田舎から出てきた少女 ①-1-2
「隠れる分にはいてもいいので、好きにいてください。お礼とかいらないので出ていきたくなったら出ていってください」
俺はそれだけ伝えると畳の部屋に戻った。
寝っ転がってヘルプを見る。
ガキ女が家の中をうろうろしていた。
俺が女を見ると背を向ける。
またヘルプに視線を戻す。女がこっちを見てるのは視界の端で見えていた。
ガキ女はしきりにおっぱいを隠していた。
どうもその辺りが破れてしまってるらしい。
布を引っ張って乳首が出ないように頑張っていた。
ガキ女のおっぱいに興味はなかったけど、さも「お前興味あるだろ」みたいな目でこっちを見るガキ女にストレスがマッハ文朱。
無視して放置してるけどツライ。
ずっとこっちを見ている。
でもしゃべってはこない。
すごく気持ち悪い。
「どうしました?」
「…………」
ガキ女は背を向ける。
これはあれかな。着るものが欲しいのかな。
でも女物の服なんて持ってない。こっちだって一張羅なんだ。
とはいえ、このままではきっと面倒くさくなる気がする。
しょうがないから拡張現実の画面を操作してショッピングアイコンをタップ。
男女兼用のジャージを買う。お値段8980円。
借金額が9000円増えた。おい、無利子じゃないのかよ。
慌てて買い物の項を確認。どうも百円以下は切り上げられるらしい。
借金の項に書かず買い物の項に書くとか詐欺かよ。不親切だな。
「これは?」
「どうぞ着てください。お貸しします。いらなくなったら返してください」
あげるとは言ってない。ちゃんと返してくれ。
まぁ借りパクしてもおこらないし追いかけて回収とかもしないけど信用は消し飛ぶよ。
「どうやって……?」
その問いに意味が分からずしばし固まる。
え。
ジャージ着るのに説明いります?
とは思ったけどここは異世界。
そういうこともあるのかもしれない。
仕方がないので俺が実際にジャージを着る。見せるために。
今着てる服を脱ぐのめんどくさかったからそのまま着た。
フリーサイズだから問題ないし、ただの着る方法の説明だから。
「こうやって着ます。わかりましたか?」
「…………(コクン)」
俺はジャージを脱いでガキ女に渡す。
実際にやって見せたし、着れないわけないだろ。もう大丈夫だな。
と思ってたらさ。
その子、服の上から着てた。
びっくりした。
言って聞かせてやらせてみ、褒めてやらないといけないのだなと思いました。(山本感)
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