第4話 アリスの狂気 その2


誠はかなり不利だった。イカサマも当然3勝する前提で組まれていた。それ以降なんて考えていなかった。そうして2-2まで持ち込まれ、来た札はJ2枚とQ3枚のフルハウスだった。AやKなんて強いものはとっくに前半の手で消費されていた。勝ちを確信した誠は全てのチップを掛けた。

「お兄さん、いいね。私はもう…出来上がっちゃった。」

頬を赤らめたその笑みは悪魔を彷彿とさせるようなものであった。

「お兄さん、賭けてるのは○○奴隷でいいね。」

「当然。」

既に勝った気でいる誠は答える。

「そ。じゃ、オープン。」

アリスの手は4のフォーカードであった。アリスの勝ちが確定したのである。

「お兄さんのイカサマ単純すぎるの。とりあえず自分の番に強い数字がたくさん来るように組んだでしょう。それって裏を返せば弱い数字の強い役が私に出るってこと。じゃ、お兄さん私の代わりに女の子になって○○奴隷ね。」

「ま、待って!借金チャラでいい。それならもう払わなくてもいいだろ。」

「お嬢様、どうします。」

ケイがアリスに聞いた。

「じゃ、私を養ってよ。」

こうして、アリスは佐々木組に養われることとなった。



数日後の夜、アリスが寝静まった後、

「そういえば、アリスって何者なんだ?」

誠はケイに聞く。

「聞きたいですか?私とお嬢様の強烈な出会いを。」

「ああ、あんた悪魔なんだろ。これからの組のためにもあんた達を手元に置いておきたいんだ。うちの組は小さすぎて悪魔と契約してないんだ。」

「そうですね。普通大きな裏組織は悪魔の盾がありますが、ここにはないですね。いいでしょう、私が話したいから話します。そのうえで契約はお嬢様としてください。」

「ああ。」

ケイは一言おいて話し始めた。

「私は昔、とあるギャングの契約悪魔でしてね。その人には言えない掃除作業の一環で彼女と出会ったのですよ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アリスの狂壊 虚無~うつな~ @endenemy

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ