第4話 お礼
白馬の宿につくとこれまた豪華なホテルで、受付で聞くとスムーズに部屋まで案内された。
「元の世界とこっちの世界。同じようで違うんだが、電気じゃなくて魔石エネルギーってやつが発達してるんだな」
魔物なんかいない世界から、いる世界に来たらやっぱり防壁は必要だし、街と街をつなぐ道路すら荒らされるんだろう。電柱なんて立てられないよな。
「……もうホームシックなんだが」
コンコンッ
「カラです。いまお時間いいでしょうか?」
ホームシックになってる場合じゃなかった。
「はいはーい、どうぞ」
入ってくるカラさんは一礼して入ってくる。赤い短髪のイケメンさんだった。
「シュウさん、今回は助かりました。社長がぜひ夕飯を一緒にと申しているのですが」
しゃ、社長?元の世界では社長とかは遠目で見た事あるくらいで話した事もないぞ。
「お、俺はマナーとかよく分からなくて」
「それは大丈夫です。冒険者さんなんですから」
俺が冒険者?
「冒険者ではないのですが大丈夫ですか?」
「あ、申し訳ない。防具などしっかりと装備していたので勘違いしてしまいすいません」
あぁ、この世界では冒険者なんて職業もあるのか。俺はなにをして生きていこうか?
「シュウさんは命の恩人ですから気になさらず夕飯を一緒にどうでしょうか?」
少し自分の中に入ってしまったが、さっき買った服もあるし、こちらの世界を見聞きするのもありかな。
「分かりました。着替えてどこに向かえばいいですか?」
「それなら後一時間後に迎えにきますのでよろしくお願いしますね」
カラさんは笑顔で帰っていった。
名前 シュウ
年齢 十七歳
Lv 3
HP 50/80
MP 6/6
スキル 無限カードホルダー
インベントリー
二段ジャンプ
風魔法Lv1
身体強化Lv1
マップLv1
ユニークスキル ガチャLv1
恩恵 ステータス二倍
カラさんが迎えに来るまでに色々と調べないとな。ステータスと睨めっこしながらチートなんだろうと考える。
「ステータスがHPとMPしかないのはなんでだ?ほかにもないのか?」
ステータスをよく見ると▽があったので押してみる。
力 50
速 30
知 200
器 180
魅 100
と出てきたが、やはり訳がわからないな。こちらの平均を後で聞いてみよう。
あとガチャだ。一種類だけとかだいぶ微妙だから分けて欲しいんだが。物とスキルしか手に入ってないからなぁ。レベルがあるからそのうち上がるんだろうが、てかGってゴッドじゃなくてゴールドのことか?でもあんまりガチャ頼りはしたくないし。
試しに銀貨を一枚、スマホに近づけると吸い込まれていった。
残G 82万G
やっぱりそう言うことね……金稼がなきゃいけないなぁ。回数決めてガチャする様にしないとな。ってなると仕事しねえとな。
あぁ、無職になるなんてなぁ。
シャワーを浴びて、普通の白のシャツに黒のパンツに着替えて待っている。
「お迎えに参りました」
ピッタリ一時間。
「お待たせしました」
外に出て挨拶をすると、少しビックリされた。カラさんもスーツ姿が似合う好青年になっててビックリ。
「あ、それではこちらにどうぞ」
案内されたのは最上階のレストラン。
カラさんについて行くと、
「ご挨拶が遅れ申し訳ない。私があの馬車で眠りこけていたバカ社長のアズベルです」
とても若そうな(と言っても三十はこえてるか)な社長が立って挨拶をしてきた。
「ご挨拶ありがとうございます。名前はシュウで、貴方を眠らせてしまった張本人です」
二人して少し笑い、席に案内されるまま座る。
「それでは、この出会いに乾杯」
「ん?はぁ乾杯」
グラスに口をつけ、話をする。
「私は魔道具開発会社『マコウ』のアズベルです。今回は本当にありがとう」
アズベルは頭を下げて礼を言ってくる。
「通りがかって勝手にやったことですから、頭を上げてください」
ちゃんとした社長さんだわ。
「それではたらふく食べていって下さい」
料理がどんどん出てくる。
「冒険者はこれくらい食べますよね」
「すいません、冒険者じゃなく、ただの世間知らずの小僧です」
本当の事を話すのはやめておく。
「ほぅ、では仕事は?」
「いまから探すところですね。自分に何が出来るかわからないんで」
とりあえず下働きでもなんでもやってみるつもりだ。
「じゃあ、やっぱり冒険者登録はしといたほうが宜しいでしょう」
とアズベルさんに冒険者のことや、分からないことを聞きながら食事を楽しんだ。
うー……腹一杯だ。部屋に戻るとベッドに横になる。
アズベルさんは食わせ上手だ。俺も見たことない料理でついつい食べ過ぎてしまった。
あとお礼に金貨五十枚もくれたし。
『ピロンッ』
スマホを見ると、NEWの文字がガチャについている。タップして立ち上げると、項目が四つに増えている。
『ノーマルガチャ 一回百G 十一連千G』
『武器ガチャ 一回千G 十一連一万G』
『防具ガチャ 一回千G 十一連一万G』
『スキルガチャ 一回一万G 十一連十万G』
「神は見てるってことか?……てかどう見ても冒険者になれって言ってるよな」
とりあえず今日はもういいや。
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