかった。
ギリアムの手腕が優れているのもあったのだろうが、自分の知らなかった光の魔法の成り立ちが何より冒険物語のようでワクワクしたのだ。
渡された『光の魔法のはじまり』の本はとても楽しかった。
子ども向けに書かれているせいもあるのだろうが、わかりやすく小説のように書かれているので読みやすい工夫がされていた。
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神の国から遣わされた魔法使い七人のうち、エーベルスと言う名の光の魔法使いはリーダー的役割を担っていたこと。銀髪で長身誰もが振り向くような見た目で男性だったこと。真面目で冗談が通じなかったこと。戦いを終えた後は、人間の女性と結ばれ静かに人間が書いた本を読みながら過ごしていたこと。
魔法使いには魔法を使える子も使えない子もいたが、分け隔てなく育て魔法を使える子には魔法を教え、魔法が使えない子には様々な知識を教えた。
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ラランはそこに書いてある本に胸を躍らせた。
自分の名前、髪の色が英雄の一人から続いていること、冗談が通じないところは父とギリアムとそっくりだと思って吹き出してしまった。
三日ほどでラランはすべて読んでしまった。
次の授業の時にギリアムは大変驚いた様子で、
「なんと!読んでしまわれたのですか!?ララン様さすがですね」
いつもは表情が変わらないのだが、目を丸くしている様子を見てラランは少し鼻が高かった。
ギリアムと一緒に復習の意味を込めてラランは授業を進めた。
ギリアムは本には載っていない光の魔法使いエーベルスの小話を挟みながらラランに教えてくれた。
ますます英雄と呼ばれるような人物が身近に感じられラランは興味深く耳を傾けた。
こうして座学の授業はトントン拍子に進み一か月程度で終了し、五月からはいよいよ実技の授業を外で行うことになった。
ラランはギリアムから実技を行うと告げられた時、
飛び上がって喜んだ。
とうとう魔法使いとしての大きな一歩を踏みだせる!
挿絵のエーベルスの真似をしてはしゃぎすぎないようにギリアムに注意されるくらいだった。
待ちきれないという言葉はこのためにあるのだと思う。
ギリアムが
「次回までに、こちらの光の魔法の本をよく読んでおいてくださいね」
と伝えると
ラランは本を抱きしめてニコニコしながらうんうんと大きく頷いた。
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