バウンダリ編 第3話 危機
今日も、目覚ましが鳴る前に目が覚めた、きっと妹は悔しがっているだろう。
今日はダンジョン見学のため、制服ではなく指定体操服で登校しないといけない、この体操服は肘とか膝の他、急所になりそうなところには、プロテクターが入っている、まあ高校生なんかは討伐実践授業もこれと同じような体操服で行うようだしきっと強度はあるのだろう。
荷物を持ち、体育館で集合して昨日と同じような説明と注意を受ける、そして、神の定めた予定調和の如くお約束の持ち物検査で、ポロポロと武器を没収される。
そして、必ず言わなければいけないフラグのようなお約束で「そんなの持ち込んで馬鹿じゃないか」と騒いでいたやつも武器を没収される。
ひとしきりのお約束が終わった後、クラスごとバスに乗っていく、そういやしばらく前にバスの窓の高さで人間が真っ二つになる映画があったなぁと思いながら、ふと霧に意識を集中すると、やばい俺の意識に引きずられてバスの前に紐状に集まってきているほんとに真っ二つになりそう・・・
必死で紐状に集まっていた霧を散らす・・・・・・・はあ・・しかし昼間は殆ど横から流れているんだな危ない。
バスに乗り込みダンジョンへ移動と言っても、バスで30分くらいの小高い山の中腹に大きな岩がゴロゴロしている所がある、その岩の隙間によもつくにダンジョンの入口がある。
周りには、鉄板で作られた壁にフルオートの口径7.62mmを使用するミニガンが配置されている、これはたまにダンジョンの中からモンスターが這い出してきたときの防御壁となっている。
バスを降りて、少し脇の広場で今回ガードをしてくれる探索者の紹介があった、フォーメーションは一クラスの前と横に一人ずつ最後のクラスのみ最後尾に一人つくとのことだった、5クラスなので16人もいる。
入り口から3階までは、2キロちょっとだが足場の問題や戦闘があるため1km/hとかなり余裕を持っているとの事だ。
一クラスから順に侵入していく、思ったより入口が狭く入るのに時間がかかっている、入るだけでこの人数だと10分くらいかかるのか・・・
中は自然洞窟で少し行くと5列くらいに並べる程度には広がった、ただ足場は悪くゴロゴロした岩のてっぺんを飛んでいく感じで進まないといけない、「これ最初は良くても帰りは地獄だよきっと」隣の友人と会話しながら進む。
「一応、学生も周りを警戒するように!」
隠れているモンスターが、周りのくぼみから突然出てくることがあるらしい。
ただ、丸腰なんですが・・・
「見つけたら、叫べば良いのか?」
とボソボソ相談していると、「パパパ」と遠くで銃声がする・・・
一回で終わったのでモンスターの遭遇戦だろう。
「畜生、遭遇戦かいいなぁ」
「一度は見たいよなぁ」
「そうだな、一度くらいは・・でも近くだときっと怖いぞ」
「カナ?でも一回・・・先っチョだけでも・・・」
「何言っているんだ? お前?」
そんな馬鹿なことを言っていると、右上から風が吹いた気がして見上げるとなにかいる。
「右上なにか居ます!」
と叫ぶと、小さな生き物が石を投げようとしていた。
探索者の持つ銃が火を吹く、思ったより近いため単発のようだ、跳弾とか怖いもんね。
「みんな怪我はないか?」
「「「「「だいじょうぶです」」」」」
「よし、今の感じで声をかけてくれ、じゃあ進もう」
「近くだとすごい音だな、本物はすごいや」
ちょっとしたイベントをはさみながら、少し早めに無事3階に到着した、しかし岩飛びのせいか足がプルプルしている。
「よしそれじゃあ、各自適当に弁当と休憩してくれ、トイレはもう少し進んだ左側のくぼみに幾つか設置しているからそれを利用するように」
「おし休憩だぁ、どの辺りに行く?」
「とりあえず、あまり外れるとまずいよな、一段上がったあの岩の上はどうだ?」
「モンスターが来ても飛び降りれば大丈夫か・・」
「おっ、上は少し広くなっているここ良いなあ」
友人数人で、弁当を広げる。
ダンジョンなので、見晴らしが良いわけでもないが、なんとなく楽しいな。
ぎゃあぎゃあ言いながらおかずの取り合いが始まる、んんっ?奥からの風が強くなった?
なんだ? 振り返りダンジョンの奥を見るが、変わったことは起きていないようだ・・・
「おっ、どうした?」
「いや、なんだか風吹いた気がしたんだが・・・」
と言いながら、霧を意識すると高濃度に満ちていた、真っ白になった霧が奥から吹いてきている。
そういえばダンジョンでは、物理的反応の遅延が起きやすって言っていたのはこれのせいだったのかな?と妙に納得した。
弁当を食べた後、各自自由にしたが、帰りの時間も近いし、トイレにでも行くかと思った時、奥から銃声が聞こえてきた・・・それもフルオートっぽい、なんだかやばい気がしてみんなに、
「なんだかヤバそうだ、2階に戻ろう」
と言ったが。
「大丈夫だろう」
とか言っている。
「先生、奥の方ヤバそうなんですが大丈夫なんですか?」
「おっ、おお、さっき探索者さんに確認に行ってもらったが、帰ってこないんだ」
「それってやばいんじゃないですか?」
ん、妙な振動を感じる。
奥からの風が勢いを増す・・・
思わず叫ぶ!!
「みんな、にげろー!!!!」
その瞬間、奥で聞こえていた銃声が止み、魔物の鳴き声が聞こえ始めた・・・
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