第2話 神
「「らっしゃいませー!!」」
うるせぇよ、
「新規一名様御案内でーす」」
「それではご招待券を拝見させて頂きまーす」
ここは居酒屋か?
「…………」
「あれれー?聞こえなかったかな?それでは「聞こえてるわ!」は、はい」
気づいたらでっかい門の前で、いかにもバイトと思われるハッピを着たの羽の生えてる女の子が二名。
いつだ?いつここにきた?
「あ、あのぉ」
声をかけられるが、
「ちょい説明よろしく」
バイト天使の女の子に向かって説明を要望。
「それはこの門を通ってから神様が直々に説明するそうです。なので招待券の方を……」
片手に持っていたスマホを見ると招待券の画面になっている。
「……元に戻ることは?」
「出来ません」
「……俺にデコピンしたやつは?」
「お、お答え出来ません」
コイツは……選択権はないようなので、画面をみせる。
「新規一名様御案内致しまーす!あ、ついてきてくださいね」
デカい門の横の扉から中に入っていく。
もうね、この元凶に文句を言うしか無い!
中に入ると偉そうな椅子に座ったヤンキーっぽい男が一人。
「さっきからうるせぇよ!文句があんなら言ってみろ!ごらぁ!」
「えぇー……」
なんであっちがキレてんの?こっちがキレていいはずなのに勢いがなくなってしもた。
「んで?無味無臭君だっけ?」
「三村秀だわ!」
「んじゃ三村、端折っていうと並行世界、パラレルワールドって感じ?のとこで頑張ってた三村が死んだから、お前行って頑張って来いや」
おおぉ、端折ってそれ?俺の意見皆無だ。
「待て、俺は行くとも言ってないし、別の世界?の俺が死んだからって何故また俺?」
ヤンキー神様は眼光鋭くこちらを睨むと、
「その世界で一番頑張ってたやつが三村なんだよ。まぁ、個人的なことだな」
「んで?」
俺になんの関係が?
「他の世界の三村を見るとお前と違って成功しているやつらばっかりなんだぜ?そしてお前は?」
「ただのしがないオッサンだが?……えぇー、そんなことで俺が?」
こんな俺でもやること色々……ないけど、あるような。頑張ってたときだって少なからずある。
「だから三村にチャンスをやるよ。今の人生に満足してないんだろ?なら、あっちの世界で頑張ってみろよ」
ヤンキー神は俺を説得するようだが、
「だが断る!」
「んでだよ!」
「まず、俺はそこそこ歳いってる。ゆえに頑張る気力も体力もない!」
「それは問題ない。今の歳はお前の一番活力があった時に戻してある。ステータス見てみ?」
ん?ステータス
三村 秀
年齢 十七歳
Lv 0
HP 20/20
MP 2/2
「じ、十七歳?……あ、足の傷も消えてる?!」
古傷が消えている。それに身体が軽くなっている気がする。は、腹の贅肉が無くなってるじゃないか!
「そらそーだ、怪我が原因で自堕落な生活してたんだろ?これで心置きなく行けるな?」
俺の身体が若返ってる!これなら
「ッて、行けるわけあるか!俺の人生は俺のだ!」
「ダメか?結構優遇してんだけどよー?どの辺がダメなんだよ?」
「若返ったところで、そっちの世界の三村はいくつだったんだ?」
「32歳」
若くして亡くなったんだな。
「んじゃ俺はどこの誰になるんだよ?三村の代わりに三村なんだろ?」
「あぁ、そういやそうだな。でもミムラの代わりじゃない、ミムラが死んだのはだいぶ前だからな。ミムラでもかまわないんだが。んじゃ、お前はシュウって名乗れよ。三村は召喚された日本人だから、苗字のミムラで通してたからな。んで、あいつは満足して輪廻の輪に入っていった。だからお前はあっちの世界で好きに過ごせばいい」
「は?」
ミムラの代わりになんかやるんじゃないのか?
「俺は三村が気に入ってたんだよ。他の世界でも三村は頑張って成功してる。お前だけなんだよ、現状に満足してないのは」
なんだよ……俺だけダメ三村かよ。
「だが、ダメな三村が悪いわけじゃない。今、満足してないんだろ?なら悪く無いんじゃないか?」
あの時あーだったらとか考えることもあるが、それでも俺は俺だ。
「だっ……他にもいるだろ?」
「そうだな。だが、俺は成り上がりの神だ。えこひいき上等ってな!」
神と三村に何があったかしらんが、かなり暴論だな。
「元には戻れないんだな?」
「あぁ」
「ならしゃーないか。俺は普通に暮らすだけだぞ?」
「あぁ、好きにすれば良い」
なら文句はねぇな。
「行ってやる。期待すんなよ」
「分かってるって、お前のことだからな。ガチャを使えばそれなりに強くなるし、すぐ死んだりする事はねーだろ。んじゃ行って二度目の人生楽しんでこいよ」
神が手をかざすと俺は草原にいた。
「……おい!見渡す限りの大草原って、話が違くねーか?」
天を見上げる。
前途多難だ。
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