田舎から出てきた少女 ①-1-1
俺は真っ白い部屋にいた。
目の前には包茎の彫刻がいた。
「お前は死んだ。異世界に転生させてやろう」
「わーいわーい」
「チートをやる。何がいい?」
「なんでもいいの?」
「うん。一つだけなんでも願いを叶えてやろう」
「じゃあ、お前死ね」
「ぐはっ!」
彫刻が砕け散り霧散すると、その足元に何かが残った。
《 神のタブレットを獲得しました。 》
「お、なんだこれ。異世界ってアプリってなんだ?」
アイコンを押してみた。
そうしたら世界が変わった。
真っ白の部屋がなくなって、外に出された。
丘の上にいる。
下の方が騒がしい。
よく見れば複数の男たちが女を追っている。
速度的に数分もしないうちに女は追い付かれる感じだ。
見なかったことにしよう。
俺はその場を立ち去った。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 2 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ヘルプを読む
タブレットがなくなってしまったが、代わりに視界にアイコンが浮かぶようになった。
邪魔くさいと思って払いのけたら消えた。
スワイプで出し入れできるみたいだ。
ヘルプがあったので隅々まで読んだ。
俺は家電を使うときも取説をまずじっくり読んでから使うタイプ。
読んでいたら周りが真っ暗になった。でも読み終わらない。
最初に概要を読んだので大雑把な機能は理解した。
左上のMAPを一秒見続けると周辺MAPが出る。
MAPは自分が中心に来るように表示される。
大きくなったMAPの自分の目の前をタップしメニューを出す。
ビルドホームのアイコンをクリックして家を建てた。
手狭な平屋だ。値段は一千万円と書いていたので建物代金一千万の家なのだと思う。
でも電気とか上下水道は使えない。アクティベートするには契約料がかかる。
お金は無利子無期限無催促で自動的に融資される。表示はマイナス一千万。
異世界来たばかりなのにいきなり借金生活で気が重い。
畳の部屋に寝転がりヘルプを見る。
明かりがなくても
寝転がって読んでいるうちに外は明るくなっていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 3 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
また夜になって、また朝になった。
相変わらずお腹はすかないし喉も乾かない。
ずっと寝そべっていても体は痛くならない。頑丈そのものだ。
だがお昼くらいになると、家をノックする音がした。
「どちらさまですか?」
インターホンで見るとぼろぼろの服を着た女の人だ。
声を掛けたらものすごく驚いて腰を抜かしてた。
「助けて」
困った。
助けてくださいって言われると助けないわけにはいかない。
しかし110番してもこの世界までお巡りさんが来てくれるとも思えない。
外に出て行って危ない人に絡まれるのも嫌だ。
しかし居留守するにはもう遅い。どちらさまっていってしまった。
しょうがないので玄関に行く。
「あの、すみませんがおかえりくださ」
「助けて!」
そういって女の人は俺の足に縋り付いてきた。
汚い手で触るなよ一張羅が汚れるじゃないか。
「あの、おちついてください」
ズボンにしがみつく女の手をゆっくりと、しかししっかりと離させる。
「助けて!!」
「……わかりました。それじゃあ、まぁ玄関へどうぞ」
この人声が大きいから困る。誰かに見られたらめんどくさいことになるじゃないか。
しょうがないので玄関に入れて扉をしめて鍵をかけた。
はぁ、めんどくさいのに巻き込まれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます