第1話 家族

私の名前はエナ。もう少しで16歳。

アリダリアという小さな国でお父さんとお母さん、弟と妹の5人で暮らしています。

裕福な家庭ではないけれど家族5人で笑って過ごす毎日はとっても幸せ。

弟のカルは8歳。最近はちょっと生意気なの。

妹のリラはまだ5歳。私の後ろをついてくる。

家族5人で朝ご飯を食べて、

カルを学校へ送り出しリラと一緒に洗濯物を干す。

私の1日はここから始まる。

本当は私にも学校があるけれど、

どうしても好きになれなかった。

人の嫌がることを続けるクラスメイトも、

気づかないふりして止めない先生も。

だから家で勉強してるの。

リラとも遊んであげられるし、

お母さんのお手伝いもできる。


今日はどんな勉強をしようかな。

なにして遊ぼうかな。

公園にでも行ってみようかしら。

そんな事を考えながら洗濯物を干していた。

今日もまたいつもと変わらない楽しい1日が始まると信じて…



母「エナ。洗濯物が終わったらちょっとこっちへ来てくれる?」


エナ「わかった!もうすぐ終わるよ!」


母「大切なお話があるの。リラはお絵描きでもして待っててね。」


リラ「はーい!リラ待ってるよ!おねーちゃん早く来てね!」


エナ「ありがとうリラ。なるべく早く行くからね。」



急に呼び出すなんて…

なにかあったのかな…

あ!赤ちゃんができたのかな!?

それとも病気…?

リラに話せない事ってなんだろう…



洗濯物を終わらせお母さんの元へ向かう。



母「洗濯物ありがとう。急に呼び出してごめんね。」


エナ「大丈夫だよ!なにかあったの?」


母「エナももうすぐ16歳。そろそろきちんと話しておかなければならないことがあるの。」


エナ「話しておかなければならないこと?」


母「実はね、あなたと私達は血が繋がっていないの。」


エナ「え…?」


母「養子と言ってね、あなたには血の繋がったご両親が他にいるのよ。」


エナ「私は…本当の家族じゃない…ってこと…?」


母「それは違うわ。血の繋がりは無くても、あなたは私達の娘だし家族よ。」


エナ「ならどうしてその話を?知らないままの方が…」


母「私も悩んだわ。でもね、16歳になったら成人として1人の大人になるでしょう。あなたが血の繋がったご両親に会いたいのであれば私は会えばいいと思うの。だからそのためにも伝えなければならないと思ったのよ。」


エナ「そんな事言われても…。わからないよ…。」


母「この紙に書かれている住所にご両親がいるわ。エナが16歳になったら本当のことを伝えるということも話してある。会いに行くのかどうかはあなたが決めなさい。」


エナ「…。」


母「エナ。あなたがこんなにも立派に育ったところ見せてあげたら?あなたは私達の自慢の娘よ。」


エナ「お母さん…。わかったわ。私、会ってくる…」


リラ「おねーちゃん…?まだ終わらないの…?」


エナ「大丈夫よ、今終わったわ。一緒にお絵描きしましょう。」


リラ「おねーちゃん…泣いてるの…?」


エナ「泣いてないわよ。ちょっと目にゴミが入ってしまったの。」


母「エナ。何があってもあなたは私達の自慢の娘だからね。リラやカルと同じように大切よ。」


エナ「ありがとうお母さん。明日会いに行ってくる。」


母「気をつけて行くのよ。」


エナ「うん。」



きっとお母さんもずっと悩んで、でも私のために…

しっかりしなくちゃ!泣いてる場合じゃない!


エナ「リラ、行こう!」


リラ「うん!」

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