悪役王子に苦しめられる彼女の為に僕が妖精に願ったこと

属-金閣

悪役王子に苦しめられる彼女の為に僕が妖精に願ったこと

「こんにちはリーフ。今日も元気そうですね」


 そう彼女は、僕にいつもの様に笑顔で声を掛けて来た。

 彼女の名前はフェリス。

 このランドール領地の領主である一人娘であり、令嬢だ。

 彼女は貴族令嬢にしては少しおてんばな雰囲気もあり、皆にも好かれてこの領地で知らない者はいない。

 そんな彼女は、いつも動けず話す事も出来ない僕に、会いに来てくれるのだ。

 フェリスはいつも笑顔でたわいもない話を何の反応もする事が出来ない僕にしてくれる。

 傍から見たら変な関係だと思うかもしれないが、彼女はそんな事を思っていないのか、毎日同じ時間にやって来ては、僕に暫く話をし立ち去って行く。


「それでね、今日メイドのオーウェリが執事のダンデスに告白されたの! もう陰から皆で見守って、悶えちゃった」

「へぇ~そうなんだ。それで、その後どうなったの?」

「その後、私達は二人を祝福したのよ。それはもう盛大にね。二人は凄く恥ずかしそうにしてたけど」

「フェリスの家は毎日凄く楽しそうだね」

「今日の夜は、またちょっとしたパーティーをするのよ。貴方にも見てもらいたほどよ」

「そう言ってくれるだけで、僕は嬉しいよ」

「あっ、ごめんさない。もうそろそろ戻らないと、ジリスに怒られてしまうわ。それじゃ、またね」


 そう言って、フェリスは笑顔で僕に手を振ってから急いでその場から立ち去って行く。

 僕はそんな彼女の後姿をただ見送ると、再び一人の時間が訪れる。

 あ~どうして僕は話せないんだ、勝手に彼女の言葉に対して話せないのに会話しているけど、これは彼女には聞こえてない。

 僕は生まれた時から、体が思う様に動かせず話す事も出来なくてここにずっといる。

 この辺りには、僕と同じ状態様な子はいない。

 僕は意識し始めた日から毎日、ただ動けず話せないまま過ごしていたんだ。

 そんな中出会ったのが、フェリスである。

 彼女はこんな状態の僕と分かりながら、近付いて来てくれ楽しそうに話をしてくれる。

 そして話せない僕に、リーフと言う名前まで付けてくれた。

 初めは彼女の行動に動揺し、疑問もあったが、今では彼女が来てくれる事が楽しみになり聞くだけしか出来ないが、僕の中では会話をし続けている。

 そんな日々が続いたある日、いつもの様に彼女がやって来たが、どこか元気がなかった。


「こんにちはリーフ。貴方は変わりなさそうで良かった」

「どうしたんだい、フェリス?」

「私ね、今日ちょっとお父様と喧嘩してしまったの。お父様たら、私に内緒で婚約者を探して勝手に話を進めていたのよ」

「え?」

「確かに私の家は貴族にしては、権力もないし跡取りが私だけで心配するのは分かるけど。相談もなく勝手にやるのは違くない? って、そんな事リーフに言っても仕方ないよね。ごめん……今日はもう帰るね」


 フェリスは悲しげな表情をし、少し俯いたまま立ち去って行った。

 僕はどうする事も出来ずにただ、そんな彼女の後姿を見る事しか出来なかった。

 今までにも、悲しかった話や辛かった話と言った事はあったが、いつもは僕に話してスッキリして帰って行っていた。

 だが、今日は違った。

 いつになく落ち込んだ状態で、何かまだ悩み事がある様な感じであった。

 僕に彼女にしてあげられる事はないだろうか? いつも笑顔な彼女に戻す為には僕に何が出来るだろうか?

 と考えたが、話す事も出来ない動く事も出来ない僕が彼女為にしてあげられる事はないと思い現実を叩きつけられ、勝手に落ち込んでしまう。

 どうして! どうして僕は、話せないんだ! 動けないんだ! あんなに悲しそうにしている彼女に一言も声を掛けらないんだ……泣かないでと、ただその一言すらいえないのか僕は。

 何も出来ない僕にフェリスは話し掛けてくれ、僕に楽しい時間をくれているのに、その恩返しさえも出来ない。

 何て……何て僕は無力なんだ……

 それ以降もフェリスは僕に会いに来てくれるが、いつもの様な元気はなかった。

 話も父親と喧嘩して以来関係が悪くなったらしく、家の立場もどうやら芳しくないらしい。

 父親が婚約者として探して来た相手は、別国の王子らしいのだが、その王子には黒い噂があり今までに何人もの貴族女性と肉体関係を持ちは、相手がたぶらかせてきたや襲って来たなど嘘を付き、相手の全てを取り込んで来ているらしい。

 そしてその相手が今回はフェリスと言う訳らしい。

 どうやら父親はそんな噂は信じていないらしく、どんどんと話を進めており、フェリス達は止めようとするも話を聞いてくれない状況らしい。


「どうしてこんな事に……今のお父様は以前のお父様じゃない様子だし、お母様と私の話も聞いてくれない。皆も協力してくれてるのに、どうしてなの……」

「フェリス……」

「はぁ~またこの話をしちゃったね。ごめんリーフ。リーフには関係ない話だったよね」

「そんな事……そんな事、ない……」

「ここ最近ずっとこの話でリーフも辛いよね? 明日からはもうこの話はしないから。またね……」


 フェリスはそう呟きまた元気がないまま立ち去って行った。

 そして次の日、僕の前に彼女は現れなかった。

 次の日も、それまた次の日も彼女は現れなかった。

 どうする事も出来ない僕はただただ彼女に何事もなく、また来てくれる事を願った。

 そして僕の前に姿を現さなくなって十五日後に、再び彼女は僕の前へとやって来た。

 僕はフェリスが無事でいた事に安堵したが、彼女の様子は暗く俯いたままであった。


「フェリス……」


 そう僕は話せないが、彼女の事を心配していると、突然彼女は僕の前で泣き始める。

 突然の事に僕は驚きを隠せないでいたが、それは彼女には伝わっていない。


「もうどうすれば……どうすればいいのか分からないよ、リーフ……」

「フェリス、どうしたんだい? な、泣かないでくれ」

「私頑張ったの。あいつにどんな事をされても耐えて、家を守り続けた。でも、あいつは約束を守らない……私の次はお母様、そしてオーウェリや他のメイド達にまで手を上げるの」

「っ……」

「お父様はあいつ等が来てから、気が抜けた様にただの言いなりになっちゃうし。ダンデスやジリス達も日に日に傷つく一方……」


 彼女はそのままこれまでの経緯を一気に話し続けた。

 まるで、今まで誰にも言えなかった事をここで吐き出すかの様に。

 フェリスは僕と最後に会いに来た日以降に、家に父親が話を進めていたいわくつきの王子がやって来たらしい。

 そしてその日に王子がフェリスを見てたいそう気に入ったらしく、婚約を宣言したのだ。

 だが、フェリスは反対した。

 しかし、それが王子の気に障り王子がフェリスを叩いたのだった。

 どうやら自分が言った事に従わない相手が気に入らないらしく、その後も暴力などで強引にフェリス家を自分の物にしようと様々な事をし始めたのだ。

 領地内での婚約宣言、歯向かう者への粛清、メイドや執事への暴力、更には王子の兵士達による強引な淫行などを行い、この領地を乗っ取り始める。

 そして今では完全に王子がこの領土を手中に収めつつあった。

 そんな中フェリスは、家の為領地に住み皆の為に、王子に屈せず反抗していたが王子の方から従えば、誰も傷つけないと言われそれを条件に彼に従い始めた。

 が、その後も暴力などが止まる事はなかった。

 フェリスは王子に進言するも、周りにいた兵士に捉えれ屈辱な事までされ、惨めな思いも味わされていたのだった。

 よく見ると、彼女の腕や足、更には顔にも小さなあざがある事が分かった。


「君は凄い……凄いよフェリス……」


 僕は今すぐにでも彼女を抱きしめて慰めてやりたいと思った。

 だが、僕には何も出来ない。


「今すぐにでも君の助けになりたい。君をそんな顔にする奴を殴ってやりたい。涙を流さないで、前みたいに笑ってる君を僕は見たい……」


 そう願い思う事は出来る、だけど僕は何も出来ない。

 動けない、話せない、何もする事が出来ない無力な存在だ。


「リーフ、ごめんなさい。貴方に久し振りに会いに来て、またこんな事を話してしまって」


 そう言ってフェリスは両腕の袖で、涙を拭き取る。

 そして精一杯の笑顔を作って僕の方を向く。


「何か、リーフと会うとポロッと色々話しちゃうんだよね。何でかな? 貴方は何も言ってくれないし、表情も分からないのにね。貴方もこんな私の話にいつも付き合って、飽き飽きしたでしょ?」

「そんな事ない! 僕は君と会えて楽しかった! 何も言えない僕に、楽しい話をして、笑顔でいてくれる君が僕の唯一の楽しみになっていたんだ!」

「ごめんなさい。最後に謝っておこうと思ったの。たぶん、今日でここに来るのは最後」

「最後? どう言う事だい、フェリス」

「明日ね、私とあいつの結婚式があるの。そこで正式にこの領地はあいつの物になる」

「そんな……」

「でもそんな事はさせない。ここをあんな奴に渡さない。皆を傷つけ、民を民とも思わないあんな奴に」

「フェリス、何をする気なんだ」

「私があいつを殺して、皆を救う。たぶん、そのまま私も殺されちゃうと思うけど……」


 その時フェリスの手は震えていた。


「ダメだそんな事! 他に方法があるはずだ! 君が死んでまでする事じゃない! 君は死んじゃいけない人間だ!」

「あれ、手が震えてる……おかしいな覚悟はしたつもりなのに、急に怖くなってきちゃった」


 フェリスはぎこちない笑顔で僕を見る。

 するとフェリスは僕に顔を近付けて来て、僕の顔の花びらの一枚に口づけをする。


「ごめんねリーフ。やっぱり私だけじゃ怖いみたいだから、最後まで一緒にいて」


 そう言って、フェリスは僕の顔である花びらを一枚とって立ち去って行く。


「待って! 待ってフェリス! 行かないで! 死んじゃだめだ!」


 だが、僕のその訴えは彼女には届かない。

 何故なら、僕は丘の上の大木の下に生えたただの一輪の花でしかないのだから。

 その直後、大粒の雨が降り出し、僕の顔にも雨が風で飛んで来て、涙を流すように花びらから水滴が落ちる。


「何で、どうして僕は何も出来ないんだ! どうして僕は人間じゃないんだ! 今すぐにでも彼女を助けたいのに! 動けよ! 歩けよ! こんなにも彼女を思ってるのに、どうして何も出来ないんだ!」


 僕の思いは誰にも伝わらず、ただただ暴風雨にやられる事しか出来ないまま、時が過ぎた。

 そして暴風雨も止んだ頃には、辺りは暗く静寂に包まれ月明かりが地面を照らしてた。


「彼女が住んでいる屋敷は目と鼻の先なのに、この距離がとてつもなく遠い……明日フェリスは死ぬ。いや、死ぬつもりで皆を救うつもりなんだ。でも、君が死んだら皆も喜ばない。助かるなら、君も一緒じゃなきゃダメだ」

「聞いちゃった、聞いちゃった。見ちゃった、見ちゃった」

「ん? 誰だ?」

「ねぇ君、花の癖に意識があるんだね。珍しいね」

「誰だ、さっきから話している奴は?」


 僕は周囲を見る事が出来ないので、そう自分の中で訴えていると、それがそいつに聞こえたのか突然僕の顔の前に上から覗き込む様に現れた。


「僕さ。これで君にも見えるだろ? それに、僕には君の声が聞こえているよ。なんたって、妖精だからね」

「妖精?」


 すると僕を覗き込んていた奴が宙を飛び始める。

 そして初めて全体を目にする。

 そこには、ミツバチ位の大きさで人の姿をしているが、蝶の様な美しい羽根で宙を舞っていた存在であった。


「君が知らないのは当然さ。本来妖精はもうこの世にいない事になっているし、この世界に妖精はいないからね」

「どう言う事だ? 自分で妖精とか言っておいて、いない? よく分からない事を言うな」

「あははは。まぁ簡単に言えば、僕がここに居るのは偶然。奇跡みたいなもんだと思ってくれていいよ」

「奇跡……奇跡が起こるなら、妖精に出会う事なんかじゃなくて、僕をここから動かせてくれよ……」

「出来るよ、僕ならね」


 唐突な妖精から言葉に、僕は驚く。


「妖精って言うのは何でも出来てしまうんだよ。君の願いだって叶えられる」

「ほ、本当か!? なら今すぐ俺をここから動ける様にしてくれ! 行かなきゃならない所があるんだ?」

「フェリスとか言う人間の所かい? そんな植物の姿で行くのかい?」

「っ……」

「はぁ~よく考えて見てよ。今の君が僕の力で歩けるようになってその人間の所に行って、何が出来るんだい? 歩けても話なんて出来ない。ましてや、ただのバケモノ扱いで狩られて終わるよ?」

「……なら、思いだけでも伝えたい。彼女に、フェリスに死んではダメだって」


 僕は妖精の言う事が理解し、代案を出すが妖精は呆れた様にため息をついた。


「無理無理。人間に植物の気持ちなんて飛ばした所で、理解出来ないよ。そもそも存在自体が違うんだから、言葉なんて伝わらないよ」

「なら、どうすればいいんだよ!」

「そんなの放っておけばいいんだよ。君は彼女に恋をしている様だけど、所詮実らない恋。思うだけ無駄さ」

「僕の事はどうでもいいんだよ! 僕は彼女を救いたいんだ! 力になりたいんだ! こんな花に毎日会いに来てくれて、名前まで付けてくれた彼女をこのまま死なせたくないんだ! もう一度笑っていた彼女に戻って欲しいんだ!」

「それを恋って言っているのだけど、分からないか……まぁ、しょうがないよね」


 妖精が小声で何かを呟いていたが、僕には聞こえなかった。

 その後妖精は何やら考えた態度をとった後、僕に近付いて来た。


「まぁ、手段がない訳じゃないが。それをやったら、君に待っているのは死、だよ? それでも――」

「やる! 彼女を救えるならなんだってやってやる」


 僕は妖精の提案に食い気味で返すと、妖精は少し驚いていた。


「いや~愛する者の為に命すら惜しまない。これこそ恋、いや愛ってやつかな?

「何を言っているのか分からないけど、早くしてくれ。もうじき朝だ。時間がないんだよ」

「あ~焦らない、焦らない。説明とか準備とか色々とあるんだから」


 その後僕は、妖精の話を聞き了承した上で、彼女を救うための準備を始めてもらった。

 準備が終わる頃には、既に朝日が昇り始め街ではフェリスと王子との結婚式の花火が上がり始めていた。


「それじゃ、いくよ……ほいっ!」


 妖精がそう声を掛けた直後、僕に妖精がかけた魔法が発動し、体中から光が溢れだし目の前に集約されて行き、徐々に形作られて行く。

 そして僕の意識が遠のき、次に意識を取り戻した時、視界が自由に動かせるようになっていた。


「う、動く。視界が動く! っ! それに声も、体も動く!」

「成功したね。それが、君の妖精体さ。見た目は人間にしか見えない様にしているけどね。現にほら、足元にさっきまでの君がいるだろ」


 そう言われて僕が下を見ると、そこには一輪の花があった。


「これが、僕」

「そう。それが本来の君。今は、そこから意識を取り抜いて人の形にしているのさ」


 僕は人間になった自分の手足を自由に動かして実感する。

 妖精はそのまま僕の肩へと乗ると、小さく指を鳴らすと服や靴など見た目が良くなった


「流石に裸で行かせる訳には行かないからね。これは僕からのサービス」

「ありがとう」

「それじゃ、改めて話すけど、もうこれをした時点で君の生命力の消費は始まっている。何とか引き延ばしても、今日いっぱいだ……生命力が弱くなりその状態を維持できなくなったら、君はその花へと意識が戻る。そして、最後は眠る様に死ぬ」

「うん、分かってる。それを承知でお願いしたんだ」

「おいおい、普通死ぬって言う事をそんな簡単に受け入れらないもんだぞ」

「そうなのかい? でも、これでフェリスを救えるなら問題ない。植物ってのは、人とは違ってまた蘇るんだろ? なら、僕もいつから蘇るだろ」

「……そうだね」


 妖精がそう呟いた直後、大きな花火が街から上がる。


「まずい、もうかなり時間が経ってた。今から急げば間に合うかな?」

「僕が途中まで道案内してあげよう」

「え、いいの? でも、ここからは僕の都合だし」

「何言ってるんだ。ここまでさせておいて、後は用なしってか。最後まで見届けさせてもらうからね」

「妖精」

「あと、その妖精って呼び方止めてよ。せめてさん付けとか、ちゃん付けとかにしてよ」

「? 妖精、さん? ちゃん?」

「あ~もういい、もういい。妖精でいいよ。ほら行くよ、リーフ」

「あ、ちょっと待ってよ妖精」


 その後僕は、先導してくれる妖精を追って走り続ける。

 フェリスに話を聞いていた街に初めて来て、目移ししてしまうがグッと堪えて走り続ける。

 既に街には人がおらず、妖精曰く皆結婚式場に集まっているらしい為、そこへと急いだ。

 そして結婚式場の前に到着すると、見張りの兵士が立っている事に気付く。


「ねぇ、妖精。あの人達は何? こっちに来るけど?」

「たぶん、君を追い返そうとする人間だよ」

「なるほど、フェリスの敵か」


 兵士達は僕の前に立ち塞がると、睨みつけて来た。


「おいお前、今日は我が王の結婚式だぞ? 何故参列してない?」

「どこの奴だ? こんな大事な日に寝坊でもしたのか?」

「今更参列した所で邪魔だ。ボコってその辺に放っておけ」


 すると兵士達が僕に向かって持っていた武器を振り下ろそうとした時だった。

 僕が兵士に片手を突きだすと、近くの木々たちからつるが伸びて来て、彼らを縛り動きを止める。

 そして僕は他の兵士達にも手を突きだし、近くの木々たちがつるなどで縛り、動きを完全に抑えつけた。


「これが、加護の力ってやつなのか妖精?」

「まぁ、そうとも言えるかな。何てたって、この僕が君に力を貸しているから当然の力と言えば当然。でも、ここまで使えるのは君の想いもあってこそ」

「僕の想い」


 僕は自分の手を見つめて、握り締める。


「ささ、もう目的の場所は目の前。早く行こうリーフ」

「そうだね、妖精」


 そして僕は真っ白な階段を上がって行き、結婚式場の扉に手をついた。

 中からは誰かの声が聞こえた後、フェリスの声も聞こえこの中にいる事がはっきりと分かった。


「リーフ緊張してるのかい?」

「緊張? あ、そうか、このドキドキするのが緊張か。なら、そうかもね妖精」

「何か調子狂うな。まぁいいや。さぁ、ここからが本番だ。君の覚悟、僕に見せてくれ」

「うん。見ていてくれ、僕は必ずフェリスを救い、彼女に笑顔を取り戻させる!」


 僕は扉についていた手に勢いよく力を入れ、叫びながら扉を押し開けたのだった。


「その結婚! ちょっと待ったー!」

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