第2話『状況整理』
まずは状況を整理していこう。
私は昨日にエドガーに給料を支払うためにお金を袋に入れ自室の机の一番上の引出しへ収めた。
そしてその時に引出しの鍵をかけたはずだが、取りにきた時には鍵はかかっていなかった。
「教授がボケて入れ忘れたってのはないっすかね?」
「エドガー!! 私をボケ呼ばわりするとはいい度胸だ。君との付き合いは今後改めなければならないな」
「やだなぁ~ 教授、冗談っすよwww」
「草を生やすな!!」
エドガーの奴め!! 私を何だと思っているのだ。
「だって教授、かけたはずの鍵がかかっていなくて、入れたはずのお金も無いんでしょ? 普通に考えたら入れ忘れですよ」
「いや、私は間違いなく引出しに入れた。鍵をかけたかはよく覚えていないが……」
「鍵をかけたか覚えてないってのが怪しいっす」
「君はどうあっても私をボケてると言いたいようだな」
「そんなことはないっす。でも、人間だもの忘れることもあるっす」
ああ言えばこう言う。忌々しい奴め。
「それに鍵をかけ忘れた引出しから第三者が持ち出した可能性もあるだろう?」
「いやぁ~ その可能性は低いっすね」
「何故そう思う? 可能性はゼロではないと思うが」
「それはこの研究室の場所っす。こんな学内の奥地まで来るのはオイラ達くらいっす」
「悪かったな!! こんな奥地にしか研究室を持てなくて!!」
エドガーめ!!ここぞとばかりに好き放題いいおって……。
「第一、君は『誰も来ない』というが、今は花見の季節だ。知る人ぞ知るここの桜の木で花見をしようという輩もいるだろう?」
「たまには桜を見に来る人もいるっすよ、でもそんな人はわざわざ研究室には入らないっす」
「何故そう言い切れる? そんなこと君には分からないだろう?」
「だって教授の研究はあまりにもマイナー過ぎて誰も知らないっすから。こんなところに研究室があるなんて誰も思わないっす!」
「よく言った!! そこへ直れ!! この事件は盗難事件から殺人事件に変わるぞ!!!」
「ぎゃあああー! 勘弁してくださいっすー!」
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