第2話 「やまなし」

 *宮沢賢治の童話「やまなし」の内容に関してのネタバレがあります。


 宮沢賢治の名まえはそれまでも知っていました。読んでみたこともあります。

 学校の教科書にも「やまなし」が載っていたのを覚えています。

 「やまなし」はたしかにおもしろいと思いました。

 透明な清流がまわりを流れているという感覚が文章からじかに感じられる文章です。小さいカニの兄弟がどちらの泡が大きいかと争う話だったり、お魚が餌をとったり、そのお魚がカワセミにとられたりという、あまり「きれいごと」ではない話が続くのですが、それがその文章のおかげで、美しい、自然なこの世の流れの一部として感じられます。

 正体が最後までわからない、「どんなものか」さえわからない「クラムボン」というものの存在が(たしか研究家の入沢いりさわ康夫やすおさんに「正体はだれもわからぬクラムボン」という川柳せんりゅうがあったと思います)、ここを「そういう世界なんだ」と印象づけるのにとても効果的に使われています。

 読んでいた当時は、そんなことまで考えを回すこともなく、印象に残る話だな、と思って読んでいただけですが。

 ところで、いまもこの物語、小学校の教科書に載っているのでしょうか?

 カニのお父さんが、川に落ちてきたやまなしがそのうちお酒になって沈んでくるのでおいしい、とか子どもに言うんですが、それって、いまなら「この物語は未成年飲酒を勧めるものではありません」とただし書きが必要な物語では?

 私は『荒磯の姫君(下)』の紹介文で書きましたよ。

 https://kakuyomu.jp/works/16816927860288308656

 ……そんなことはどうでもよくて。

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