第7話 組合
カラさんに聞いた冒険者組合に向かう。
建物自体は小さな建物のよこに倉庫のようなものがならんで建っている。
「いらっしゃいませ、冒険者組合にご依頼ですか?」
「いえ、解体の見学が出来るときいたので」
「はい、それなら右の倉庫の入り口から入って下さい」
入っていくと象の様な大きな魔物を解体していた。
「は……すげぇな」
クレーンで吊るし、解体していく様は圧巻だった。
「あ、あの、見学でしょうか?解体依頼でしょうか?」
呆けていると声がかかり、マスクをつけた女の子がカウンターに座っていた。
「あ、解体の依頼とそれを見学したいのですが」
「分かりました。それではこちらにご記入下さい」
魔物の名前が分からなかったので狼二頭とかいて渡す。
「狼?ここらだと、グレーウルフかフォレストウルフだと思うのですが……第三解体所にこれを持って行ってください」
札をもらい、第三と書かれた場所に向かう。
「おう!依頼か?ちょっと待ってなよ」
筋骨隆々の男が嬉々として解析をこなしている。にしても血はそんなに付いてないな。
「待たせたな。俺はココ、獲物はどれだ?」
「ここに出しますね」
この前狩った狼を二匹ともインベントリーから出す。
「アイテムボックス持ちか、グレーウルフ二匹か、にしてもこっちは毛皮は期待できないな。もう一匹はきれいに頭だけでよかったよ」
と慣れた手つきでフックに引っ掛けると、簡単に解体していく。
「ここまで切り込む、んで、こうするといい感じだ」
独り言のように呟くココさんだが教えてくれてるようなのでちゃんと勉強していく。
「これは売りかい?なら、牙、魔石、が二匹、毛皮が一匹分だな。受付にこれをもっていってくれ」
ちょっと吐き気を我慢しながら紙を受け取り受付に出す。
「やっぱりすこしきつかったですか?慣れると楽なんですけどね」
と笑いながら銀貨一枚と銅貨二枚をわたしてくれる。こんなにするのかとビックリすると、
「内訳は牙が上下四本で×2で銅貨二枚、毛皮が一頭分で銅貨八枚、魔石が銅貨四枚で解体手数料とその他処分費で−銅貨二枚。もうかるでしょ?」
正直驚いた。一万二千円の価値がアレにあるのだ。あ、もう一匹を綺麗に倒せたらもう少しいくのか。
受付を出て、もう一つの受付による。
「ここら辺の魔物と買取表みたいなのってありませんか?」
「ありますよ、これとこれね。銅貨二枚でーす」
俺は銅貨二枚を渡し、その冊子を手にホテルに戻る。動けるようになった身体で、時給何百円の仕事をするより楽に稼げる仕事だ。
そのかわり、命を張ってやるんだから情報は大切だ。
「スライムも魔石があるのか……勿体無いことをしたな」
身体が自由に動くのが楽しくてスライムを何十匹か倒している。本格的にハンターをするなら装備を整えたほうがいいかもしれないな。
ガチャを起動。
『ログインボーナス3日目 SRガチャ券プレゼント』
ハイハイと思いながら武器ガチャを十一連回す。
『N 鉄の剣』
『N木の剣』
『N 鉄の短剣』
『N 鎖鎌』
『HN 鋼鉄の短剣』
『HN 鋼鉄の剣』
『HN 鋼鉄のメイス』
『HN 鋼鉄のレイピア』
『HN 鋼鉄の剣』
『HN 鋼鉄の斧』
『SR ミスリルの短剣』
ミスリルって、あのミスリルか。でも短剣だとだいぶ近距離になるな。武器は今の所変えないでおこう。この近辺だと森の奥に行かない限り安全そうだしな。
ノーマルガチャを何回か回し、低級ポーションをゲットできた。他は買えるものだ。ってポーションも買えるはず。
「ポーションを買いに行こう。ついでにこの町の防具屋も」
さっさと着替えてホテルから出ると、昼をだいぶ過ぎてるから早歩きでマップを使い、道具屋を探す。道具屋に入ると受付にいき、おばさんに声をかける。
「すいません、ポーションってありますか?」
おばさんはビックリしていたが、優しく
「ここにはポーションはないよ?ポーションを買うなら薬屋か冒険者組合にいけば売ってるからね」
「す、すいません、ちょっと焦っていたようで」
「いいよ、この前も買いに来た子だね。他には何がいるんだい?」
「防具屋で、防具を見たいと思いまして」
「なら隣が防具屋だから行ってきたらいいよ」
「ありがとうございます。またきます」
冷静になると、俺ってこんなに行動する方じゃなかったのに、この世界に来てから少し焦ってるのか?
外に出ると風が頬を撫でる。
そもそもこの世界は元の世界のような建物が塀に囲まれて町になっている。日本の様に町以外は魔物がいるから人が住めないのだ。
もっと勉強しなければいけないな。
気を新たに防具屋へ入ると、昔の教科書でみたような甲冑が目に入る。値段は金貨五枚?!
「あんちゃん、それはあんちゃんに似合わないと思うぜ?」
横からハゲたおっさんがいってきた。
「か、買わないですよ」
「だよなー、あんちゃんだとオーク革のショルダーアーマー、ボディーアーマー、レッグアーマーなんかが合うと思うぜ?」
おっさんが指差す方向に目を向けると、革製品がズラリと並んでて、
「……カッコいい」
「だろ?」
それからおっさん=店長と色々話して、いまの防具にショルダーアーマーを買う事に決める。
「また来いよ!ケガすんなよ!」
「はい!ありがとうございます」
やはり男だからカッコいいものに目がないようだ。これなら防具ガチャも回してみていいかもしれないな。
次は薬屋による。
「いらっしゃい、ポーションなら低級はそっちねー」
「え、なんで?」
なぜか話が通ってると思ったら、道具屋のおばちゃんに聞いたらしい。
「低級ポーションが銀貨二枚?!」
「低級でもそれくらいするわよ?冒険者なら三本はもっときなさいね」
薬屋のお姉さんはちょっと怒りやすいのかな?
「一本は持ってるんで、二本買います」
「そ!怪我はしない方がいいけど、高いからって出し惜しみしない様にね!」
「は、はい」
ポーションを包んでもらってる最中も小言を言われながら店を出ると、夕暮れ時だ。
今日は疲れたな。明日はゆっくりするか。
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