第3話 アリスの狂気 その1

 [世界は突然変わる。ぐるぐる回って、ぐちゃぐちゃになって、それでも変わらずきれいな色をしていた。    あの頃は、]



「たのもー」

アリスたちが来たのは、先日襲ってきた『佐々木組』の本拠地だった。

「誰だ!」

そこにいた一人の青年・佐々木誠は反応する。

「私と勝負しろ!」

「お嬢様、言葉不足ですよ。」

「私と○○奴隷賭けて勝負しろ!」

「…。」

2人のやり取りを見て、誠はため息をつく。

「お前たちか、うちの組員泣かせたの。」

「おおよ!」

アリスはなぜか勝気だ。

「では、始めますよ。」

ケイが無理やり話を進めた。



「では3勝先にしたものの勝ちとします。」

ケイが進行した。

「ケイ」

「何でしょうお嬢様。」

「あの人たちにカード混ぜさせて。」

アリスが指したのは先日の男達だ。

「お嬢様、それでは公平性が…」

「いいの、そっちの方が楽しそうだから。」


アリスはその後2敗していた。当然だ。あの男たちは確実にカードの仕込み、所謂イカサマをしているからだ。

「何だ。この程度か。」

誠は、最後の札を引いた。アリスは不敵な笑みを浮かべながら、札を伏せたままでコールした。「フォール」と。

当然場は混乱した。何しろ二人のポーカーにおいての「フォール」など認められていない、普通は。

「私は言ったはずよ、フォールと。この札は流して仕切り直しよ。」

「は?ふざけるなよ。」

誠は怒る。

「ふざけているのはそっちでしょ。こんな原始的で簡単なイカサマ、それで勝とうとするなんて…。それにあなたは私にルールを確認していない。それが当然だと思っているからよ。あなたのイカサマと同じ。これでおあいこよ。」

先日聞いていた様子からかなり離れた気迫からかなり乖離したまじめな雰囲気に気圧された。そしてアリスはスカートの上から股をおさえて言った。

「そっちの方が興奮するでしょ。」

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